月刊バスケットボール10月号

Bリーグ

2025.03.28

岡田優介(香川ファイブアローズ)インタビュー――「ファンの皆さんに感謝しかない」

2月6日に今季限りで引退することが明らかになった香川ファイブアローズの岡田優介に、現在の心境を聞いた。取材したのは3月23日。小豆沢体育館(東京都板橋区)で行われた横浜エクセレンス戦を67-68で落とした後だった。岡田は前日のゲーム1では終盤に出場機会を得て2得点を記録したが、この日は出番なし。取材を受けるタイミングとしては最高ではなかったかもしれない。しかし、試合後のコートでコンディショニングのためにひとしきり走りこんできた岡田は、さわやかなアスリートの笑顔とともに丁寧に対応してくれた。



岡田優介 1984年09月17日生まれ(東京都出身)|185cm/81kg|シューティングガード(写真は2024年11月3日のヴィアティン三重戦より/©KAGAWA FIVE ARROWS)

気持ちの置き場が難しいシーズン
ファンの存在が支えに


——ここまでのシーズンを振り返って、また現在を鑑みて、岡田さんの状況はどんな感じですか?

開幕の頃は、自分として100%のコンディションじゃなかったんですけど、徐々にできるかなっていうのを感じるようになってきました。このリーグで、チームに対して十分貢献できる、トップクラスのシューターとしてやっていけるという感覚はありますよ。ただ、若い選手も入ってきて調子を上げてきている中で、プレータイムが削られて「3分で」というような状況になるとどうしても難しいところは出てきます。特にシュートだけで評価されるので、結果が出ないとまたちょっとずつ出場時間も減ってきますからね。

ただ、それは自分の何かが悪いからではないと思っています。僕自身の調子が悪くなったとは思っていなくて、今でも出られれば全然できるんです。でも当然、座っている時間が長引けば試合感覚が鈍っていくので、自分の中で何とかそれを落とさないように気を配っています。プレーオフでは何が起こるかわからないので、コンディションを維持しようかなと思っています。

もうこういう年齢ですし、「もっと出してくれ」とも特に言わないです。もちろん出られたらうれしいですが、この形でチームがトライしているのであれば、僕としてはおとなしくするかなというか(笑)。正直そういう気持ちです。

周りの人がどう見ているかはわからないですけど、決して調子を落としているわけではありません。準備はしているので、タイミングさえ合えばいつでも活躍できる自信があります。

――昨日まで43試合に出場して3P成功率39.8%で、これは規定未満ながらリーグ1位相当の数字です。今日は出場機会がありませんでしたが、試合後にコートを走って体を動かされたと聞きました。そうした裏の努力でコンディションを落とさないように頑張られているということですね。

そうですね。それも全部自分のスタイルで、今までもそういうときはありましたから。あと、実はチームのプレースタイルが変わったということも大きかったんですよ。

――序盤戦と今とでスタイルが変わってきているということですか?

チームとしてはとにかくディフェンスから走って、シンプルなモーションオフェンスで攻めようとしているんですけど、自分の場合はどちらかというと、例えばセットプレーでチームとして少しテンポを落として、頭の中で相手と駆け引きしながら確率の高いショット、確率の高いチョイスをするというスタイルが得意です。走りあいになると、ちょっと持ち味とは違ってくるところがありますね。

スピードだけの勝負だと自分はフィットしないと感じているので。でも、ずっと40分間そうするのがいいのかどうかは別問題です。今後どうなっていくかもわからないですし、自分が生きる場面はあると思っています。

――インバウンド時などで決められたプレーのフィニッシャーに岡田さんというのは、やっぱり相手にとって怖いと思いますが、今はチームで取り組んでいるのが違う部分だということですね。

そうですね。若い選手も多いし、あまり考えすぎても彼らに迷いが出て消極的なプレーになったりとか、そういうのが多分前半戦の課題だったからでしょう。難しいことをやらずに、シンプルにやることを絞って取り組もうというスタイルに事実上なっています。

――そういった流れの中で、気持ちの置き場が難しいところもあると思うんですが、岡田さんはどんなところを楽しめていますか?

確かにすごく難しいです。正直なところ、プレーしている姿を皆さんにお見せしたいと思ったのが今シーズンもやってみようと決めた理由でした。今は、応援してくれているファンの方々のために頑張るという気持ちです。残り時間も少ないですし、試合に出ようが出まいが少しでも元気な姿を、ちゃんと皆さんにお見せしたいです。感謝の気持ちを持ってしっかり目を合わせて、できる限り「来てくれてありがとうございます」という声をかけたり、そういうこともしていきたいなと思っています。

チームに対して、少しでも勝率が上がるように努力するのはもちろんです。試合に出なかったとしても、何かアドバイスや声かけみたいなことをします。でも、やっぱり皆とは置かれている環境と立場が違うし、来年あるわけではないですからね。

だから、自分自身は与えられた環境の中で、やっぱり感謝の気持ちとかそういったことを何か伝えて表現していきたいと思っています。コーチにも言ってあるんですけど、いわゆるガーベッジタイム(勝負が決したと判断した後で控え選手を投入する時間帯)でも、全然気にしない出してくれと思っています。中には、ベテランに敬意を表してそういう時間帯には出さないという考え方のコーチもいます。でも、1分でも30秒でも構わないよと。見に来てくれたファンの人たちは、少しでもコートに立っている姿を見たいと思うから、そういうチャンスがあったら出してほしいと伝えてあります。







文/柴田健

タグ: 香川ファイブアローズ

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