Bリーグ

2023.09.13

「Jr.NBAショーケースで得たもの」仲村匡世コーチ&中村颯斗選手インタビュー

日本とは異なる練習の質、できて当たり前?


Q.世界16ヵ国から言葉、文化も違うトップユース選手が集結したわけですが、練習はどんな形で進んだのでしょうか?

仲村コーチ「中村選手も感じたと思いますが、次々と練習が流れていくというイメージです。僕の印象ですが、日本の方がコーチも選手も1つ1つのメニューをしっかりこなす意識が強いと思います。自分が大学時代にアメリカに行った際の話にもつながるのですが、向こうではいかに試合でパフォーマンスを発揮するかが重要なんです。だから練習で何かを習得というよりも確認という意味合いが強い。捉え方が大きく違うと思います。練習は育成よりも優秀な選手を残していくという場なんだと思います」

Q.出来て当たり前というのが前提にあるわけですね。

仲村コーチ「そうですね。明文化されているわけではないですが、そういうニュアンスはあると思います」

Q.今回のJr.NBAショーケースは、コーチも世界から来ていたようですが、その方たちも同様の進め方なわけですね。

仲村コーチ「そうですね。世界から来ていて、中村選手がいたチームにはセルビアで多くの実績を残している育成コーチがいました。今回は、優秀な選手たちが集まっているので、スキルを教え込むような場ではないという意味合いも強かったと思います。ただ、アメリカでは、そういう空気感はかなり強いです。これは僕の経験上ですが、ヨーロッパのコーチに関しては、練習の際にチームとしての動き方の約束を決めようという傾向があります。多くの才能がいるアメリカと違い、ヨーロッパの場合は少ない人口でもハイレベルな選手を育成しなければならないので、そういった指導になるのではないかと思います」



改めてチームプレーの大切さを考えたという中村選手




Q.実際にコーチングを受けた中で、中村選手が練習で気づいたことはありますか?

中村颯斗 「アメリカの選手は才能もあって1対1が強かったです。ただチームプレイの練習でも、決め事を守らず1対1で攻める選手もいました。チームプレイが大切だなと感じたのはそういうところですね」

Q. Jr.NBAショーケースの中で、中村選手の変化、成長というのは感じましたか?

仲村コーチ「1週間の中ですごく成長を感じましたね。言語が通じないという中でやっていたので、最初は不安とかあったと思います。コート外では僕がサポートできるけど、コートの中では自分で解決しないといけないことがほとんどです。だんだんコツを掴んでいって最後はチームメートからの信頼も勝ち取っている雰囲気はすごく感じましたね。それでコーチからも最終的にはスタメンで行くとなったのですが、短期間で信頼を得るだけのものを見せたのはすごいことだと思います」

Q.Bリーグでは、B.革新と銘打ち2026年に新たなスタートを切ります。その中で、5人のNBA選手を生み出すという具体的な数値目標の一つがあります。今回のような海外での経験というのは、日本バスケを促進させるものになりうると思いますか?

仲村コーチ「これはかなり強く言いたいんですけど、特に選手に関しては確実に海外を経験しといた方がいいです。これくらいのレベル選手が世界にはいるんだというのを肌身で感じることで新しい物差しを手に入れることになります。それが今後のステップアップにも繋がるはずです。コーチに関しても全く一緒で、日本の考え方と海外の考え方で必ずギャップはあります。場合によっては日本のほうが優れているケースもある。海外の良さを取り入れて日本の良さとミックスさせていくことはプラスになると思います」

Q.“新しい物差し”ということで、中村選手が感じたことはありますか?

中村颯斗 「自分はドライブも得意ですが、一番はアウトサイドのシュートを得意としています。ショーケースでは周りの選手が個人技だけでフィニッシュまで行ってしまうので、キックアウトとかも少なくなります。自分の得意を生かすならば日本でチームとして戦うほうが合っているなと感じました」



取材・文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

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