月刊バスケットボール6月号

NBA

2024.04.09

ケルドン・ジョンソン(サンアントニオ・スパーズ)インタビュー——役割の変更にも「エゴを捨てて求めらていることを実行している」

325日、サンアントニオ・スパーズがホームのフロストバンクセンターで、フェニックス・サンズとの接戦を104-102で制した直後、興奮さめやらぬままのケルドン・ジョンソンがインタビューに応じてくれた。


ジョンソンは2019年にドラフト29位でスパーズに指名され、今シーズンで5シーズン目となるスモールフォワード。今シーズンは、4月6日時点で平均15.8点、5.5リバウンド、2.9アシストのアベレージを記録している。ビクター・ウェンバンヤマの獲得を機に大きく躍動しようとしているスパーズの中で、どんな思いでプレーしているのか。若きベテランの言葉を聞こう。


まだ24歳ながら、すでにNBAで5年のキャリアを持つケルドン・ジョンソンはリーダー格としてチームをけん引する存在だ(写真/©Ronald Cortes/Getty Images)





弟分たちを励ます“若きベテラン”KJ

——今日はワイルドな試合の勝利おめでとうございます。第3Q終盤には貴重な3Pショットを2本沈める場面もありました。今の心境はいかがですか?

とても気分は良いよ。少し体には痛い箇所があるけど、82試合のシーズンだからこういう時期もある。今日はチームとして勝てたので、大きな意味がある。僕のチームメイトは素晴らしい活躍をしたし、自分自身も役割を果たせた試合だった。

——今シーズンのアップダウンについて話を聞かせてください。開幕直後はフェニックスでのアウェー2連戦を勝利するなど3勝2敗のスタートでした。そこから18連敗を喫し、今は1656敗のレコードです。

とにかくポジティブな気持ちでいることを心掛けているよ。僕たちは毎試合成長しようと努力としている。若いチームだし、長いシーズンなので、良いときも悪いときも経験するけれども、堅実に成長することを意識している。

——良いときも悪いときも経験するということですが、このチームが不和になることなく堅調な関係でいられる理由はありますか? 昨シーズンも2260敗でしたが、傍からチームを見ると選手同士の関係はとても健全だったように思えます。

それはチームが皆家族であるという根底があることが理由だ。選手同士は皆兄弟だと思っているし、スタッフとも家族だと思って接している。常にお互いをサポートする姿勢があるし、皆お互いが成功して欲しいと強く思っている。決して簡単なことではないけど、お互いを助け合おうという意識がとても強い。

——今チームにおけるご自身の役割について教えてください。年齢的には24歳と若いですが、スパーズで5シーズン目となり、ややベテランの領域に入ってきているように見えます。

そうだね。若い選手を励ましたり、あるいは自分に限界を作らないようにコンフォートゾーンから出るよう働きかけたりしているよ。プライドを持ってそういった行動をしているから、自分の目で選手が育つ姿を見るととてもうれしいよ。

——ちなみに最近は試合前にスターティングラインナップが紹介された後に、チームメイトにウォームアップシャツを破られる新しいルーティンが見られますが、これはどういった経緯で生まれたのでしょう?

これはある日突然起きたんだ。それから継続している。今では皆が参加してくれるし、毎試合違う選手のシャツを破っている。とてもイケてるだろう(笑)

——今シーズン、どのように自分の新しい役割に適応しているのか教えてください。昨シーズンはチームのリーディングスコアラーでしたが、ドラフトでビクター・ウェンバンヤマを指名したり、デビン・バッセルがスターとして頭角を現してきたり、ロスターにも動きがあり、これまでとは異なった役割を求められています。

アップダウンはあるよ。タフだと感じたときもあった。ただ、それができてこそプロフェッショナルだ。チームが成功するためには、自分のエゴを横に置いて与えられたどんな役割にも適応する。昨シーズンと今シーズンは別物だ。昨シーズンは楽しかった。今シーズンは自分の役割が変わったけれども、良いチームメイトに恵まれているから新しい役割にも順応しやすいよ。難しい時期でも、チームメイトには皆自分の味方をしてくれる。


新たな役割にもジョンソンは迷いなく適応し、奮闘を続けている(写真/©Ronald Cortes/Getty Images)

——シーズン中にスタメンではなく、ベンチからの試合出場になったことについてはどうでしょうか? 去年の夏にサンアントニオの地元のライターからベンチ出場の可能性を聞かれて、「チームが必要とするのでれば何でも受け入れる」と答えていましたが、「受け入れる」と言葉で言えても、実際にそれを受け入れることは簡単ではないと思います。

そんなことはなかったよ。僕は勝ちたいし、負けん気も強い。でも、自分のエゴを捨ててチームメイトが自分に求めていることを実行する。コーチ陣やチームメイトたちを信用しているし、彼らが僕に何を欲しているかは理解できている。浮き沈みもあるけど、楽しんで自分の仕事を成し遂げている。





小谷太郎/月刊バスケットボールWEB

タグ: サンアントニオ・スパーズ

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