高橋芙由子(FLOWLISH GUNMA.EXE)、3x3人生の格言――FIBA3x3アジアカップ2025銀メダリストにインタビュー

©FIBA.3x3.WomensSeries2024
去る3月26日〜30日にシンガポールで行われたFIBA3x3アジアカップ2025において、日本の女子3x3歴代最高成績となる銀メダル獲得と得点王の栄誉を手にして帰国した高橋芙由子(FLOWLISH GUNMA.EXE/高は「はしごだか」)。ゴールデンウイーク前の4月26日(土)~27日(日)に栃木県宇都宮市で行われるFIBA3x3ワールドツアーの今季開幕戦「FIBA 3x3 World Tour Utsunomiya Opener 2025(以下宇都宮オープナー)」と、3x3.EXE PREMIER 2025(以下プレミアと表記)の女子開幕ラウンドの開催発表会見が行われた4月9日、高橋に時間をもらい、これまでのバスケットボール人生や今季に向けた意気込みなどを聞かせてもらった。
身長164cmの高橋は、シュート力とアグレッシブなドライブに加え、粘り強いディフェンスが魅力のプレーヤーだ。秋田県秋田市出身で、秋田北中時代には県選抜としてジュニアオールスターに出場してベスト8に進出。名門桜花学園高を経て、白鷗大では同大初のインカレ制覇に貢献し、卒業後に秋田銀行で4年間プレーしたところで3x3との縁が始まった。現在30歳のボーラー。プレーヤーとしての成長はもちろんのこと、3x3シーンで活躍しながら拠点とする群馬県や故郷の秋田県にどんな恩返しができるか、思いを巡らせながら前進を続けている。
スカウティングされても止められないレベルを目指す
——アジアカップからご帰国されて約1週間、どんなふうに過ごされていましたか?
試合もまた控えているので、一気に休むっていうこともなかったですが、やっぱり会う人、会う人、皆さんにおめでとうと言っていただいて、自分が思っていたよりもずっと多くの人に見てもらったんだなぁって感じました。本当に毎日うれしく思うのと同時に、またチームとしての活動が始まるので、そこでもしっかり結果を出していかなきゃなと思っていたところです。
——練習は普通にやられていたんですか?
先週の土曜日(帰国後最初の週末、4月5日)だけは、対人メニューなしで他のメンバーがやっているのを見ながらアドバイスするような内容でしたが、コンディションも大丈夫ですし、それ以外はみんなと同じスケジュールでやれています。
——昨季のプレミアは準優勝でしたが、今季はご自身のどんなところを高めていきたいと思っていますか?
昨季タイトルを取れずに終わってしまったので、今季は必ず取りたいという思いが自分の中ですごく大きいです。チームのメンバーもちょっと変わりましたし、チームとしての経験値をたくさん積んでいく中で、形にしていきたいなと思っています。
——ご自分というよりもチームリーダー的な意識の方が強そうですね。
そうですね。自分自身がやらなければというか、私と横井美沙選手を中心とするチームという形はこの先もしばらく変える気はないので、自分たちが責任を持って引っ張っていく意識でやるつもりでいます。
去年はちょっと気負っていたところがありました。WS(FIBA3x3ウィメンズシリーズ)で準優勝という結果を出せたのもあって、いつの間にか「勝たなきゃ!」みたいなプレッシャーが必要以上に大きくなってしまっていたんです。今季は、もっともっとチームで一緒に試合を楽しみながら勝っていきたいなって思います。

©FIBA.3x3.AsiaCup2025
恩師、佐藤智信監督(白鷗大)の言葉を胸に更なる飛躍を期す
——練習にはどんなペースで取り組んでいますか?
週4~5回です。まだシーズン前なので、試合がない週末は土曜日に「二部練」にして結構ハードにやっています。ウチのコーチの練習はハードだと思います。
——ご自分で、プレーヤーとして向上させたい部分はどんなところですか?
アジアカップではシュートが自分の中で安定していた(全5試合でフィールドゴール・アテンプト48本中25本成功[成功率52.3%]、うち2Pシュートは23本中11本成功[同47.8%])ので、決定力を常にあのレベルまで持っていきたいですね。国内の試合の方が多分ディフェンスがきついと思うんです。どの選手も足がよく動くし。その中で、自分としてはシュートを安定させて常に力を発揮するのが一つの課題です。
それと、映像でも私のプレーがたくさん出ているので、やっぱり相当スカウティングされてくると思うので、それにしっかり対応するのも挑戦ですね。スカウティングされても止められないレベルを目指していきたいです。
——ちょっと違う目線の質問ですけど、3x3の発展に高橋選手としてはどんなふうに関わっていきたいと思っていますか?
そうですね。まずは全体としての競技力を上げていくことで、自分自身がそれを引っ張っていけるような選手になりたいと思います。また、チーム運営に関わっている身としては、「ウチのチームが日本の女子3x3というカテゴリーを引っ張っていく存在にならなきゃいけないよね」ということを、常々チームメイトやオーナーと話しています。いろんな施策を打ちながら私たちが引っ張っていくという意識を常に持っていきたいです。そこはマネジメント的な視点ですが、群馬に移住してオーナーと話す機会もすごく多いので、選手とは別の視点でもチーム運営を見ている感覚です。
——自分の中で、今、大事にしていることはどんなことですか?
大学の時に佐藤先生(女子バスケットボール部の佐藤智信監督)に言われていたのが、「優勝するチームは強いか弱いかではなくて、優勝するにふさわしいか、ふさわしくないかで決まるんだよ」ということでした。それを、今になってすごく考えるようになっているんです。何に対しても、自分がなりたい姿に到達するためにふさわしい行動をしているのか。それを大事にしています。佐藤先生にそう言っていただいたことに、本当に感謝しています。
——この先、6月にワールドカップがあり、再来年はもうオリンピック。こうした目標に向けてはどんなお気持ちですか?
誰が選ばれるかはまだわからないですが、やっぱり、選ばれる4人の共通認識みたいなところが大事になると思います。次は違うメンバーかもしれないし、自分が入っているかもわかりません。でも、世界と戦うにはチームとしての共通認識だとか、経験値の共有だとかをもっともっとやっていきたいな、やっていけたらいいんじゃないかなと思います。自分が選ばれたら、そういうところを伝えながら、「自分がどんどんやるよ!」というところを示して自分のプレーを出していきたいと思います。
<関連リンク>
☆3x3.EXE PREMIER 2025 公式サイト
☆FIBA 3x3 World Tour Utsunomiya Opener 2025 大会公式サイト
文/柴田健