中学(U15)

2023.03.27

「BリーグU15女子チャンピオンシップ」に見るBユース女子発展の可能性

見られる機会の増加が才能を評価してもらう近道に

3クラブのヘッドコーチへの取材から、現状はコーチ陣がハイライト集を作成して売り込んだり、つながりのある高校に対してアプローチするというのがBユース女子の主な進学への道となっている。大会が少ない以上、自発的にアクションを起こすことがバスケットボールで進学するという意味ではほぼ唯一の手段ということだ。(もちろん一般受験で進学する選択もある)

福島U15 #1齋藤凌花

大会MVPを受賞した福島U15#1齋藤凌花は4月から宮城県の強豪校に進学する


「選手の育成という面では親御さんも子どもたちも本気なので、それにふさわしくあるためにコーチも熱量は大切にしています。それが崩れてしまってはお金を払ってでも来てくれている親御さんと子どもたちが求めていることと違ってしまいます。高校のカテゴリーに進んだときにどう生き残っていけるのかを大切に指導していて、仲間とどれだけ助け合って戦えるのかというところは絶対に譲りたくありません」と内村HC。

神尾HCも「選手の多くが高校、大学と見据えて、中には日本代表になりたいという意思を持った子もいます。中学だけで結果を出すよりも先々も見据えて、その子の将来のためになるような指導を心がけています。中学3年間で優勝するためだけではなく、選手それぞれが高校生になってもプレーできるように育てていければなと思っています」と言う。

秋田U15 #嶋森羽奏

秋田U15#3嶋森羽奏(175cm)はまだ中学2年生ながらオールラウンドなスキルを発揮。大会ベスト5にも選ばれた


両HCの言葉のように、今大会に参加した選手たちの中にも高校のカテゴリーで十分に通用し得るスキルを持った選手は非常に多かった印象だ。だからこそ、大会に参加し目に留まるチャンスが増えれば選手たちの可能性はさらに広がっていくに違いない。Bユース男子では徐々にU18カテゴリーも整備され始め、ユース育成枠を利用してU18以下のカテゴリーからBリーグデビューする選手も現れ始めた。

そうした発展を受けて尺野HCはこんな思いを口にする。「今回、こういう機会を作ってもらえてすごい良かったと思います。今はBリーグが(女子を含めた)U15のユースチームを保有していますが、Wリーグがもっと盛り上がってきたら女子のユースを持つチームが出てくるかもしれません。そうなれば、U15の女子ユースにも(U18より)先ができてくるかもしれない。そういう未来に向けた取っかかりとして、この大会ですごく良い場を提供してもらえたなと思います」

まだまだ発展途上なBユース女子。例えば第2回大会には高校の指導者を招待したり、よりオープンな大会にできるような施策が打てれば大会自体の価値向上、さらにはBユース女子の可能性を広げることにつながるはずだ。

現時点ではチームによる実力差や育成の体制差は見受けられるものの、大会を通してみると白熱した試合展開も多く、特に優勝争いの行方はハイレベルなものだった。それだけに、今大会が継続的に開催される大会となって、世に浸透していくことを期待したい。

写真/山岡邦彦、石塚康隆 取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

タグ: Bリーグ

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