Bリーグ

2025.04.24

大塚裕土(アルティーリ千葉)、「B2で2年連続3P成功率No.1」の結果が語るもの

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アルティーリ千葉のキャプテンを務める大塚裕土が、2年連続でB23P成功率1位の座に就いた。スターターから控えに回り、出場時間が減った今季は、確率的には「そこそこ」を維持してはいたが、リーグ規定(85%以上の試合に出場し、平均1.5本以上の成功数)に届かず、4月6日に第30節の青森ワッツ戦を終えた時点までは長くランキング外。しかし翌週、第31節の福島ファイヤーボンズ戦を終えたところでランキングをチェックすると、突如として大塚の名がトップに躍り出ていた。


この時点で、アテンプト総計が222に対し成功数総計が87本、1試合当たりの平均成功数がリーグ規定ギリギリの1.5本で成功率39.2%。4月19日、20日に信州ブレイブウォリアーズをホームの千葉ポートアリーナに迎えて行われたレギュラーシーズン・フィナーレは、コンディションに問題がなければ2試合ともコートに立たないことはないだろう。となれば最低でも3本成功させればランクインが確定する。あとは確率の勝負だが、どうなるか?

ゲーム1はアテンプト1本の成功なしで終了。この時点では再び規定を割っており、ランキングに返り咲くためには、最後の60試合目――大塚個人としても全60試合出場を果たす一戦であった――で、3本以上成功させる条件は前日から変わっていない。

プレーオフで再度戦う可能性がある信州ブレイブウォリアーズを相手に、しっかり勝っておきたいこの一戦は間違いなくビッグゲームだ。それだけではなく、勝てばチームとしてリーグ最高勝率記録を2年連続で塗り替える573敗(勝率.950)、前人未到のホーム30勝無敗、クラブ記録に並ぶ1シーズン中の18連勝を同時に達成という歴史的快挙がかかっていた。

自らの力と存在意義を見せつける絶好機。前日もそうだったのだが、大塚は試合前にほかのメンバーたちがロッカールームに戻ったタイミングで、一人コートに残ってシューティングに精を出していた。どんな意識がそうさせたのかは確かめていないが、シューターとして最高のパフォーマンスを来場したA-xx(アックス=アルティーリ千葉ファンの愛称)に披露するというプロフェッショナルな姿勢が伝わるウォームアップだった。


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その取り組みが実る時がやってきた。大塚はそれを逃さなかった。

24-25と1点差を追う2Q残り522秒、自らの好ディフェンスでエリオット・ドンリーのチャージングを誘って得たポゼッションで1本目の3Pシュートを成功させると、その29秒後にももう1本。この2本目は、素速いトランジションでやや乱れたパスをデレク・パードンが懸命につないだ好プレーから生まれた、ダメージのデカい一撃だった。信州の勝久マイケルHCはたまらずタイムアウト。千葉ポートアリーナをブラックネイビーに染めたA-xxから、大歓声が沸き起こる。

タイムアウト明け、大塚はさらに攻めて3連続を狙う。これは決まらなかったが、勢いが止まらないアルティーリ千葉はブランドン・アシュリーが速攻からダンクをぶち込み、黒川虎徹のレイアップとたたみかけた。

そしてこのクォーター残り225秒、大塚の3本目がズドン! 1本目の成功から約3分間の13-3のランで、アルティーリ千葉は1点ビハインドから37-28の9点リードに。

試合は最終的に、この時点と同じ9点差の82-73でアルティーリ千葉が勝利。大塚自身この流れでの9得点がこの試合での全得点だった。言ってみれば「大塚分だけ勝ち」だったわけだ。

あたかも、キャプテンである大塚が、本来のシューターとしての存在感でチームを引っ張っていることを象徴するようなレギュラーシーズン・フィナーレ。自分たちが昨季生み出した歴代最高勝率記録の更新をはじめとするチームとしての快挙達成と同時に、大塚はこの時点で再び3P成功率ランキングのトップに立っていた。アテンプト227に対し90メイクの成功率39.6%。翌日の神戸ストークスvs鹿児島レブナイズが終わるまで確定ではないとはいえ、3P王の称号はこの時点でほぼ大塚が「当確」だった。

「シーズン中は正直、心の波が相当上下しました。いつコートに出るか分からないし。昨日もアテンプト1本だけ。スペースを広げる意味で仕事はできたと思いますけど、突然出てすぐ下がってということがシーズン中かなりあったので、力を発揮するのが難しかったです。でも、その中でも打っていかないといけません。アルティーリ千葉の3P成功率を引っ張っていくのも自分の役目。ペイントでの得点が多いチームですけど、自分の確率がチームに直結するんだと自分にプレッシャーをかけてやってきて、プレーオフ前に確率を上げられてよかったです」

大塚は試合後、長いシーズンを振り返ってそう話した。

文/柴田健

タグ: アルティーリ千葉

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