Bリーグ

2026.04.30

千葉ジェッツ vs. アルティーリ千葉——千葉ダービー第1章レビュー

起死回生のブザービーター

A-xx
は今季、千葉ポートアリーナでこんな場面を何度も見てきている。昨年1029日のアルバルク東京戦は、ブランドン・アシュリーの同点弾でオーバータイムに持ち込み、最後の5分間で2度リードしながら最終盤にA東京のディフェンスの圧に屈し94-98で敗れた。1116日のシーホース三河戦は、4Q残り6秒まで68-67とリードしながら西田優大の巧みなリムアタックで逆転され、最終的に68-70の黒星(ブランドン・アシュリーはこの試合でのケガによりシーズン全休となってしまった)。三河とは前日のゲーム186-891ポゼッション差の惜敗だった。そして214日の琉球ゴールデンキングス戦は、残り1秒に岸本隆一の逆転3Pショットが決まって85-87。A千葉とA-xxにとっては「惜敗」という言葉で言い表しきれないほど悔しい敗戦だっただろう。


今日も同じ結果なのか…? 黒川は富樫の10得点をしのぐ12得点を記録している。渡邉も、一度は9点差のビハインドを背負った3Qに逆転フローターを含む4得点を挙げた。アシュリーの穴を埋める得点源のシャヨクは22得点と本領を発揮している。そもそも、千葉Jの強力なオフェンスを相手に失点を60点台にとどめている。しかし、A千葉が勝つにはそれだけでは足りていないことを、スコアボードは示していた。





タイムアウト明け、レマニスHCはハーフコートでのインバウンドを選択した。杉本がポストアップしたパードンにスローイン。シューターのシャヨクが原とオフボールの11で駆け引きをし、パードンからパスを受けた。しかし原はしっかりついてきていた。残り時間が4秒を切る頃、シャヨクは厳しい体勢からのステップバック3Pショットを強いられてしまう。原の勝ちだった。シャヨクの手を離れたボールはバックボード左端にかろうじて当たり、左コーナーの方に弾んだ。

3秒、2秒、勝負ありか…。そう思いかけたとき、逆サイドから突進してきたエヴァンスが右手でボールを回収していた。ゴール下から左コーナーに向かって動くエヴァンスはゴールを真後ろに背負った状態。しかしボールとエヴァンスの体は、呼吸を合わせたかのようにぴったり同じリズムに乗っていた。もう1秒もない…。フェイドアウェイ・ジャンパーしかない。エヴァンスは180度回転しながらコーナー方向に飛び上がり、ラストショットを放った。踏み切った位置はゴールから4mくらいだろうか。しぶとくエヴァンスにへばりついていたクエンティン・ミロラ・ブラウンの手が伸びてきたが、ボールの軌道には届かない。

試合終了のブザーが会場に響き渡った。その直後、スウィッシュ! 悲喜こもごもの思いが込められた「ウォー!!」という大歓声が響き渡る千葉ポートアリーナでA千葉が勝利をもぎとった。富樫のクラッチスリーを伏線とするエヴァンスのラストショット。他では味わえないような興奮のエンディングは、同時に両チームによる直接対戦の歴史を華々しくスタートさせた瞬間でもあった。


殊勲の決勝弾を決めたエヴァンスは、満面の笑顔でチームメイトの祝福を受けた(©B.LEAGUE)

いざ、千葉ダービー第2章へ

チームメイトにもみくちゃにされたエヴァンスは、ヒーローインタビューで「ルーク! ルーク!」の大声援を受け、「Great feeling(ものすごくうれしいです)」と笑顔を見せた。その後の会見では、「マー(シャヨクの愛称)のショットがはずれたとき、そのまま僕の手に飛んでくるかなと思ったらバックボードに当たって、これは時間がないぞと。だからボールを持ったらすぐに打つつもりでした」とラストショットを振り返った。「ボールが手を離れた瞬間、すごくいい感触でしたね」

エヴァンスはブザービーターで勝負を決めたのはこれが初めてだったという。シャヨクはエヴァンスに笑顔を投げかけながら「Amazing!(すばらしい!)」と一言。自らのミスショットをみごとフォローして勝利につなげた同僚の活躍をニコニコしながらたたえた。

さて、こうしてスプリットで終わった千葉ダービー第1章は見応え満点を越えたエキサイティングなシリーズだったが、その第2章は、ららアリーナ東京ベイで52日(土)、3日(日)に行われるレギュラーシーズン・フィナーレとなっている。千葉Jにとってはチャンピオンシップに弾みをつけるシリーズであるとともに、今季限りで引退するベテラン西村文男の功績をブースターとともにたたえる特別な舞台となる。一方のA千葉にとっても、クラブ創設当初から5年間キャプテンを務めてきた大塚裕土のラストゲームであり、かつB1での20勝目がかかった非常に意義深い対戦だ。

さまざまなドラマが交錯するららアリーナ東京ベイ。千葉ダービー第2章への期待は高まるばかりだ。


今季限りで引退する大塚(左)と西村(右)。千葉ダービー第2章では、二人の活躍にも期待だ(©B.LEAGUE)





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