渡邊雄太帰国会見全文「間違いなくベストシーズンだった」W杯欠場の可能性も言及

「自分が出て活躍してチームを勝たせるような存在になりたい」


――ポストシーズンのファーストラウンでは、強敵セブンティシクサーズと対戦しました。出番も限られましたが、戦う中で見えたもの、こういう選手でありたいなどのイメージはあったでしょうか?

「やっぱり次はあそこに自分が出て活躍して、チームを勝たせるような存在になりたいと本当強く思いました。去年、ラプターズで同じシクサーズを相手にプレイオフに出た時は、初めて間近でプレイオフを経験した時に、やっぱりまだこの舞台に立つには力が足らないかなと思いました。でも今シーズンは、いつでも自分が行ける準備ができていましたし、チーム状況もあるのでわがままは当然言えないですけど、ここで自分を出してもらえたらっていう場面がいくつもあったので、精神的にも自分が成長していると感じられたポストシーズンでした。

もちろん4連敗というのは本当にすごく悔しい終わり方でしたし、自分自身も1戦目の最後に少しだけしか出ていないので、本当に悔しい終わり方だったんですけど、自分の中で成長として見えたものもありました。同時にまだ力が足りてないから出られてないという現状は変わらないのでそういう意味では意味のあった4試合だったかなと思っています」

――今季全体を通しての、忘れられない瞬間などがあったら教えてください。

「何個か思い付くんですけど、一番自分の中で印象深かったのはトロントでの試合で僕が残り10秒ぐらいで逆転のシュートを決めた試合ですね(2022年12月16日、4Q残り15秒で逆転3Pシュートを成功)。理由はいろいろあって、ケガから復帰して、すぐ3試合目だったというのと、去年プレイしていたアリーナだったのと。当然あそこにいる人たちはもうトロント・ラプターズのファンなんですけど、ある意味、恩返しができたんじゃないかなと思いました。お世話になったトロントで自分が成長した姿を、チームメイトだったり、コーチだったり、ファンに対しても見せられたんじゃないかなという部分があります。

何よりうれしかったのが、カイリーが信頼してパスをくれたということですね。彼の力だったらドライブに行ってレイアップできたと思うんです。確かスコッティ・バーンズがブロックに行っていて、それを交わしてノーマークだった僕を見つけてくれてパスをくれました。その後、また追いつかれて最後、またカイリーで逆転というすごく劇的な試合というのもあるので、いろいろな意味もあってあの試合は強く思い出に残っている試合ですね」

――夏にはワールドカップがあります。日本代表としての渡邊選手にも期待したいのでうが、大会、そして代表に向けて思いをお聞かせいただけますか?

「現状その自分の中では、もちろんワールドカップ出るつもりでいます。ただ僕はフリーエージェントでワールドカップ前後は新しいチームが決まるかどうかという時間なので、最悪出られないことも覚悟しておかなければいけないのかなと思っています。

自分の中ではそこに向けてまずしっかりと体を作っていって、高校卒業してからアメリカにいてなかなか日本のファンの皆さんの前でプレーできる機会というのはないので、そういった意味ではすごく楽しみにしています。日本開催ということもあって盛り上がると思っているのでやっぱりワールドカップ出たいなと思っています」

――過去5年でベストシーズンという言葉がありましたが、どんなところでそう感じるのか、できれば一言で表していただけますか。

「一言で表すのはいろいろありすぎて、なかなか難しいですね(笑) 先程も言いましたが中身の濃いシーズンでした。違いというと、さっきも少し話を出したんですけどやっぱりその試合がもろに勝敗が直結するような時間帯で、ああいうスーパースターたちと肩を並べてプレイして、その中で信頼を得てパスをもらえたというのは、これまでのシーズンではなかったことなので。自分のワンプレー、一つのミスがチームの勝敗を決めるみたいなヒリヒリする時間帯で、出られるというのは何よりもうれしかったので、その分プレッシャーも大きかったですけど、本当に小さいときから目標にしてきたNBAで、ああいうシーンをイメージしながら練習してきたので、それが一つ形になったシーズンだったのかなと思いました」


今季の思い出深いシーンと語ったラプターズ戦はInstagramにも投稿




文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

タグ: NBA 男子日本代表渡邊雄太FIBAバスケットボールワールドカップ2023

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