バスケットに特化した充実の環境で 全国大会初出場、そしてプロ選手の輩出を目指す開志A&D高

B2福島のバックアップにより

バスケットに特化した環境が実現

 

本気でかなえたい夢ができたとき、人は夢中になって取り組むことができる。福島県にある開志A&D高(FSG開志)の選手たちは、プロバスケットボール選手になるという大いなる夢を抱き、同校の門をたたいた。

 

まだまだ聞き慣れないこの学校の正式名称は、国際アート&デザイン大学校高等課程。そして開志学園高等学校。教育連携により2校に同時在籍の形を取るダブルスクール制度を採用しており、前者は高等専修学校に分類される。イラスト・マンガコースや声優コース、ゲーム・情報コースなど専門的なコースが多数あり、その一つとしてバスケットに特化したアスリートコースが存在するのだ。

 

アスリートコースはB2リーグの福島ファイヤーボンズ全面バックアップの下、同校特有の「昼型トレーニングシステム」を導入。これは午前中に高校の授業を受け、午後はフィジカル測定やスクリメージなどバスケットに関わるプログラムを受講するというもの。これにより、まるでプロクラブかのような充実したバスケットライフを送りながらも、一般の高校生と同じ教育を受けることが可能になる。

 

 

また、「高等学校(開志学園)の卒業資格と高等専修学校(国際アート&デザイン大学校高等課程)の卒業資格の2つを同時に得ることができます」(瀬尾裕史コーチ)という独特なシステムが、選手たちの将来をサポートする。特に「昼型トレーニングシステム」は画期的なものだ。瀬尾コーチは「(午前中に主要科目の授業があり)13時半くらいからバスケットがメインの授業が始まって、16時10分には終了します。その後、自主練習をやって18時には全員を下校させているので、十分な練習時間がありながらしっかりと休養を取ることができます。プロを目指す生徒にとってはぴったりのカリキュラムだと思います」と、その魅力を語る。

 

バスケットに夢中になって

本気でプロを目指す

 

指導する上で重要視しているのは、選手たちの内側的な動機付けだ。「開志A&D高では『バスケットが好きだから、もっとうまくなりたいからワクワクして練習する』という気持ちをすごく大事にしています。『努力は夢中に勝てない』という言葉があるように、自分たちでモチベーションを上げてワクワクして、練習の強度を高めることが僕らのテーマであり目標です」と瀬尾コーチ。枠にはめず、選手たちの自由な発想やモチベーションを大事にしているからこそ、試合でもセットプレーはあまり用いないという。また練習を見ていても、選手同士で一つのプレーの改善点を指摘したりアドバイスを送ったりと、30名(マネージャー2名除く)の部員が学年や実力に関係なく全員で同じメニューに取り組んでいる姿が印象的だった。

 

6月の福島県インターハイ予選では準優勝。福島東稜高との決勝戦は2点差(81-83)と、全国大会は手の届く位置にある。来るウインターカップ福島県予選は10月23日から始まり、31日には出場校が決定するが、開志A&D高が初の全国大会出場を手にするかどうかがかかっているが、選手やコーチ陣が見据えているのはもっと先。

 

「全国大会に出場したいという気持ちはもちろんありますし、そういう舞台で選手たちも成長すると思うので、そこに連れていってあげたいです。ただ、本校にはプロ選手になりたいと思っている子たちがたくさん来ているので、チームの成長はもちろん、より個の成長にフォーカスしています」と瀬尾コーチ。だからこそ、マルチプレーヤーの育成は大きなテーマで、「サイズがあるからリングに背中を向けて戦うのではなく、全員がボールプッシュをするし、3Pも打つし、ピックも使う。本来ガードの選手もポストアップをします。戦術面だけにとらわれずにクリエイティブであり、野生的でもある。そういう面を残しつつ選手を育成していきたいです」。

 

練習にはテーブス海(宇都宮)ら現役のBリーガーを迎えることもあるそうで、選手たちもトッププレーヤーの存在を肌で感じながら自分の未来にフォーカスしている。国内では一風変わった仕組みの学校ではあるが、夢に向かって本気で挑戦したい子どもたちにとっては、とても魅力的な環境に映るはずだ。

 



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