NBA

2021.03.02

ジェイソン・テイタム(セルティックス)対ブラッドリー・ビール(ウィザーズ) - 先輩・後輩対決に見る友情とプロフェッショナリズム

 

同郷・同高校出身対決は激闘の末後輩のテイタムに軍配


アメリカ時間2月28日に行われたボストン・セルティックスとワシントン・ウィザーズの一戦は、第4Q残り46秒にブラッドリー・ビールが軽やかにレイアップを決めた時点でウィザーズが110-105とリードを奪っていた。ビールの活躍はこの日も光を放っており、ウィザーズがこのまま押し切りそうな展開だったが、セルティックスが厳しいディフェンスとジェイソン・テイタムの3連続レイアップで残る時間帯に6-0のラン。終わってみれば111-110でセルティックスがこの試合をモノにしていた。テイタムは残り1分33秒のフォールアウェイ・ジャンパーを含めると4連続ゴールでこの試合を締めくくる、殊勲の活躍だった。
最終局面は、テイタム対ビールのマッチアップがあらゆる意味でカギだった。両者はともにチームのエースであり、オールスターのスターターにも選ばれている。それだけでなく二人は同じミズーリ州セントルイス出身で、シャミネードカレッジ・プレパラトリー・スクールというカトリック系の中高一貫校を出た先輩と後輩同士という間柄。この日は5歳年下で3月3日で23歳になるテイタムが31得点(FG12/22、3P 3/10、FT4/4)、8リバウンド、3アシスト、3スティールに対し、先輩で現在27歳のビールが46得点(FG16/29、3P 3/6、FT11/12)と、どちらも個人的なスタッツでは素晴らしかったが、終盤は二人の意地がぶつかり合う激しい展開となった。
勝負を分けたのは110-109でウィザーズがリードしていた残り15秒に、テイタムが難しいレイアップを沈めた後のインバウンドプレー。ベースライン際でボールを受けたビールはファウルを誘うためにしっかりボールを保持してピヴォットしていたが、そこにテイタムとジャボンテ・グリーンがトラップを仕掛けた際、ビールが足を滑らせベースラインを越えてしまった。
ボールはセルティックスへ。ベースラインからインバウンド・パスを入れたテイタムはコートに入って左ウイングでボールを受けなおす。マッチアップはビール。テイタムはベースライン側に鋭いスピンムーブでアタックし、空中でダブルパンプを使ってビールと八村 塁を――そう、八村を!!――きわどくかわしてこれも難しいレイアップを流し込んだのだ。
タイムアウト明けの残り4.7秒、サイドラインでのインバウンドプレーでボールを受けたのはやはりビール。マッチアップは攻守を入れ替えて後輩のテイタムが当たっていた。ビールは右コーナーでボールを受けたがテイタムがゴールとの間に立ちはだかり、さらにはシェミ・オジェイもクローズアウトしてきてダブルチームに合ってしまう。それでも何とかリリースしたスリーは惜しくもゴールにはじかれ、勝負がついた。



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