Wリーグ

2021.03.15

Wリーグ プレーオフセミファイナルはトヨタ自動車、ENEOSが1勝。ファイナルに王手

トヨタ自動車が富士通を圧倒

 3月14日よりWリーグ プレーオフセミファイナルが国立代々木競技場第2体育館でスタートした。レギュラーシーズン東西1位のENEOS、トヨタ自動車に、クォーターファイナルを勝ち抜いたデンソー、富士通が挑む。ここからのプレーオフシリーズは2勝しなければファイナルには勝ち上がれない。

馬瓜エブリン(トヨタ自動車)

 

 第1試合はトヨタ自動車(西地区1位)vs.富士通(東地区2位)の一戦。

 序盤から気迫あふれるプレーを繰り広げたのがトヨタ自動車。激しいディフェンスと、アドバンテージである高さを生かし、オフェンスリバウンドを奪取しポイントを重ねる。富士通も何とか踏ん張ろうとするものの、#0馬瓜エブリン、#2長岡萌映子らにリバウンドに飛び込まれてしまい、1Qだけで8本オフェンスリバウンドを許してしまった。攻めてもいい形で放つシュートが決まらずに苦しい展開が続き、前半を21-42と大きく差をつけられてしまった。

 後半に入り、富士通は#10町田瑠唯、#13谷口二千華らのアウトサイドシュートが決まり出し、いい流れをつかみそうになるが、トヨタ自動車も交代で出てきた#23山本麻衣らがシュートを決め返し、点差を詰めさせない。後半は互角の戦いとなったが、前半の差を守り切ったトヨタ自動車が79-56で富士通を押し切り1勝目をあげた。

「トヨタ自動車はサイズがあり、リバウンドで勝てるとは思っていませんでしたが、それにしてもやられすぎでした。リバウンドへの意識をもっと高めないと」と富士通のBTテーブスHC。キャプテンの町田も「フィジカルのところで負けてしまい、自分たちのやりたいトランジションの早い展開に持ち込むことができませんでした」と反省を口にする。

 一方のトヨタ自動車のルーカス・モンデーロHCは「予定していたゲームプランどおりに試合を運ぶことができました」と合格点を出しつつ、「ターンオーバーが多かったので、その部分を修正して、明日の試合にも勝利をつかみたい」と気持ちを引き締めた。

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女王の意地を見せたENEOSが逆転

 

岡本彩也花(ENEOS)

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 第2試合はENEOS(東地区1位)vs.デンソー(西地区2位)の一戦。皇后杯準決勝以来の対戦となったこのカード。#10渡嘉敷来夢、#24梅沢 カディシャ樹奈の190cm越えのツインタワーを故障で欠くENEOSに敗れた雪辱を果たしたいデンソーは、試合開始から高さのアドバンテージを生かして#8高田真希、#12赤穂さくらのインサイド陣が得点を積み重ねる。対するENEOSは故障明けの#52宮澤夕貴もベンチからの出場となり、スモールラインナップで応戦。#11岡本彩也花、#32宮崎早織、#7林咲希といったバックコート陣がスピードでかく乱し、3Pシュートでデンソーに付いてく展開となった。

 36-36の同点で迎えた後半。先手を取ったのはENEOSだったが、デンソーは高田が3Pシュートを決めるなどチームを鼓舞する。インサイド、アウトサイドとバランスよく攻め立てデンソーが主導権を握ると、4Q早々に高田が再び3Pシュートを決めて59-48と点差を2ケタに広げた。そのままデンソーのペースで試合は進み、一時は15点のリードを奪った。しかし、ここでENEOSは#25石原愛子がフリースローで何とかしのぐと、反撃モードに入る。オールコートディフェンスでデンソーのミスを誘い、宮崎、宮澤が加点。残り2分を切ったところで、石原がバスケットカウントを決めると66-72と6点差まで迫った。さらに宮崎がドライブ、3Pシュートを沈めると残り13秒で71-72と1点差。この後、この日32得点と大活躍していたデンソー高田が残り11秒で得たフリースロー2投ミスしてしまい、ENEOSに逆転のチャンスが訪れた。残り8秒からのサイドスローインで岡本がファウルをもらうと、フリースローを2投決めて73-72と逆転勝利を手にした。

「点差が開いたところで、受けに回ってしまった」と赤穂ひまわりが語ると、高田も同意する。「求められていることは大部分できていたのですが、40分間継続しなければ」と次戦の勝利を誓う。勝利したENEOSの岡本は「一時はヤバイと思いましたが、このままあきらめては、次につながらない」と必死のディフェンスを見せた。宮崎とともに21得点を挙げる活躍で、ファイナル進出に王手をかけた。

(文:飯田康二・写真:松村健人/月刊バスケットボール)

※次ページに熱戦写真



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