NBA

2021.04.12

渡邊雄太(ラプターズ)、キャリアハイ14得点からの展望

ナースHCはキャバリアーズとの試合後会見で、キャリアハイの14得点を記録した渡邊に対する期待感と課題の両方を語っていた(写真をクリックするとインタビュー映像を見られ、下記本文中の回答は映像の残り5分10秒あたりから始まります)


渡邊の活躍に称賛を惜しまないナースHC

 

 ナースHCが試合後会見で語ったコメントからも、そのような方向性が感じられた。前述のコメントもその一つだが、その全体の流れは以下のようなもので、「勝って兜の緒を締める」内容になっている。

 

「(チーム全体として)今夜はよくできましたが、いつも言っていることは、『これをもう少し安定した形でしてもらえたら…』ということなんです。ここにいるプレーヤーたちの中で、NBAで通用しない者がいるとは思いません。でもロスターの端から中堅へ、そしてさらに次なる段階へと目指したければもう少し安定感がなければ…。今夜は素晴らしかったですが、苦戦する夜もありましたよね。失敗を取り繕って強みを生かし、堅実な活躍ができるようにすることが我々には重要なんです」
Well, we did tonight and that’s what we’re always talking about, right? It’s “Can you do it a little bit more on a consistent level…”, right? I mean, I don’t think any of these guys would be here if they weren’t NBA caliber players. But inching up from the back of the roster to the middle of the roster or even further, you’ve gotta do it a little more consistently so…, they had a great night tonight. They had some struggling nights, too, you know we’re just trying to patch up you know some of their mistakes and played to their strengths and things like that, so they can have little bit more solid nights is what we’re really after.

 

 ナースHCは個別に渡邊に関しての称賛を惜しんではいない。その後の回答では以下のように、高評価を聞かせてくれている。

 

「我々は彼を高く買っています。今夜も本当に良い活躍ぶりでした。ほとんどミスが見当たらないという意味で、前向きな要素をくれるプレーヤーです。彼はミスをしませんよね。彼の機会は走り、切れ込み続けることで得られています。望むのはゴールに向かってドライブして1対1になったら何とかねじ込んできてほしいということで、それができるようになってきています」
We’re high for him, he was really good tonight I don’t think I can really think of many mistakes. Again, he’s a positive player in that fashion. He doesn’t make mistakes. He got some opportunities just because of his continuous running and cutting. And he again we’ve asked him when he makes those drives at the rim and it’s one-on-one that he’s gotta find a way to finish him and he’s starting to do that.

 

 さらにナースHCは、2月の左足首ネンザが思いのほか渡邊に大きな影響を及ぼしていた可能性にも言及した。

 

「ここ2日間くらい思っていることなのですが、しばらく前の例の故障の後、元に戻るのに時間が必要だったのかもしれないなと。長い間、それまでと同じ躍動がフットワークになかったかなというのを、1-2試合前にちょっと思いました。あの故障は我々が思っていたよりも大きな影響があったのかもしれません。今は、心身の状態として戻ってきたんだと思います。あの故障までは堅実にプレーしていましたからね。苦しい時期もありましたがここ数試合は好調で、今夜はご存じのとおりキャリアハイです。ディフェンス面で素晴らしく、ハッスルでほかの部分を補っているだけにうれしいことですね。良くなってきているので、できるだけコートに立たせたいとは思っていますよ」
I didn’t think about this until about two days ago as he…, he had that injury a while back and took him a while to get back from it. He just didn’t kind of seem to have the same pop in his step there for a long time and I just kind of noticed the other day in the last game or two that he was kind of back to…, maybe back to himself and that injury maybe was a bit more of a factor than we thought it was. I think his, you know his fitness is back to full fitness because he really played solidly you know leading to that injury. He had a little bit of struggle moment. But last few games he’s been good and now obviously career high tonight. It’s good to see because he’s really really good defensively as you can see and his hustle plays always are good. They rub off on others so…, happy to see him progressing and hopefully I can keep finding more minutes out there on the court.

 

 渡邊に対する期待感と克服されるべき要素の両方がナースHCのコメントに出てくる。2ケタ得点できるオフェンス力、ブザービーターを決める思い切りの良さ、相手のエース級を苦しめるディフェンス力、チームに勢いをもたらすハッスル、改善に取り組む真面目さのどれもみせてきた。しかしそれを毎試合、どの側面でも結果として出し続けられるか。
バック・トゥ・バックでプレーするニックスとの試合ではどんなプレーがみられるだろうか。ひとたびコートに立つ機会を得たら、長い時間であれ短い時間であれ、相手がジュリアス・ランドルであれRJバレットであれ、ことごとくマッチアップの得点機を奪い、バスケットボールを熟知したマディソン・スクエア・ガーデンの観客から称賛と憎悪の入り混じった唸り声が上がるようなシーンを期待したい。

 

【関連記事】 ゲイリー・トレントJr(ラプターズ)、渡邊雄太との距離を一歩縮める - 名前の呼び方は「ユウタ」と確認
【関連記事】 渡邊雄太とディアンドレ・ベンブリー、ラプターズで育まれる友情

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



PICK UP