東京2020総括 - 三屋JBA会長に聞いた日本バスケ国際化推進
東京オリンピック閉幕から3日後の8月11日、公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)が大会を総括するズーム会見を開いた。この会見には三屋裕子JBA会長と東野智弥技術委員長が登壇し、どちらもバスケットボール界の今後に向け弾みのつくような内容だったが、ここではそのうち、三屋会長の冒頭総括をまとめてみる。
非常事態宣言下の無観客開催という前代未聞の環境で行われた今大会で、日本のバスケットボールは5人制女子が史上初の銀メダルを獲得し、3×3は男女が決勝トーナメントに進出、5人制男子も成績こそ12チーム中11位だったとはいえ、顕著な成長ぶりを見せた。三屋会長は、「(スローガンとして掲げる)バスケで日本を元気に…を少しはできたのではないか」と話し、大いに奮闘した各カテゴリーの日本代表を称賛した。「選手たちは持てる力を最大限発揮してくれました。4カテゴリーすべての選手たちに、私は感謝したいと思っています」
バスケで日本を元気に、「少しはできたのではないか」
今大会から新種目として導入された3×3に関しては、「たくさんの方々から3×3って面白い。すごいスピーディーだと高い評価をいただきました」と、その導入自体と男女日本代表の健闘に対する非常に前向きな感触が得られたことを明かした。大会期間中に行われたFIBAの中央理事会でも、3×3に対する評価と期待感が世界的に広がりつつあることが感じられたという。
3×3における今後に向けた大きな課題の一つは、ワールドカップ、オリンピック予選といった世界的な大会に出場するために必要な国・地域別のランキングポイントをいかにして稼ぐか。そのために、個々のプレーヤーが海外での大会に出場して実績を積むと同時に、JBAとしてもアーバンスポーツの象徴として積極的に大会を開催していく意向とのことだ。男子においては、Bリーグと3×3のシーズンがかぶってしまう現状で、代表チームをいかに編成するかも課題とし、その解決に取り組んでいく。
馬瓜(左)、山本(右)をはじめ4人全員がWリーガーの3×3女子日本代表は連日エキサイティングなプレーを見せた(写真/©fiba.basketball)
著しい成長を見せながらも予選突破を逃した5人制男子に関しては、海外組と国内組の差をいかに埋めるかという点を課題として強く認識していることを明かした。「国内組をどう強化していくか、かなりチャレンジングな課題だと思いますが、やっていかなければいけない」
一方5人制女子に関しては、「一番のピークの時期にこのオリンピックを迎えることができた」と中長期的な視点でのチーム作りがうまく行われた点を評価した。また、5年前のリオ大会を経験したベテランたちの存在感を高く評価し、今回の代表における若手にも将来的にそのような役割を期待する上で、この先どのように成長させることができるかという点を課題として挙げた。
各カテゴリーの代表チーム、個々のプレーヤーが成果を残し、また多くの課題を見つけた東京オリンピック。三屋会長は全体を総括の締めくくりに以下のようなメッセージを残した。
「今後もバスケットボールを通じて、さまざまな方々に元気をお届けするのが我々の使命。今回のオリンピックが子どもたちにとって体を動かすきっかけになったとすれば、その中でバスケットボールをどう広げていくかも、我々に課された課題だと思っています」
「選手たちが一生懸命頑張って残した結果。それを我々JBAがどうつないでいくのか。私は選手からものすごく熱いバトンをもらったと思っています。このバトンをしっかりと受け止め、47都道府県協会の方々と気持ちを一つにして、バスケットボール界の価値向上に努めてまいります。まだ認知度が低いですが、少しでも多くの方々に応援していただけるようなバスケットボール界にしていきたいと思います」
「海外組」の渡邊(左)、八村(中央)、馬場(右)。そろってさすがと言えるパフォーマンスを見せた(写真/©fiba.basketball)