Bリーグ

2025.05.06

ブレックスネーションに彩られたジェフ・ギブスのラストダンス「正しくプレーできた15年間だった」


渡邉裕規・遠藤祐亮
ギブスは「ヒーロー」だった

試合前には田臥勇太から花束を受け取り、試合後には竹内をはじめ、かつての仲間たちと熱いハグを交わして、最後には記念撮影もした。

ギブスにとって宇都宮の多くのメンバーがかけがえのない仲間だったと同時に、宇都宮の選手たちにとっても、ギブスは特別な存在だった。

ゲーム1後、渡邉裕規と遠藤祐亮にギブスについて伺うチャンスをもらった。2人に共通でギブスへの思いを聞き、加えて渡邉には対戦相手としての彼の脅威について、遠藤には試合中にギブスがアツくなっていたときに彼をなだめたシーンがあったことについて聞いた。



まずは渡邉のコメントを紹介する。

「年を取っても彼の脅威はありますし、でもそれよりも、僕は前のチームにいたときから彼と対戦するのが毎回嫌でした。彼は当時トヨタ自動車にいましたが、『明日はトヨタだな。ジェフいるなぁ…』って。だから、仲間になってたときは跳んで喜びましたけどね。それぐらい嫌な選手だったので。
彼の日本でのキャリアは僕のキャリアと同じくらいなのかな。僕がルーキーくらいのときに彼がトヨタに来たので。いろいろな思い出がありますし、一緒にチャンピオンシップを取ったブレックスのホームで彼がキャリアを終えるのはすごいことだと思います。
明日もいまだにジェフと試合をするのは嫌ですけど(笑)、でも、それぐらい本当にすごい選手だったなって。日本のバスケットボールリーグの中にすごいインパクト残す選手だったんじゃないかと思います。毎回ジェフのチームとやるのが嫌だったんですけど、そんな彼が来てくれたのは僕以外もみんな喜んでいたと思います。彼が来てBリーグ初年度に優勝して、本当に救世主だと思ってますね。彼にはよくメールを送るんですけど、本当に僕の中ではヒーローなんですよね。いつもヤバいときに救ってくれるイメージがあるので。ジェフのラストなので、(ゲーム2も)お互いに良い試合ができればいいなと思います」



遠藤はこのように語った。

「相手(越谷)にはブレックスにいた選手も多いですし、ブレックスファンからするとほかのチームよりも選手に対しての特別な気持ちは強くあると思います。その中でも日本のバスケ界におけるジェフの15年間の活躍は、本当に誰が見てもすばらしかったと思います。アルバルクにいたときにも勝利に貢献していましたし、チームメイトとしても、そして今、年を重ねても変わらないパワー溢れるプレーを今日も感じました。毎年引退する、しないみたいなことがありましたけど、本当に引退するんだなと。話したときも『本当に引退する』と言っていて、(プレーからも)強い決意を感じました。あと1試合しか(コートで一緒にプレーが)できないんですけど、それがブレックスのホームでできるというのは個人的にも…本当にやっぱり(ギブスは)自分のヒーローのような存在だったので、そういう選手との最後の試合を自分たちができる、そして自分も出場できるのは本当にうれしいことです。あと40分間、しっかりとケガせず楽しんでほしいなと思います」

「(ギブスをなだめたシーンについて)ジェフが結構レフェリーに言っていて、ブレックス時代もよくそういうときにテクニカルファウルを取られてる場面があって。最後の試合だし、そういうふうになってほしくなかったというか。なだめられる間柄だったのもありますけど、今日、明日を楽しんでほしい気持ちで、荒い試合にはしてほしくなかったです。アツくなるのもジェフらしいですけど、そういう気持ちが強かったと思います」

2人が共通して発した「自分のヒーローだった」という言葉が、ギブスが宇都宮で残したレガシーであり、彼のレガシーがクラブに引き継がれていることの証明でもあった。

ギブスは日本での自身のキャリアをこう総括した。

「日本で15年間やった中で、選手からもリスペクトもされましたし、ファンからもすごく応援してもらえたので、本当に自分自身、正しくプレーできた15年間だったと思います」

ゲーム1後には「明日は全てを出し切ってプレーしたい」と語っていたが、まさにゲーム2はその言葉どおりのパフォーマンス。自らの活躍、そして黄色に染まったブレックスネーションに彩られたラストダンスは、日本バスケットボール界に語り継がれる名シーンとなった。






写真/B.LEAGUE、月刊バスケットボール 文/堀内涼(月刊バスケットボール)

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