月刊バスケットボール7月号

Bリーグ

2024.05.14

長谷川智也(越谷アルファーズ)、執念の「ザ・ショット1&2」——B2プレーオフセミファイナル サイドストーリー

©B.LEAGUE

B2レギュラーシーズンを3525敗(勝率.583)の東地区2位で乗り切ってプレーオフに進出した越谷アルファーズが、セミファイナルでアルティーリ千葉に2連勝してB1昇格を決めた。B2初参戦の2019-20シーズンから5シーズン目。初めてプレーオフ進出を果たし、3位の座に就いた2020-21シーズンから4年目。関係者にとってまさしく念願の勝利だった。



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今シーズンの越谷は、2年前に宇都宮ブレックスをB1王座獲得に導いた安齋竜三がヘッドコーチとして率いる初シーズンだった。しかし序盤戦から、最終的に564敗(勝率.933)という歴史に残る快進撃で東地区王者となったA千葉に独走を許したままレギュラーシーズンを終えた。思うような成果を出せずもどかしさの中で過ごした約8ヵ月間、安齋HCから聞かれた言葉は、「最後までやり続けられない」、「遂行力が伴っていない」といった厳しい内容が多かった。

チームをまとめるべきキャプテンの長谷川智也としても、非常に難しいシーズンだったに違いない。長谷川は、2013年に越谷の前身である大塚商会アルファーズで自身のキャリアをスタートさせたベテランだ。その後いったんチームを離れたが、4年前の2020年に現在の越谷にカムバック。2020-21シーズンから現在まで、22-23シーズン前半戦を除く長期間キャプテンを務めてきた。古株のリーダーとしてこれまでのチームカルチャーに責任がある立場であり、その良さを残しながら、安齋HC体制で目指す新機軸に沿って既存・新戦力の融合を図らなければならない。非常に難しいことだ。

レギュラーシーズン中の長谷川は、指揮官の思いを受け止めながら、コート上で思うように表現できないふがいなさを自覚するような言葉をたびたびもらしていた。


5月12日のセミファイナルGAME2でベンチから戦況を見つめる長谷川智也。表情に闘志があふれている(写真/©B.LEAGUE)

昨年1119日にホームアリーナのウイング・ハット春日部で神戸ストークスに敗れた後にも、そんな言葉が聞かれた。この試合は第4Q開始時点で59-57とリード。その後点差を開くチャンスもたびたび訪れたが、それを自らのターンオーバーで生かせないまま、逆に最後の10分間を10-20と上回られて69-77で敗れた。

「相手がミスしてくれた後、トランジションでの判断で、練習から何度かミスが出てしまっています。そこが僕らの弱いところ。チャンスにたたみかけられる力がまだ僕らにはありません…」

終盤に勝ち切れない、やり通せない、ここぞでミスが出る…。その原因は、長谷川の見方としては「気持ちの部分がほとんど」。そんな言葉を聞いて、安齋HCと長谷川以下のメンバーが望むものが乖離している印象だった。もしそうだとしたら、チームがばらばらになってもおかしくない難局だが、そんな印象はシーズン後半になっても拭い去られないままだった。





取材・文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB)

タグ: 越谷アルファーズ B2プレーオフ長谷川智也

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