Wリーグ

2021.03.06

Wリーグプレーオフ始まる。トヨタ紡織、三菱電機が初戦を突破

トヨタ紡織が会心のゲームで日立ハイテクを下す

 

トヨタ紡織#13平末明日香 (写真/山岡邦彦)

 

 Wリーグ2020-21シーズンのプレーオフが3月6日よりスタートした。セミクォーターファイナルの第1試合は東地区3位の日立ハイテクと西地区4位のトヨタ紡織が対戦。
昨年末の皇后杯でチーム史上初のベスト4入りを果たした日立ハイテクは今シーズン勢いのあるチーム。一方のトヨタ紡織は昨シーズン4位の成績を残し、ここ数年で実力をつけてきたチームだが、今シーズンはなかなか波に乗れずにいた。今シーズンの調子でいけば、日立ハイテクの有利かと思われたが、試合は一方的な展開となり、トヨタ紡織が勝利した。

 1Qからルーキーの#13平末明日香、2年目の#8東藤なな子といった若手ガード陣がオフェンスをリードし、小気味よく得点を決めていくトヨタ紡織に対し、日立ハイテクはプレーオフの緊張感からかどこか重たいムード。2Qに入ると、まったくシュートが入らくなってしまい点差が離れていく。速攻やセカンドチャンス、ついにはフリースローまでもゴールに嫌われ、7分近くノーゴールが続き、17-37と前半で20点の差が開いてしまった。結局、その差が詰められないまま44-67で敗戦となった。
「シーズン通して一番悪いゲームになってしまいました」と日立ハイテクの内海知秀HC。「出だしのリズムの悪さが、ずっと響いてしまいました」と2Pフィールドゴール成功率が28.2%、3Pフィールドゴール成功率8.0%と極度の低調に終わったゲームを振り返った。チームの大黒柱である#11谷村里佳も「情けなくて涙も出ません。気持ちで負けてしまいました」と不甲斐なさをあらわにした。
一方、勝利を挙げたトヨタ紡織の中川文一HCは「今シーズン、公式戦では初の対戦だったのですが、対策を練ることができ、それがある程度はまりました。相手のオフェンスのリズムを切ることができました」と会心のゲームに笑みを浮かべた。また、シーズン中、好不調の波がありチームに迷惑をかけたと感じていたと言う平末は「思い切りよく、自分の役割を果たそう」と吹っ切って臨んだプレーオフでチーム最多の16得点を挙げる活躍を見せた。

 

若手主体のシャンソン化粧品を三菱電機が安定した強さで上回る

 

三菱電機#45渡邉亜弥 (写真/山岡邦彦)

 第2試合は西地区3位の三菱電機と東地区4位のシャンソン化粧品の対戦。安定した強さを見せる三菱電機は一昨シーズンのファイナリスト。今シーズンも西地区3位に甘んじたものの、2位のデンソーとは2勝2敗と五分、1位のトヨタ自動車からも1勝を挙げている。対するシャンソン化粧品は、スターターの中でプレーオフ出場経験があるのは3シーズン目の#1小池遥だけで、さらにアーリーエントリーで加入して間もない#14吉田舞衣も起用されている若いチーム。だが、レギュラーシーズン最終週にはそれまで全勝で1位だったENEOSから勝ち星を挙げており、成長著しくプレーオフに臨んできた。
その若い選手たちが思い切りの良いプレーを見せ、シャンソン化粧品が18-12と1Qはリードを奪った。しかし、2Qに入ると三菱電機のディフェンスが効果を見せ、徐々にペースをつかんでいく。シャンソン化粧品も離されずについていくが、勝負どころで三菱電機が主導権を握り、試合を優位に運んだ。試合終盤に、シャンソン化粧品の最後の猛チャージに合うが、73-70と三菱電機が逃げ切りを見せた。
「若いチームだけに爆発力には警戒していました」と三菱電機の古賀京子HC。また、チームのエース#45渡邉亜弥は「流れに乗れそうなときにミスが出てしまい、点差を開くことができませんでした」と反省を口にした。
敗れたシャンソン化粧品の李玉慈HCは「勝ちたい試合でしたが、準備してきたものがなかなか出せませんでした。三菱電機は穴のないチームでした」と試合を振り返りながらも、「シャンソンは若い選手ばかりです。いい経験をさせてもらいました。これからもっとよくなれるチームだと思います」と来シーズンに向けての期待を語った。
明日、3月7日にはトヨタ紡織は東地区2位の富士通と、三菱電機は西地区2位のデンソーとクォーターファイナルを戦う。

 

(飯田康二/月刊バスケットボール)



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