月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2021.06.02

千葉ジェッツがBリーグ初制覇 – 宇都宮ブレックスを71-62で下す

千葉ジェッツは3度目のファイナル進出で初のリーグ制覇を達成した(写真©/B.LEAGUE)


宇都宮ブレックス、千葉ジェッツ双方1勝1敗のタイで迎えたB1ファイナルGAME3は予想通り大激戦となったが、第4Q終盤の3分間に千葉が突き放し71-62で勝利。ファイナル進出3度目で初めてリーグ制覇を達成した。

 横浜アリーナに4,785人のファンを集めて行われが最終決戦は、最終スコアが20点差以上開いたGAME1、GAME2とは異なる接戦となった。開始から第1Q半ばまでは両チームとも点を取り合い、残り3分28秒に比江島 慎がペイントでレイアップを決めこの日初得点を記録した時点でスコアは16-16。

 ここから最初に流れをつかんだのは千葉で、続くポゼッションで西村文男とのピック&ポップからパスを受けたギャビン・エドワーズがトップから3Pショットを放り込み19-16。さらに残り1分18秒にも、西村-エドワーズの同じ位置でのピックプレーから、今度は西村自身がミドルショットを沈めて21-16と5点のリードを奪う。

 しかしこの時点で流れが大きくどちらかに傾くことはなく、この後宇都宮はテーブス海が難しいドライビング・レイアップをねじ込み3点差に追い上げてクォーターを終えた。

 第2Qから第3Qにかけてはまさしく互角の展開で、前半終了時点のスコアは35-35。第3Q終了時点でも50-50と同点のままだった。どちらのチームにも我慢の時間帯が続き、ディフェンシブな内容でロースコアな展開。宇都宮は第1Qに9本放った3Pショットがすべて外れていたが、第2Qと第3Qには10本中5本を成功させ、オフェンス面で良い感触をつかみかけていたように思えた。

 千葉は、第1Qに2つのファウルを犯した富樫勇樹、第2Qに同じく2つのファウルを吹かれたジョシュ・ダンカンが、その後致命的なファウルトラブルを回避できたことが、終盤の展開に好影響をもたらした。富樫は第3Q半ばに3つ目、しかもアンスポーツマンライクファウルを取られたが、これも結果的には比江島が速攻でイージーバスケットを奪う機会をつぶし、かつ比江島がフリースローを1本ミスしたことで、千葉にとって良い形につながった。

 この比江島のフリースローを終えた残り6分14秒時点でスコアは42-38の宇都宮リード。千葉はシャノン・ショーターがポストプレーからレイアップを流し込み42-40と追いすがるが、残り4分33秒にはライアン・ロシターが速攻で比江島のアシストを受けダンクで再び44-40と4点差。このまま宇都宮が抜け出すかという雰囲気もあった。

 ところがここから流れに影響を及ぼすプレーが短い時間にいくつも続いた。まずはこのクォーター残り4分1秒、LJピークがコー・フリッピンからエドワーズへのパスをはじき、そのボールがサイドラインを割るところに飛び込んでナイスセーブ…と思いきや、ダイブしたピークの足がラインを踏んでおりスティールならず。また、この直後の千葉のオフェンスで、ショーターが放った3Pショットがリングをかすめてエンドラインを割るかというところをダンカンが飛びついてナイスセーブ。宇都宮ボールになりそうだったボールはペイントにいたエドワーズにつながり逆にダンクが生まれ、44-42と千葉が2点差に追い上げた。

 さらに続く宇都宮のオフェンスで、ロシターとジェフ・ギブスがトップでピック&ロールを展開しようとした際、ギブスのピックがオフェンシブ・ファウル取られた。ほんの僅か、ロシターの動き出しとギブスがピックをセットするタイミングがずれたことでのターンオーバー。しかしこれが直後の千葉のオフェンスで、フリッピンのしぶといミドルジャンパー成功につながり、スコア44-44のタイに持ち込まれた。

 さらに千葉はこの後、残り2分17秒にエドワーズがルーズボールのこぼれ球を拾ってレイアップを決め逆転し、残り1分43秒にはショーターのジャンプショットで4点のリードを奪った。

 8-0のラン。両チームが全力をぶつけ合う中、わずか数cmの違い、瞬時の判断の結果が千葉に味方したようにも思えた流れだった。もちろんそうした幸運は、どのプレーにも全力をぶつけ続けた千葉のプレーヤーたちの奮闘あってこそのものだろう。全力でダイブしなければダンカンのセーブはなかったし、ボールに集中していなければ、エドワーズはダンカンからのパスをファンブルしていたかもしれない。ルーズボールのこぼれ球も宇都宮に渡っていたかもしれなかった。BリーグでもNBAでも、「フィニッシュは気持ちでねじ込むものだ」という言葉は共通して聞かれる。フリッピンにそうした決意があったからこそ、同点ミドルショットが生まれた。

 

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