月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.05.21

「八村 塁所属のウィザーズ、チャンピオンシップまであと16勝」と書いてみる


八村 塁が所属するワシントン・ウィザーズが、2021NBAプレーオフ進出を決めた。これにより、日本人プレーヤーが初めてNBAプレーオフの舞台に足跡を印、同時に当事者としてNBAチャンピオンを語れる日がやって来た。
今シーズンの八村は昨シーズンに比べ、数字的に飛躍的な上昇を見せたというわけではないのだが、57試合に出場して平均13.8得点(昨シーズンは13.5)、フィールドゴール成功率47.8%(同46.6%)、3P成功率32.8%(同28.7%)、フリースロー成功率77.0%(S同82.9%)、4.6リバウンド(同4.5)といった具合に、新型コロナウイルスのパンデミック下の難しいシーズンにおいて堅実な貢献をもたらした。スコット・ブルックスHCは八村の安定感を高く評価し、ラッセル・ウエストブルック、ブラッドリー・ビールら先輩たちとの連係を高めている様子に大いに信頼を寄せている。
ウィザーズの試合日の会見では、ブルックスHCと彼ら二人のスーパースターをはじめとしたチームメイトから八村への称賛がたびたび聞かれるが、それは身内からだけのことではない。例えば、プレーイン2試合目で対戦したインディアナ・ペイサーズのネイト・ビョークレンHCは、レギュラーシーズン中の対戦時に八村を「非常に頭の良いプレーヤー」と言い表した。ミルウォーキー・バックスのマイク・ブーデンホルザーHCは、八村をウエストブルックとビールに次ぐ「もう一人の男」と称し、そのオフェンスを抑えることを「挑戦だ」と語った。アトランタ・ホークスのパワーフォワード、ジョン・コリンズは「ルイは多才だ」と表現した。ウエスタンカンファレンスでプレーオフに進出するダラス・マーベリックスのリック・カーライルHCは、八村がウィザーズの「ビッグスリーの一角にまでのしあがってきた」とその成長ぶりを高く評価した。
八村自身は、コート上の様子からも会見で聞かれる言葉からも、自分が対戦相手やマッチアップ相手に負けることを意識の片隅にすら置いていないような姿勢を感じさせる。どこで誰に対していても自分自身を見失わずに対応しているような、威風堂々とした雰囲気だ。ペイサーズとの試合を終えた後の会見でも、「最初から全然負ける気がしませんでした」と仕事に集中できている様子だった。23歳の若さにして、内面的に非常に研ぎ澄まされた成熟度を感じさせる。



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