月刊バスケットボール6月号

ラマスジャパンがフランス撃破! 世界を驚かす準備完了

スティールからダンク! この試合の決勝点をもたらした馬場のプレー(写真/©JBA)

 

 東京オリンピックを控えた男子バスケットボール日本代表が、本番前最後となるエキジビションゲーム、『SoftBankカップ2021』でFIBA世界ランキング7位のフランス代表と対戦し、81-75で大金星を挙げた。まだ前哨戦でしかない、公式な記録上は大きな意味のないウォームアップ・ゲーム。しかし代表内定メンバー発表時に東野智弥チームリーダーが語った「世界を驚かせるバスケットボールをする」という思いが実現しようとしていることを、この試合は大いに感じさせた。

 

前半20分はターンオーバーなし


日本代表は、2日前の対ベルギー戦と同じスターター、田中大貴(アルバルク東京)、馬場雄大(メルボルン・ユナイテッド)、渡邊雄太(トロント・ラプターズ)、八村 塁(ワシントン・ウィザーズ)、エドワーズ ギャビン(千葉ジェッツ)でこの試合に臨んだ。相手の5人はアンドリュー・アルビシ、エバン・フォーニエ、ニコラ・バトゥーム、グーション・ヤブセレ、ルディ・ゴベア。この中でフォーニエ(ボストン・セルティックス)、バトゥーム(ロサンゼルス・クリッパーズ)、ゴベア(ユタ・ジャズ)の3人はNBAの現役プレーヤーであり、ゴベアは特に今シーズンを含め過去4シーズン中3シーズンで、最優秀ディフェンシブ・プレーヤーに選ばれた身長216cmのスーパースター。アルビシとヤブセレの二人も、ハイレベルなことで知られるスペインリーグで活躍する実力者だ。

 

 どこからどう見ても強敵のフランス代表に対し、日本代表は慌てることなく序盤から非常に堅実な試合展開をすることができた。ティップに勝ったのも先制したのもフランス代表だったが、馬場からのパスを受けた八村がハイポストから得意のミドルジャンパーを沈め即座に同点に追いついた。ゴベアのフリースローで再び先行されても、今度はエドワーズからトップでハンドオフを受けた渡邊が攻める。ウォームアップ・シリーズでたびたび見せてきた二人のコンビプレーから思い切りよく放たれた渡邊の3Pショットはきれいにネットを通過し、5-4と逆転に成功した。


ゴベアに連続してゴールを奪われて5-8と劣勢に立たされた日本代表だったが、八村が田中からのパスを受けゴール下でしっかり決め7-8とついていく。フランス代表がアルビシのドライビング・フローター、ヤブセレの豪快なスラムダンクで連続ゴール。どちらもゴベアのアシストだった。しかし日本代表は下を向くことなく追いかけ続けた。


7-12で迎えた第1Q 残り3分半過ぎ、ボールを持つアルビシに馬場が厳しくプレッシャーをかけると、インサイドでエドワーズと格闘中のゴベアに渡ろうというパスを渡邊がスティール。共同作業で取り返したボールは田中からフロントランナーとなった馬場へとつながりイージーレイアップとなった。続くディフェンスではオンボール、オフボールで良い形でプレッシャーをかけ続けた結果、アルビシの3Pショットがエアボールに終わる。


はずれたボールを拾った八村はそのままボールを運び、ゴベアめがけて勝負を挑む。左サイドを力強いドリブルドライブで押し込んだ八村は、ゴール下でNBA最優秀ディフェンシブ・プレーヤーを前にポンプフェイクでタイミングを外し、ファウルをもらいながらゴールを奪ってみせた。

 

 八村のフリースローははずれたものの、第1Q7分以上を戦って11-12。この間、フランス代表はゴベアが6得点に4リバウンド、2アシストを記録したほか、フォーニエは2得点と1アシスト、バトゥームも3アシストに2リバウンド。働くべきタレントが期待どおりのプレーを見せていたが、日本代表は上段に記したとおりバリエーションの利いた力強いオフェンスを見せ、しかもターンオーバーを犯すことなく対抗し続けた。

フォーニエに対しドライブを仕掛ける渡邊。この日もチームに自信をもたらす活躍だった(写真/©JBA)



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