千葉ジェッツ vs. アルティーリ千葉——千葉ダービー第1章レビュー

©B.LEAGUE
3月28日、29日に千葉ポートアリーナで行われたアルティーリ千葉 vs. 千葉ジェッツの「千葉ダービー」は、「クロスタウン・ライバリー」というタイトルにふさわしいシリーズとなった。結果は1勝1敗。初戦は千葉Jが88-71で貫録勝ちしたが、ゲーム2はA千葉が70-69で劇的な逆転勝利を収めた。
日本におけるプロバスケットボールの黎明期からの歴史を持ち、Bリーグ、天皇杯、EASLを制して伝統的強豪の地位を確立済みの千葉J。B2での3年間にレギュラーシーズン通算160勝20敗(勝率.888)という記録破りの強さを発揮して東地区3連覇を達成し、念願のB1昇格をかなえた新進気鋭のA千葉。それぞれが輝かしい歩みの末に迎えている今季、両者が初めて激突した2試合を振り返ってみたい。
千葉Jが貫録と伝統を感じさせたゲーム1
ゲーム1当日、千葉ポートアリーナはブラックネイビーのA-xxとチャレンジングレッドのジェッツブースターがひしめくように客席を埋めていた。5872人の大観衆が生み出す緊迫感の中、ティップオフ直後から千葉Jが勢いよくA千葉を突き放す。序盤に2桁点差のリードを奪った千葉Jの先制パンチは、40分間押し切るに十分な威力だった。A千葉のアンドレ・レマニスHCは試合後、「立ち上がりの4~5分は、千葉Jのような力のあるチームを相手にして緊張もあったかもしれない」と話した。ららアリーナ東京ベイのオープン以前は千葉ポートアリーナでもホームゲームを開催していた千葉Jが、ブースターとともに試合を丸ごと飲み込んでしまったような一戦。これも伝統の力ではないだろうか。

©B.LEAGUE
ゲーム1の千葉Jはナシ―ル・リトルの19得点を筆頭に富樫勇樹が18得点、渡邊雄太が15得点。リバウンドではリトル、渡邊、ギャリソン・ブルックスがチームハイの6本ずつ。アシストはディー・ジェイ・ホグが7本でチームハイだったが、富樫と渡邊も5本ずつ記録しており、チームとしても26本とボールがしっかりシェアされたことを示す数字を残していた。

ゲーム1で15得点、6リバウンド、5アシストとオールラウンドな活躍を見せた渡邊(©B.LEAGUE)
一方A千葉は、エヴァンス ルークがチームハイの16得点を挙げたほか、マリアル・シャヨク、デレク・パードン、トレイ・ポーターの外国籍トリオがそろって12得点ずつを記録。パードンは13リバウンド、ポーターも11リバウンドでダブルダブルの活躍だった。アシストは黒川虎徹の5本を筆頭に7人で21本記録しており、こちらもチームオフェンスを一定以上組み立てられていたことを感じさせるデータではあった。
スタッツシート上で大きな差があった項目の一つはフリースローだ。A千葉が8本中6本成功だったのに対し、千葉Jは18本のアテンプトを得て16本を沈めている。また、A千葉はオフェンス・リバウンドを24本奪った(オフェンス・リバウンド機会全体の43.6%)が、セカンドチャンスでの得点では14-11と、千葉Jを上回ったものの圧倒するには至らなかった。前日時点でリーグ3位のペイントでの得点では38-48と上回られた。
ショットチャートを見ると、千葉Jはペイントでのフィールドゴールが40本中24本成功(成功率60.0%)。対してA千葉は44本中19本成功(成功率43.2%)にとどまった。A千葉がペイントでの千葉Jのフィジカルさとリムプロテクションの前に、本来の威力をそがれたと見ることができる。千葉Jは、ペイント外の2Pアテンプトが3本しかなく、3Pショット以外は一貫してペイントを攻めまくるというコンセプトが感じられる数字になっていた。つまりA千葉の強みであるペイントでの戦いに真正面から挑み、勝った。完勝と言ってよいのではないだろうか。
白熱の接戦となったゲーム2
しかし「クロスタウン・ライバリー」はもう一日残っている。かつ、この場合、土日の連戦という現行フォーマットは、チャレンジャーとしてのA千葉に有利だっただろう。この対戦ならではと言える場内の緊迫感は体験済み。富樫、渡邊、原修太という日本代表を含む千葉Jのスターターに対し、黒川虎徹と渡邉伶音という若手を含むスターターは失うものが何もなく、思い切り自己表現するだけでいい(負ければシーズン負け越し決定だったので、実際には失うものもあったが)。
ゲーム2でA千葉はスターターを変えたが、黒川と渡邉、デレク・パードンは残した(マリアル・シャヨクとエヴァンスに代えて熊谷尚也とトレイ・ポーターを投入)。千葉Jは富樫、ホグ、ブルックス、原の4人は前日と同じで、この日欠場となった渡邊に代えて金近蓮を加えた5人だった。
会場はこの日も、チャレンジングレッドの千葉Jブースターが相当な勢力。轟音のような“Go! Jets!!”コールがティップオフ前から選手たちを盛り立てる。A-xxももちろん大声援。オフェンスのコール、ディフェンスのコール、そして試合が止まったときの“チーバ!チーバ!”のコールまで、声対声、力対力で渡り合っていた。

©B.LEAGUE
試合はどんどん動いていったが、この日のA千葉はゲーム1のように千葉Jの伝統に飲み込まれてしまうような時間帯がなかった。4Qのオフィシャルタイムアウトの時点でスコアボードは68-59。リードしていたのはA千葉の方だった。“アップセット・アラート”が、威力を増すA-xxの大声援の形で鳴り響く。
ただし試合の最後の約5分間は、基本的に千葉Jの時間帯だった。
残り3分38秒、富樫がフリースローを2本沈めて68-61。残り1分40秒、富樫がパードンのディフェンスを破るペイントアタックでレイアップを沈め68-63。残り50秒、粘りのオフェンス・リバウンドから金近廉が3Pショットを沈めて68-66。
そして残り10秒を切って富樫が熊谷の頭越しに放った3Pショットがみごとにリングをとらえ、千葉Jが69-68と逆転に成功した。10-0のラン。富樫、おそるべし。
残り時間は7.8秒と表示されていた。レマニスHCはタイムアウト。雄たけびとともにベンチに戻っていく富樫の背中を、A-xxの「あああぁぁ…」という大きな溜息が追いかけた。









