Bリーグ

2024.03.21

三遠ネオフェニックス、苦しい5連敗は真の優勝候補に駆け上がる試練


連敗にも前向きな大浦「1つの勝利が変わるきっかけになる」

選手も必ずしも現状を悲観しているわけではない。この試合で12得点を挙げた大浦颯太は「個人的には点は取れていますが、アシストが少ないと感じています。PGとして、今は周りをうまくプレーさせられていないのかなと思います」と、自身の課題を分析している。たしかに、シーズン平均4.7本のアシストは、特にここ2試合は共に僅か2本。チームとしてもシーズン平均1位の21.4本から連敗期間中は19.6本に減っている。

また、勝ち続けていたからこそ、ビハインドからのカムバックも課題の一つだと大浦は言う。

「今までは負けて追いかける展開がなかなかなくて、ずっと勝っている状況でした。でも、今日であれば10点差を付けられたところで我慢ができなかったり、追い付きかけたときに、もうひと踏ん張りができなかったです。5点差や3点差まではいくけど、そこから逆転したり、勢いに乗れるような力がまだないのかなと思います。そういう場面でチームとして切れてしまって、また離されてしまう。琉球戦もそうでしたし、今日もそうでした。そこは負けから学ばないといけないところであり、自分たちが強くなるために修正が必要なところだと思います」

この試合では、苦しい時間帯はヤンテ・メイテンのポストアップかサーディ・ラベナの強引なドライブに頼らざるを得ない状況となり、ボールと人が連動する三遠のバスケットは鳴りをひそめてしまった。だが逆に、3点差まで追い上げた時間帯はよくパスが回り、オープンの3Pや期待値の高いショットをセレクトできていた。

その流れをビハインドの展開で持続できるかは、大浦の言うように課題であり、同時にのび代でもある。今は苦しいかもしれないが、仮にチャンピオンシップで苦境に立たされたときに、ビハインドゲームの経験は必ず生きてくるはずだ。

今季は当たり前だった“勝つこと”が、今は当たり前ではなくなっている。だからこそ、次に1勝を挙げたとき、その価値は計り知れないほどに高いものになるだろう。「1つの勝利がチームが変わるきっかけになるとも思います。(ケガで)人がいないからと言い訳して戦っていては、本当の意味で優勝できるチームにはなれないです。まずは1つの勝利が必要かなと僕は思います」と大浦。

この試練を乗り越え、クラブ名のように不死鳥のごとく復活する姿を見せた時、三遠ネオフェニックスは真の優勝候補となれるはずだ。

取材・文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

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