Wリーグ

2022.04.07

ENEOSvs.富士通、トヨタ自動車vs.シャンソン化粧品、タフなセミファイナルを勝ち上がるのはどのチームか?

 Wリーグ2021-22シーズン プレーオフ セミファイナルが4月9~11日に国立代々木競技場第二体育館で開催される。先週のクォーターファイナルを勝ち上がったシャンソン化粧品にレギュラーシーズン2位のトヨタ自動車が、富士通に1位のENEOSが対戦する。3戦シリーズで先に2勝したチームがファイナルへ進出する。

 

 

 レギュラーシーズン6位のシャンソン化粧品は、クォーターファイナルで3位のデンソーにアップセットして勝ち上がってきた。キャプテンで司令塔の小池遥を軸に、ルーキーながらエーススコアラーとして頭角を現した吉田舞衣、インサイドで攻防に奮闘する佐藤由璃果ら、若い選手たちが成長し、勢いに乗っている。

 迎え撃つトヨタ自動車は昨シーズンのチャンピオン。ゲーム消化数による勝ち点差で2位に甘んじたが、勝ち星はリーグ最多の20勝を記録。東京オリンピックに出場した馬瓜エブリン、三好南穂、長岡萌映子、3x3代表の馬瓜ステファニー、山本麻衣らをはじめ、選手層は厚く、安定した力でリーグを戦ってきている。

 各2試合ずつ対戦するシーズンでの成績はトヨタ自動車の2勝。しかし、シャンソン化粧品はやはり2敗を喫していたデンソーを破ってベスト4入りを果たしている。

「ガードを起点とした速いパス回しからシュートにつなげていくチーム」とシャンソン化粧品の印象を語る馬瓜エブリンは「とても脅威に感じている」と警戒感を見せる。皇后杯では準々決勝敗退と悔しい思いをした後、再び結束力を高めたというトヨタ自動車だけに、気持ちを引き締めて、一戦に臨むはずだ。また、シャンソン化粧品は李玉慈ヘッドコーチが新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者となったため、セミファイナルに不帯同となり不安要素となっている。

 

 

 セミファイナルのもう一つのカードはENEOS対富士通。富士通もコロナ禍の影響を受けて、シーズン4試合を消化できず順位を下げたが、セミクォーターファイナル、クォーターファイナルを勝ち抜き、ベスト4まで進出してきている。プレーオフまで1か月近く実戦から離れていたチームにとってはいい流れでここまできているといっていいだろう。司令塔の町田瑠唯を筆頭に、宮澤夕貴、オコエ桃仁花、篠崎 澪(3x3)のオリンピック組を擁しタレントは豊富。さらに一試合当たりの失点が58.7とリーグトップのディフェンス力を誇る。レギュラーシーズンでもENEOSとは1勝1敗で分けており、BTテーブスHCも「勝ちにいく」と決意を語る。

 Wリーグで11連覇と女王に君臨し続けてきたENEOSは、昨シーズン、トヨタ自動車にその座を譲ることになった。しかし、今年度の皇后杯では勝負強さを見せて再び頂点をつかんでおり、Wリーグでももちろん王座奪還を狙っている。エースの渡嘉敷来夢は右膝前十字靭帯断裂で、昨シーズンの後半を欠場。オリンピック出場もかなわなかったが、今シーズンはチームでただ一人全24試合スターターとして出場し、復活を印象づけている。同様に故障から復帰した梅沢カディシャ樹奈とのインサイドはリーグ屈指の高さと破壊力を持つ。

 一方、ガード陣では、渡嘉敷不在の間もチームを支え続けてきたキャプテンの岡本彩也花が3月に右膝前十字靭帯断裂し、戦列を離れることになってしまった影響が心配される。しかし、岡本に加え、オリンピックで注目を集めた3Pシューターの林咲希、スピードある司令塔の宮崎早織がコンディション不良で不出場となったシーズン終盤戦で、代役を務めた高田静、星杏璃らが活躍、その穴を埋めて見せたのは心強い。いきのいい若手の台頭は、富士通にとってはやっかいな存在になるだろう。

 セミファイナルを前に行われた会見で渡嘉敷が「しっかりと抑えたい」と語ったのが、オフにENEOSから富士通へと移籍した宮澤だ。プレーオフに入って3Pシュートを5/10、3/4と高確率で決め、ギアを上げてきている宮澤の存在が、勝敗にどう影響するかも注目のポイントだ。

 それぞれスタイルの違う4チームがどんな戦いを繰り広げるのか。決勝の舞台、代々木第一へと足を踏み入れるのはどのチームか。タフで見ごたえのあるシリーズが待っているに違いない。

 

(飯田康二 / 月刊バスケットボール)



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