【バスケW杯】男子日本代表、最速なら8/31にパリオリンピック出場権獲得 - 17-32位決定戦展望

堅実なディフェンスと爆発的なオフェンスで勝機を見出す日本

日本がオリンピック自力出場をかなえられるとすれば、1976年のモントリオール大会以来48年ぶりの快挙。また、1979年に中国が国際オリンピック委員会に加盟して以降初めてであり、この意味でも新たな歴史を作ることになる。


日本はチームとしての平均得点83.3がアジア勢6チーム中1位。本来大きな武器となるべき3Pショットの成功率が28.1%で同最下位(大会全体で32チーム中30位)と振るわないが、逆に2P成功率61.5%がアジア勢トップで大会全体でも8位の高水準だ。平均ターンオーバー数13.7はアジア勢の中では2位タイ(少ない方からの順位)であり、強豪相手にロングレンジの不振に苦しみながらも、オフェンスでは一定以上の威力と堅実さを発揮できている。

日本の屋台骨となっているのは、現在フィールドゴール成功率70%で平均23.3得点、そして12.0リバウンド(いずれもチームトップ)を記録しているジョシュ・ホーキンソンの獅子奮迅の活躍だ。日本はリバウンドでも平均35.0本がアジア勢6チーム中3位。その健闘を支えているのはホーキンソンに他ならない。


期待通りの大活躍を見せるジョシュ・ホーキンソン。日本にとって非常に頼もしい存在だ(写真/©FIBAWC2023)


平均16.0得点の渡邊雄太が、数字では見えにくいディフェンス面でのハッスルや、失点後のクイックスタートなど目立たない部分でチームに勢いをもたらしているのも大きい。また、見逃せないのは富樫勇樹(平均17.5分の出場で4.7得点、4.7アシスト、1.7ターンオーバー)と河村勇輝(平均20.5分の出場で11.7得点、6.3アシスト、2.3ターンオーバー)というコートに立つ時間が長いポイントガードの二人。世界的にも強豪とされるドイツ、フィンランド、オーストラリアを相手に二人合わせて15得点越え、アシスト・ターンオーバー比率で2.75と好数字を残したことは高く評価されるべきだろう。


172cmと小柄な河村勇輝だが、今や世界の注目を集める存在だ(写真/©FIBAWC2023)


3試合目のオーストラリア戦で今大会初得点を記録した富樫勇樹。調子を上げて臨む17-32位決定戦でのさらなる活躍に期待がかかる(写真/©FIBAWC2023)

対戦相手のベネズエラとカーボベルデはそれぞれ特徴があるチーム。初戦で当たるベネズエラはランキングでは格上で、1次ラウンドのグループFでは4チーム中地区予選段階の平均失点(67.2)が最少、スティール数10.7とブロック数(3.6)が最多というディフェンシブなチームだ。しかし、今大会ではまだ勝ち星がない。

ベネズエラは、フェルナンド・ドゥロHC30日のジョージア戦後に明かしたところでは、196cmのパワーフォワードで得点源の一人として期待されたマイケル・カレラが、故障のためスペインの所属チームに戻ってリハビリを開始するため、日本戦を欠場する。カレラはスロベニアとの初戦で10得点、4リバウンド、2アシスト、1スティールの活躍を見せていた。ベテランの離脱は少なからずベネズエラのチーム状況に影響を及ぼしそうだ。また、ベネズエラではポイントガードのグレゴリー・ヴァルガスも、同じく故障で日本戦欠場の見込みとのことだ。

日本にとって今大会の締めくくりとなる対戦相手のカーボベルデは、221cmのビッグマン、ウォルター・タバレス(公式サイト等ではEdy Tavaresと表記されている)がリバウンダーとして存在感を発揮し、得点源としては運動能力の高いイバン・アルメイダ(197cm、フォワード)、ベティーニョ・ゴメス(203cm、スモールフォワード)、ウィリアムズ・タバレス(195cm、フォワード)らが活躍している。ワールドカップ初出場のチームだが、ベネズエラから歴史に残る勝利を挙げ、士気も高い。確立されたビッグマンがいてチーム全体のフィジカリティーが高い相手であり、ランキングでは格下であっても、日本にとっては大きなチャレンジだ。



8月28日のベネズエラ戦でワールドカップ初勝利を挙げたカーボベルデ。ランキング上は日本より下位とはいえ、勢いの面でも決して軽視できない強敵だ(写真/©FIBAWC2023)

ただし、上記の核となる戦力を持つ一方で、今大会での平均得点は72.7得点(32チーム中28位)と相対的に低く、データ上では爆発力の点で日本に分があるようにも思える。

実はベネズエラも平均73.0得点で27位と同様の傾向。17-32位決定戦での日本は、これまで以上にハイレベルなディフェンスを40分間徹底して高得点を阻止することが、勝利をつかむカギとなりそうだ。その上で、高水準を維持している2Pショットでの得点力を維持しながら3P成功率を高められれば、2連勝が見えてくる。


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文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: FIBAワールドカップ2023

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