Bリーグ

2023.03.10

屈辱の大敗、ダブルOTの劇的勝利、試されるアルティーリ千葉


クラブ初となるダブルOTでの勝利


そんな状況での一戦は死闘という言葉がふさわしい大激戦となった。前半はA千葉がインサイドでの得点を軸に44-3410点リードでハーフタイムを迎えたが、後半は福島のシューターたちが高確率で3Pショットを成功させ、83-83の同点でオーバータイムになだれ込む。その最初の5分も勝負がつかず、最終的にはダブルオーバータイムの末にA千葉が110-107で勝利した。ダブルオーバータイムによる勝利はクラブ創設後初のことだ。


3月4日の福島ファイヤーボンズとのGAME1、負けられない一戦で37得点と爆発的な活躍を披露したブランドン・アシュリー(写真/©B.LEAGUE)

試合終了の瞬間レマニスHCは、勝利を確かめるかのように、緊迫感で強張った長身をしばし折り曲げて両手でホームコートのフロアをなでるような仕草を見せていた。フィールドゴール17本中15本とフリースロー9本中7本を成功させて37得点、10リバウンドを記録したアシュリーはモンスターと呼べる大活躍。キャプテン大塚裕土は73-796点差を追う第4Q残り232秒から、クラッチスリー2本を沈め仕事人ぶりを発揮した。

試合後の会見でレマニスHCに前節からの一週間の様子を聞くと、「先週の日曜日は恥ずべき結果で、乗り越えるのがとても難しかったです(That was embarrassing last Sunday. Like that was difficult to go through.)」と正直な言葉が帰ってきた。「あんなパフォーマンスの後は丸ごと一週間、次にプレーするまで肩に重くのしかかってくるものです。あれは我々の本来の姿でも、ありたい姿でもありませんから(And then a performance like that I think sits on us heavy on the shoulders for the entire week until you get to play again. It's not the representative of who we are or who we want to be as a team.) 」


苦しんだ一週間だったがその間の練習成果が福島とのGAME1で出たことをアンドレ・レマニスHCは語っていた(写真/©B.LEAGUE)

シーズン半ばの7連勝という経過の中で、どこか練習にも馴れ合いが生まれていたかもしれない。まだ何も成し遂げていないのに、いつの間にかすべてがうまく行っているような気がしてしまう。そういう状態だったかもしれない。レマニスHCはメンタル面のほころびを感じていたことに触れながら、福島にダブルオーバータイムで勝てたことは、それ自体が自信になるとほっとした表情を浮かべていた。

一方、第4Qのビッグショット2本を含めこの試合で12得点(試合を通じての3Pショット成功は3本)を記録した大塚は、別の視点からチームを見つめていたようだ。

「気持ちを上げていくのも大事なんですけど、もう少し相手の弱みを自分たちが理解したり、見つけたり、話し合って実行できるのが、プレーオフを勝つために大事だと思います。そうしないと越谷戦のように良くない雰囲気になったときに、誰も打破できなくなってしまいます。そういうところで今週は量(を増やすこと)やコミュニケーションをしていました」


こちらも3月4日の試合から。大事な場面でキャプテンらしくビッグショットを成功させた大塚裕土(写真/©B.LEAGUE)

それが福島とのGAME1に現れたという。「我慢してやり続けるというのは、今日の結果として出せたんじゃないかと思います。僕自身が熱くなりました(コンタクトプレーで感情をあらわにした場面があった)が、あんなことも戦う姿勢を見せる意味で大事だと思うので、よかったです」



取材・文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: アルティーリ千葉

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