【FIBAWC現地レポート】#12渡邊の奮闘光るも、モンテネグロとの最終戦に敗れて31位で大会終了

 

 FIBAワールドカップ2019、ここまで4連敗となった日本は、最終戦を迎えた。9月9日、モンテネグロとの17-32位決定戦。前の試合(vs.ニュージーランド)でふがいない試合をしてしまった日本は、最後に全力を出し尽くして大会を締めくくるべく、戦いに挑んだ。

 

 この試合の主役は、間違いなく#12渡邊だった。アメリカ戦、そしてニュージーランド戦と、試合後かなり落ち込んだ様子で口調も重かった渡邊。代表では#7篠山と2人でダブルキャプテンを務めたが、順位決定戦からその篠山、さらにはエースの#8八村が欠場することになった。そうした状況下で、彼の肩にのしかかったプレッシャーの大きさたるや想像に難くない。

 

 だが渡邊は、この最終戦でそうした重圧を力に変える。そのアグレッシブなプレー、鬼気迫る表情に並々ならぬ気迫を感じさせた。果敢にリングにアタックしてファウルをもらい、フリースロー1本1本にも集中を切らさない(この試合は12/12で成功)。声を張り上げ、手をたたき、仲間を奮い立たせた。試合終盤に少し足を痛めても、案じるベンチに手を振って交代の意思がないことを示した。終わってみれば、34得点9リバウンドの大車輪の活躍。アメリカのNBAやGリーグで揉まれてきた成長の跡を、きっちりとコートで表現した。

 

 ただそれでも、最終スコアは65-80。大会初勝利とはならず、「チームを勝たせたかった、という気持ちは強いです」と話す渡邊の表情は暗いままだ。

 

 試合は何度も追い上げながら、逆転の“あと1本”が出なかった。特に、ファストブレイクはよく決まったものの、3Pシュートが0/16本、ドライブでも相手に豪快なブロックショットを何度もお見舞いされ、渡邊以外のところで得点が伸び悩んだ。逆にモンテネグロは、シュートの確率こそあまり良くなかったが、リバウンドを掌握し、セカンドチャンスから得点。3Pシュートも29本打ってここぞという場面で8本決め、日本の反撃の芽を摘んだ。

 

 

 

 こうして5連敗で戦いを終えた日本。馬場は「2020年の前に、こういう経験ができて良かった。ここが底辺で、上がるしかない」と言う。詳しい大会の振り返りは本誌で特集するが、来年の東京オリンピックに向けても、世界最高峰で得た収穫はとてつもなく貴重だ。渡邊は「一人一人、悔しい思いで日本に帰ると思います。この悔しさを自分たちのチームでも忘れずに、個人としてレベルアップすることが必要」と話し、会場を後にした。

 

※FIBAワールドカップの詳しい特集は9月25日発売の月刊バスケットボール11月号で!

 

(月刊バスケットボール)



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