石橋侑磨(モンゴル、ザブハン・ブラザーズ)の挑戦——異国の地で描くビッグピクチャー
キャリア展望を変えた海外挑戦
——こうして海外挑戦の機会を得て、バスケットボールが急成長しているモンゴルでプレーしている今季、石橋選手はどのような目標を持って取り組んでいますか?
まずはチームを勝たせる選手になるということですし、しっかり個人的にもスタッツを残すということも目標ではあります。しっかり試合に出て次のシーズンにもつながるスタッツを残したいと思いますし、今季から日本人がモンゴルリーグに入ったというタイミングでチャンピオンになれたら日本でもニュースになるでしょうから、ぜひともそれをかなえたいです。
——ちなみにモンゴルに行く前には、アジアのリーグでプレーしたどなたかに話を聞いていたのですか?
はい。韓国でプレーしていた中村太地さん(現・島根スサノオマジック)や東海大九州の同級生(森口弥:2023-24シーズンに三遠ネオフェニックスに所属、翌24-25シーズンも同クラブでアカデミーコーチを務め、現在は引退)に。本当にシビアな話で、「海外ではどこの国でもいつカットになってもおかしくないので、しっかりスタッツを残して、地に足つけて、いつでも努力をしなきゃならないよね」みたいな話をしました。
——短期的な目標と別に、キャリア全体としてどんなバスケ人生を胸に描いていますか?
モンゴルには日本人選手が3人しかいませんし、このチームでは初めてのケースですから、次世代の子どもたちがもし挑戦したいと思ったときのための橋渡しになれる選手を目指しています。海外留学経験もない僕がこんな挑戦ができるというモデルを見せられるチャンスですから。後続の若い世代がモンゴルでプレーしてみたいと思えるような情報発信もしていきたいですね。そのためにも、3人しかいない日本人選手の一人として、僕もしっかり背中を見せていかなければいけません。
僕はモンゴル行きで自分の選択肢の大きさがすごく変わった感覚があります。スポーツ選手のキャリアは決して長くはないと思うので、今回のような挑戦をできる期間も人生の中ですごく限られた期間だと思っていましたが、今だから、若いから海外挑戦しているということではなく、人生のどんなタイミングでも、挑戦できるのであれば挑戦したいと思うようになりました。求めてくれるチームに行って、求められることをやって結果を出すというのが、自分にとっても求めてくれるチームにとってもプラスになりますからね。
日本に留まることにこだわる必要はないのかなというのも考えます。長年、何よりも日本でプレーしたいという思いが第一にありましたし、今でも日本でプレーできれば僕にとって一つの理想ではあります。でも、以前に比べたら今はいろんな道があって、それは自分たちにとってすごくありがたいことです。海外挑戦は今後のキャリアを考える上でものすごくプラスになりますし、この経験は必ずどこかで生きてくると思っています。
どこであれ求めてくれるチームに行って活躍したいというのが、今の自分の率直な気持ち。選手キャリアを終えるときに1ミリも後悔したくありません。プロバスケットボール選手をやってよかったと思えるキャリアを築いていきたいです。

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——日本でプレーすることについては、石橋選手ご自身の思いと別に、見る側のファンからも望まれているところだと思います。何しろ日本にいたら、石橋さんのモンゴルでのプレーぶりを見ることはなかなかできませんから。
実は僕のところにも、ファンの方からたくさんのメッセージや連絡をいただいています。本当にこのありがたさを、こちらに来て強く感じているんですよね。どれだけ感謝しても追いつきません。
やっぱり異国の地で寂しさを感じる瞬間がときどきあるんです。そんなとき、どこに行ってもファンの皆さんが応援してくれていると感じられることがものすごく力になります。
僕の方から、SNSなどをうまく活用して、チームが公開する映像などをファンの皆さんに少しでも見ていただけるように発信していきたいです。モンゴルにも公式戦の配信サービスはあるのですが、全てモンゴル語のアプリで扱いが難しい上に有料コンテンツなので、僕自身の発信でハイライト映像だけでも見ていただけたらいいですね。日本のファンの皆さんに応援していただけるということは、自分にとってとても大事なことですから!
それと、個人的なファンクラブがあって、インスタグラムの会員専用アカウントもあるので、加入してくださっている方々にはそこでしか見られないコンテンツを用意して、特別な空間を作っていきたいとも思っています。もしご興味を持っていただける方は、ぜひ加入していただけたらと思います。
——モンゴルでバスケットボールが急発展しているこの時期に、石橋さんの存在は貴重な橋渡しになりそうですね。
3人目の日本人として活躍を期待されていますし、頑張りたいですね。モンゴルではバスケットボールが冬のスポーツの中で一番人気だとも聞きました。ザ・リーグは面白いリーグで、会場が満席になるほど盛況ですし、僕がこれからの世代の子どもたちに少しでも何か残せるのであれば、もっともっと頑張っていきたいです。
——最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
本当に急遽決まったモンゴル行きで、皆さんからの激励メッセージを一つ一つ丁寧に読ませていただいて頑張っています。その一つ一つが僕にとって大きな力。心から感謝しています。
皆さんの応援は当たり前ではありません。これからもしっかり活躍してさらに応援してもらえるよう、地に足をつけて精進していきます。日本ではモンゴルでのフルゲームをなかなか見ることができないと思いますけど、僕からの発信なども含めしっかりやっていきますので、引き続き応援のほどよろしくお願いします。
もし可能であれば、モンゴルに応援に来ていただけたらものすごくうれしいです。僕を見てもらうということだけでなく、いろいろと貴重な経験が待っていますよ!

ザ・リーグの試合日程は、Bリーグの半分程度の長さ。レギュラーシーズンが2月末で終わり、その後4月までは10チーム中上位8チームによるプレーオフが行われる。自然も文化も、日本では味わえない魅力を持つ雄大なモンゴルの地で、単身挑戦に乗り出した石橋がその間にどんな爪痕を残すか? 序盤戦の好調から、更なる飛躍を生む奮闘に期待しよう。
☆石橋侑磨公式ファンコミュニティ
文/柴田健
タグ: 仙台89ERS






