月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.04.12

渡邊雄太(ラプターズ)、キャリアハイ14得点からの展望

 

「驚くべき貢献」が毎試合求められる段階に

 

 日本時間4月11日(アメリカ時間10日)に行われたクリーブランド・キャバリアーズ対トロント・ラプターズの一戦で、渡邊雄太がキャリアハイを更新する14得点と5リバウンド、1アシスト、1スティールを記録し、135-115の快勝に大きく貢献した。±も+6。フィールドゴールは7本中6本成功の85.7%で、3Pショットは2本のアテンプトをいずれも成功させた上に、そのうちの1本は第1Q終了間際のブザービーターというおまけつきだった。
ラプターズはこの日、渡邊の他にも著しい活躍を見せたプレーヤーが多かった。3月のトレードデッドライン直前に加わったシューティングガードのゲイリー・トレントJrは、19本中17本のフィールドゴールを成功させてキャリアハイの44得点。また、前の試合に続いてキャリア2度目のスターターとして出場したポイントガードのマラカイ・フリンは、20得点と11アシスト(ともにキャリアハイ)で自身初のダブルダブルを記録した。
プレーイン・トーナメント出場を目指すラプターズは、この試合を終えた時点で21勝32敗のイースタンカンファレンス11位で、同トーナメント出場圏内ギリギリの10位に位置するシカゴ・ブルズ(22勝29敗)を2ゲーム差で追っている。4月に入ってからの5試合は3勝2敗と持ち直しているが、勝つ試合は序盤から大差をつけるのに対し負ける試合は同じ時間帯に大量リードを奪われてしまうという波の大きな戦いぶりが続いている。そんな傾向が露わなこともあり、この日の試合後会見でのニック・ナースHCは、明るい表情を見せつつも「もう少し安定した形でこれをしてもらえたら…」と正直な印象を言葉にしていた。
ラプターズはフロントラインの補強を進め、層を厚くしている。Gリーグで活躍したことが認められ10日間契約でチームに加わったビッグマンのフレディー・ガレスピーは、この試合でNBAデビューを果たし、かつ18分の出場時間を得て6得点、4リバウンド、1ブロックと十分期待に応える活躍をした。ラプターズはガレスピーの他にも、オーランド・マジックから放出されたばかりのセンター、ケム・バーチをフリーエージェントとして獲得。ナースHCはバーチが日本時間12日(アメリカ時間11日)の対ニューヨーク・ニックス戦にも同行することを明かしており、主力の欠場とインサイド・プリゼンスの不足を補う補強の成果を短期間で得ようとスクランブル状態にあることがうかがえる。
こうした状況を見ると、キャリアハイを更新したばかりにもかかわらず、渡邊の出場機会が今後増加するかどうかは楽観視できない。ここ数試合と同じだけの出場時間を得続け、あるいはさらに多くの機会を得るためには、これまでの姿からもう一歩前進した「驚くべきレベルでの貢献」を常態的に期待させることが必要になるだろう。

 

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