[皇后杯準決勝]ディフェンスが機能したデンソーが2年ぶりのファイナル進出

[皇后杯準決勝 第2試合]

 12月18日、国立競技場代々木第二体育館で開催されたデンソー アイリス 対 富士通 レッドウェーブの皇后杯準決勝第2試合。両チームともWリーグで12勝0敗と好調をキープ。デンソーは銀メダルとなった高田真希(185cm)、赤穂ひまわり(184cm)に加え、ひまわりの姉・さくら(184cm)のフロントコート陣はリーグ屈指の高さと強さを誇る。また、マリーナ・マルコヴィッチHC体制2シーズン目となり、よりチームとしての完成度が高まり、自信を持って皇后杯に臨んできている。一方の富士通も5人制で町田瑠唯、宮澤夕貴、オコエ桃仁花、3x3の篠崎澪と東京オリンピック代表選手がチームの主力。準々決勝では昨年のWリーグチャンピオンのトヨタ自動車を破り勢いに乗っている。

 序盤、デンソーはリオオリンピック日本代表の本川紗奈生が積極的にゴールにアタックし、オフェンスを牽引し、先手を奪う。富士通は苦しみながらも要所で3Pシュートを決めて付いていく展開。

 

本川紗奈生(デンソー)

 

 2Qに入ると高田がゴール下で強さを見せデンソーの流れを作る。リードを広げられた富士通はディフェンスで我慢しながら、反撃のチャンスをうかがう。オコエ桃仁花のバスケットカウント、内尾聡菜のドライブが決めるなどし、ワンゴール差に詰め寄る場面もあったが、得意の3Pシュートがゴールに嫌われ、波に乗り切れない。前半終了間際には、再び高田が存在感を見せ、稲井の3Pシュートも決まるなどして33-24デンソーがリードを開いた。

 後半に入ると本川が3Pシュートで富士通の反撃の目をつむ。そしてインサイドでは高田がアドバンテージを奪い続け、デンソーがリードを2ケタに広げる。富士通は町田瑠唯、宮澤夕貴が何とかつないでいく我慢の展開が続いたが、3Q終盤に岡田英里、内野智香英が連続して3Pシュートを決めて48-42と6点ビハインドまで盛り返した。

 最終Qに入り、岡田がバスケットカウントで5点差に詰め寄るが、そこからデンソーのアクセルが入る。赤穂ひまわりの3Pシュート、髙田のドライブ、そして司令塔・稲井桃子の3Pシュートが決まり58-45と一気に差を開く。タイムアウトで流れを変えたい富士通だったが、デンソーは近藤楓、赤穂さくらが得点するなど、オフェンスの勢いが止まらない。

 終盤に内野の3Pシュート、宮澤のファストブレイクと続いたが富士通の追撃もここまで。終始、固いディフェンスで富士通のオフェンス苦しめ、リバウンドでも勝り(デンソー51本、富士通33本)、しっかりとアドバンテージを生かしたデンソーが70-53で逃げ切った。

 

宮澤夕貴(富士通)

 

 マルコヴィッチHCは「相手にも日本代表の中心となる選手がいるので、そうしたカギとなる選手をしっかりと止めることができました」と勝因を語る。チーム最多の18得点を挙げた本川も「出だしからアグレッシブなディフェンスができて、それを相手が嫌がっているようでした」とディフェンス面でチームとして機能したことを強調する。

 富士通のBTテーブスHCも「デンソーのディフェンスをうまく攻撃できませんでした。ペイントエリアを崩せなかった」と話し、司令塔の町田も「フルコートプレスで当たられ、リズムが作れませんでした」とデンソーのディフェンスに苦しんだことを認める。ピックプレーの多い富士通に対し、速いローテーションで対応され「相手のディフェンスにはまってしまった」と振り返った。

 デンソーの決勝進出は2年ぶり。「チームで守る。チームで攻めるということができてきました」と高田。2年前と比べて、チームメイトそれぞれがしっかりと自分の役割を果たすことで、髙田自身にかかる負担が減り、自分の役割に集中できるようになってきているとチームの成長を語る。「チームで戦う」ことを貫き、デンソーが初の頂上を目指す。

(飯田康二/月刊バスケットボール)

 



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