【3x3日本代表候補選手インタビュー】気持ちを届ける、想いを託す/小松昌弘(TOKYO DIME)Vol.1 presented by 日本郵政

 

1年の延期を受けた東京オリンピック。今夏の開催に向けて各競技の日程も発表され、いよいよ再始動する。その中で注目競技の一つが3人制バスケット、 3x3だ。今回は長年日本の3人制バスケットシーンをけん引してきたベテランの小松昌弘選手に3x3の魅力や母国開催のオリンピックに懸ける思いを聞いた。

 

ーー小松選手は会社員との両立をしながら3x3を続けていますが、競技を始めた理由とどこに惹かれたのかを教えてください。

 

 実業団でプレーすることを辞めてクラブチームに参加させていただいてから鈴木慶太選手(TOKYO DIME)と野呂竜人選手(BEEFMAN.EXE)に3人制をやってみないかというお話をいただきました。当時はルールも分かりませんでしたが、興味本位でやってみようとなったのが始まりです。3x3には21点取ったら試合が終了するノックアウト方式があって、5人制にはない逃げ切りで試合が終了するのは競技に引き込まれた要素の一つです。それにコートは半面でゴールも一つしかないので観客との距離も近いですし、シュートを打つ回数が多いのでスリリングな試合が展開できるのは5人制との大きな違いですね。始めた当時はおもしろいという感覚よりもひたすら付いていくのに必死でした。鈴木選手などの何年も競技を続けてきた選手たちをひたすら追いかけていました。

 

ーー今お話にも挙がったノックアウト方式というのは3x3特有のルールです。このルールについてはプラスに捉えていますか?

 

 そうですね。勝ち逃げができるルールになっているので、個人的には良いと思っています。というのも体格の面で日本人選手は海外の選手と比べれば劣りますが、シュートが入れば勝てるチャンスがあるという意味では、ノックアウト方式は日本にとっては有効なルールのでないかと思いますね。

 

ーー得点についてはより確実に1点を取っていく意識でいるのか、はたまた得点効率の高い2点を狙っていくのはどちらでしょうか?

 

 いろいろな考え方があると思います。例えば一試合の中で攻撃回数が30〜40回あるとして、その中で1点の成功率、2点の成功率がいくつなのかを計算して、チームとしてどういう戦い方をするのかを事前に決めています。インサイドで高さの有利があるのであれば、中の1点を7〜8割の確率で取れるように戦いつつ、2点を狙っていく。それが難しければ2Pシュートをベースに試合を組み立ていきます。とはいっても3x3では5人制の2点が1点、3点が2点として換算されるので外のシュートの得点率が1.5倍から2倍になります。なので、2Pを決めていかなければ、相手との点差が広がりづらくなります。点差を広げるという意味でも2Pは積極的に狙っていく必要はあると思いますね。

 

 

 

ーー5人制から転向して以降、3x3でより生かせている個の力はどの部分ですか?

 

 フィジカル面についてはもともと好きだったのでファウルが少しなりづらい分、より頑張れる部分です。海外の選手はサイズが大きいですが、僕もある程度戦える手応えを感じています。ただ、それよりも一番自分に合っていると感じるのはスペーシングバスケットの中で1対1だけではなく2対2や3対3などの連動があるプレーです。これはもともと僕が得意としているもので、自分が仲間のためにスクリーンをかけたりカッティングをすることで周りの選手が生きたり、僕の動きによって相手の選手が反応して。味方がよりオープンなシュートを打つことにつながってきます。こういった部分は僕ならではの強みだと思いますし、やっていて楽しい部分です。5人制の場合、スクリーンをかけても人数が多い分、ヘルプなどで何とかなることも多いですよね。でも3x3では人数が少ない分、チームとしての決めごとがないとそういったことに対応できません。それで一気に差が広がって勝敗が決してしまうこともありますね。

 

ーー逆に自分たちがディフェンスをする際にもそういった部分は注意点ですね。

 

