月刊バスケットボール10月号

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2025.08.11

【WUBS2025】Day2レポート——日本勢決勝進出ならず、日本学生選抜と日体大は最終日3位決定戦へ

デ・ラサール大戦で11得点、12リバウンドのダブルダブルを記録した佐藤友

810日にDay2を迎えたWUBS2025World University Basketball Series2025=4回ワールド・ユニバーシティ・バスケットボール・シリーズ)は、日本学生選抜がデ・ラサール大(フィリピン)と、そして日体大が高麗大(韓国)と、どちらも決勝進出をかけたビッグゲームを戦った。結果はどちらも日本勢の黒星となり、WUBS始まって以来初の日本勢優勝の可能性は消えた。


ほか2試合は、国立政治大(チャイニーズ・タイペイ=NCCU)が香港大(香港=HKU)を総合力で圧倒し、シドニー大(オーストラリア)はフィリピン大(フィリピン)とのフィジカルなバトルをしのいで勝利した。この結果最終日のDay3は、以下の組み合わせとなっている。

☆Day3811日(月・祝)の試合日程 ※会場は国立競技場代々木第二体育館
5-6位決定戦:シドニー大 vs NCCU11:30~)
3位決定戦:日本学生選抜vs 日体大(14:30~)
決勝戦:デ・ラサール大 vs 高麗大(16:30~)

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Game1:NCCU 102-48 HKU

前日ディフェンディング・チャンピオンのデ・ラサール大と大接戦を演じ84-89で敗れたNCCUは、HKUに対しスタートから猛攻を浴びせ1Q終了時点で31-6と大量リードを築き、そのまま40分間走り続けて勝利をつかんだ。サイズ面で大きなアドバンテージがあるNCCU208cm120kgのボバカー エムボを中心にパワフルなオフェンスを展開。そのボバカーの17得点を筆頭に6人が2桁得点に乗せた。

HKUも初戦よりリラックスした雰囲気で試合に入ることはできていたが、それでも1QNCCUのビッグランに対抗し切れなかった。後半に入ってエースのカイル ツァンの3Pショットが当たりだし良い流れを作れた時間帯もあったが時すでに遅し。敗れたHKUはこの一戦を持ってWUBS2025での出番を終えた。

勝ったNCCUDay35-6位決定戦を戦う。チェン ツーウェイHCは、「優勝のかかった試合を戦えないのは残念」と話す一方、「日本でWUBS2025以外にも練習試合をする機会を持てています」とのこと。今大会に参加する意義は、年々膨らんでいるようだ。

Game2:シドニー大 96-77 フィリピン大

この一戦は、ファイナルスコアほどの実力差を感じずに楽しめた人が多かったのではないだろうか。点差の要因は、フィリピン大が前日に続いてショットメイクに苦しんだからだ。エースガードのハロルド・アラルコンを故障で欠いた状態だったとはいえ、オープンルックが何度もありながら3Pショットが37本中成功6本のみ(成功率16.2%)というデータは、フィリピンの大学王者の本来の実力であるはずがない。過程はしっかり作ったにもかかわらず、最後にリムのところで、まるでフィリピン大の方だけカギがかかったように感じられるほど、フィリピン大は苦しんだ。

フィリピン大のAコーチを務めるクリスチャン・ルアンゾンは試合後、「昨日の敗戦後、もう一度まとまって戦おうと話し合って今日を迎え、前半はいい戦いができたんですが、後半は全く別の話となってしまいました」と肩を落とした。

シドニー大は、特に後半粘り強いパス回しでフィリピン大のアグレッシブなディフェンスをかわして徐々に、流れを引き寄せた。25得点を挙げたフォワードのイギー・ミッチェルを中心に、果敢なペイントアタックでフィリピン大のビッグマンが待ち受けるインサイドを攻略。相手のバランスが崩れたところでエキストラパスをつないで得点機をモノにするバスケットボールは見応えがあった。

Game3:デ・ラサール大 88-75 日本学生選抜

佐藤友(東海大2年)や近怜大成(大東文化大1年)らのフィールドゴールで序盤に先行した日本学生選抜だったが、1Q終盤に逆転された後2Qにオフェンスが停滞。デ・ラサール大に一気に主導権を持っていかれた。

日本学生選抜はショットメイクに苦しみ、特に前半は3P成功率が6.7%(1/15)。西尾吉弘HC(大東文化大)は、「ちょっとリズムの悪いショットも多かった。もう少しインサイドを絡めてできたら…。後半はペイントタッチをして中から外へと展開できていたんですが。前半も、外から外へのパスでもあと少しでも沈めていれば変わったかもしれません」と分析していた。

この試合では、デ・ラサール大の11の強さやタフショットをタフショットと感じさせないほどのしぶといショットメイクが際立った。ルーズボールへの出足やフィニッシュに向かうムーブで自らディフェンダーに体をぶつけてゴールラインをこじ開けていくうまさは、マッチアップした選手たちにとって大いに学ぶべきところがあったのではないだろうか。

ただ、日本学生選抜はプレーメイクもディフェンスもしっかり対抗できていた。キャプテンの佐藤が11得点に12リバウンドのダブルダブルを記録し、石川晃希(明治大2年)の17得点を筆頭に2桁得点が6人を数えたこの敗戦は、きっと今後の糧になるだろう。

Game4:高麗大 68-54日体大

日体大は勝利をつかむことはできなかったが、前半は先行して優位に試合を進めていた。前日「1試合やってみんなの緊張も解けたと思うので、高麗大戦からは自分たちの流れで『6秒オフェンスを』やっていきたいです」と話していた司令塔の月岡煕や、高さで高麗大に対抗できるセンターのコネ ボウゴウジィ ディット ハメードを中心に1Qを終えて21-1011点差のリードを奪い、2Qも高麗大の反撃に対抗しながら29-232ポゼッション差のリードを保っていた。

ところが、3Qは高麗大にスタートから5分間に14-2のランを許し33-37と追う立場に。以降徐々に突き放され、体勢を立て直すことができないまま敗れた。藤田将弘HCは、「どこでどんなストレスがかかったのか、シュート成功率が上がりませんでした。そこをコネが頑張ってくれて点数を稼いでいたんですが、チーム全体で取れない時間が40分続いた感覚」と振り返った。「いい波がなかなか来ないところをもう一つ乗り越えていかないと。いい勉強になったと思います」

一方高麗大のチュ ヒジョンHCは、80得点を目指す日体大を相手に失点を54に抑えた戦いぶりについて、「韓国で『防壁』と呼ばれるディフェンス力は我々の土台」と胸を張った。

文/柴田健

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