 そうですね。ディフェンスに切り替わることが分かっているのであれば、その時点でマークマンを捕まえるのは大切なことです。常に攻防が切り替わっていくので、ぼーっとしていられませんし次の展開を予想して動く必要があります。加えて、相手が何をやりたいのかを短い試合時間の中で瞬時に理解しなければならないので、対応力も求められます。最初の1、2分で相手が何をしたいのかを把握してチームの中で共有できなければ、ディフェンスでミスコミュニケーションが生まれて相手に良いシュートを許してしまいます。攻防の切り替えのところとスクリーンプレーなどについてはよりコミュニケーションが重要だと感じています。

 

 こうした試合への対応力というのは競技をやっていく中で身に付いていきますし、試合の前にもスカウティングやミーティングは行います。テレビ放送がある大きな大会であれば試合の中でTVタイムアウト(試合残り7分と4分を切ったタイミングの2回)というのが設けられるので、そこでオフェンスとディフェンスの決まりごとを共有します。

 

ーー3x3をプレーする中で最も苦しいことは何ですか?

 

 相手のペースで試合が進むことが一番キツいです。何が起こっているのか分からない状況で点がどんどん離れていって、結局挽回することが出来ずにノックアウトされてしまったことも実際にあります。試合中にどのシチュエーションのどのプレーだったのかを話したときに、チームメイトと会話が噛み合わなくて、後で映像を見返さないと分からなくなってしまうときがあります。相手のペースで簡単な点を取られてしまっている時間帯は苦しいし、ものすごく疲れます。

 

 

 

ーー5人制以上に常に動き回っている印象がある3x3ですが、ペース配分はどうしているのでしょうか?

 

 ペース配分を考えるほどの余裕がないのが実状です(笑)。5人制に例えるならば試合の入りから常にオールコートプレスをかけているような感じ。それをしながら抜かれたらヘルプに行ってローテーションもして…。いかにノーマークでシュートを打たせないのか、外から決めさせないかを考えながらやっているイメージです。ディフェンスでもオフェンスでも常に100%以上の力を出し続けないといけないので、体力的にはかなりキツいですよ。もし50%の力で試合に入ってしまえば、一気に点差が広がって勝てなくなってしまいます。

 

ーー小松選手は高校、大学時代から幅広いプレーをしてきましたが、これまでの経験は3x3にどう役立っていますか?

 

 仙台高時代には佐藤久夫先生(現仙台大明成高コーチ)の下、パッシングオフェンスをやっていました。スペースに飛び込むことで空いたスペースに次の選手が入って1対1をしやすくなるなど、動きの面では高校時代の経験が生きています。筑波大ではパッシングオフェンスを踏まえたスクリーンプレーのムーブなど、基礎的な部分を吉田健司監督から教わりました。高校と大学でやってきたバスケットに違いはありますが、それらの経験はすごく生きていると感じますし、オールラウンドにプレーさせていただいた部分は大きく役立っていると思います。

 

ーー昨年11月に行われた第1次強化合宿にはアイザイア・マーフィー選手(広島)などの3x3未経験のトップ選手も招集されました。そうした選手たちにアドバイスするとしたら、どんなことを伝えたいですか?

 

 国内外問わずやはり公式戦に出てほしいという気持ちが一番です。合宿で高いレベルの選手たちと切磋琢磨するのももちろん良いことですが、実際にコートに立ってみないと分からない部分はたくさんあります。Bリーグで活躍する選手にとってはシーズン中なので難しいことではありますが、そういった経験を積むことで3x3の楽しさや自分が今後3x3を続けるためには何をしなければならないのかという課題が見えてくるはずです。

 

【Vol.2につづく】

【篠崎澪選手 Vol.1を読む】

【篠崎澪選手 Vol.2を読む】

 

小松昌弘 Masahiro Komatsu

TOKYO DIME#70/192cm・90kg/F/1984年4月22日(36歳)/仙台高→筑波大
高校、大学時代から幅広い役割をこなすマルチプレーヤーとして活躍する大ベテラン。所属するTOKYO DIMEや日本代表での競技経験が豊富で、現在の3x3シーンを代表する選手の一人。

 

 

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