Bリーグ

2024.02.24

富樫勇樹と西田有志の異色クロストーク「西田選手は『先輩にも関係なくグイグイくる』という話どおりの人だった」(富樫)



富樫がバレー、西田がバスケをしたら…?

──もし富樫選手がキャプテンのチームに西田選手が加入するとしたら、富樫選手は西田選手にどんな役割を任せたいですか?

富樫 うーん、どうですかね?(笑)。西田選手は練習ですごく声を出してくれそうですよね。練習ってもちろん内容は重要なのですが、チームとしての雰囲気作りもすごく大事だと思うんです。バスケ選手って結構シャイな選手が多いイメージがあるんです。ほかの競技にはキャラが強い選手が多い印象なのですが、バスケにはそういう選手があまりいないような気がしているので、西田選手のような選手がいてくれたらめちゃくちゃ助かるのかなと思います。

西田 僕が絶対に怒られるタイプということだけは自信を持って言えます(笑)

富樫 (笑)

──逆に西田選手は富樫選手がキャプテンのチームに所属したとしたらどうしますか?

西田 パフォーマンスに関しては富樫選手は一流ですし、僕が富樫選手に対して何か手助けするという必要はないと思います。チームというのは、監督の意志をキャプテンが仲間に還元して作っていくものだと思っています。僕の中では監督とキャプテンは同じグループ。だから、チームをよりまとめやすくするための味方というか、富樫選手の横にいる存在になるかなと思いますね。

──もし、富樫選手がバレーの、西田選手がバスケの選手になれるとしたら、どんなプレーをしてみたいですか?

富樫 僕はバレーの細かいポジションまではそこまで分かっていないのですが、身長的に自分がスパイクを打っているイメージができないんですよね。なので、拾う側のリベロを極めようかなと思います(笑)

西田 僕は100%ポイントガードはムリなので、ベンチでいいですよ(笑)。呼ばれたら出るくらいの感じで。センターもムリだしなぁ…どこが合うと思いますか?

富樫 それこそ、バーっと動いてシュートを打ちまくるシューター系じゃないですかね?

西田 走りまくって?

富樫 そうそう。

西田 あとはフィジカルで負けなければいけますかね? いや、でもあんまり合わないだろうな(笑)

(一同爆笑)

富樫 身長を無視したらやってみたいプレーはやっぱりスパイクですよ。あんなに真下にたたきつけてボールが跳ね返るなんてもう…。でも、最近バレーの話をしていたのですが、バレーのネットって思ったよりも低いんですね。

西田 低いと思いますよ。243cmです。

富樫
 ミニバスのリング(260cm)よりも低いんですね! 僕でもバスケのリングの高さ(305cm)には届くは届くんですよ。だから、意外といけるのかなとも思っていて。

西田
 いけます、いけます!

富樫
 チームメイトにめちゃくちゃ飛ぶ選手(ディー・ジェイ・ステフェンズ)がいるんですけど、リングから頭が出るくらい(笑)

西田 それってダンクコンテストで優勝した外国人の選手ですか?

富樫 そうそう! めちゃくちゃヤバいので、バレーをやっているのを見てみたいですよ(笑)。多分(最高到達点は)370〜380cmはあると思います。しかも、両足跳びなのでバレーでも活躍できそうな跳び方です。

西田 昨日(取材は2月5日)、僕らが試合をした相手に218cmで最高到達点365cmのドミトリー・ムセルスキーという選手がいたのですが、その選手は飛ばなくても腕が20cmくらいネットから出ているんですよ。

富樫 手を挙げただけで、すでに?(笑)

西田 ムセルスキーが跳ぶと、僕らレシーブ側からは彼の胴が見えるくらいなので、富樫選手のチームメイトはそれと一緒かそれ以上に跳ぶかもしれないですね(笑)

──VリーグにもBリーグにもとんでもない選手がいますね…。富樫選手に一つ質問です。Bリーグ優勝(2021年)前後の時期から、よりチームプレーヤーとしてプレーしている印象が強いのですが、中堅・ベテランの年齢となったことによる意識変化などがあったのでしょうか?

富樫 そこまでの意識はないのですが、それまでは良くも悪くも数字を残しにいく意識がほかの選手よりも強かったです。それが優勝する時期くらいから少しずつ変わってきたんだと思います。気持ち的にはあまり変わらないのですが、ちょうど優勝した前のシーズンから千葉Jのキャプテンをしていたので、少なからず意識は変わったのかなと。チームメイトをはじめ、チームのいろいろな面を大事にするようになったと思いますし、自分だけじゃなくてより周りを見られるようになったのかなと思いますね。

──西田選手はVリーグ優勝(2020年)という結果を得た上で、自身の変化を感じましたか?

西田 僕としては“たかが1回”の優勝なので、あまりそれで変化があったとは思いません。国内の優勝はすごいですけど、次のシーズンの優勝はどこか分かりません。もちろん、優勝したときはひたすらうれしいですが、プレーヤーとして何かがいきなり変わるかどうかと言われたら、僕は変わらなかったです。
富樫 僕も近い感覚はありました。優勝するまでにファイナルでは相当負けていましたし、ようやく優勝できたということにはかなりうれしい気持ちもあったんです。でも、それで満足かというと、そういう気持ちはなかったので、西田選手と同じだと思いますね。



──では、最後に2024年の目標をお願いします。

富樫 やっぱりオリンピックがあるので、一番はそこですね。トム(ホーバス)さんはすごく目標設定を大事にする方なので、代表チームの活動が始まればしっかりと目標を設定して、それに向けて頑張っていくと思います。オリンピックにはワールドカップでベスト8に残ったチームと同等レベルの国しか出場してこないです。僕らはワールドカップでドイツとオーストラリアに負けましたが、オリンピックではそういうチームに勝たなければいけません。世界ランキングのトップ10のチームに勝ちたいという思いがすごく強いです。

西田 オリンピックの切符を取ってからはみんな「メダルが目標」と言っています。やっと僕らもそれを目指せる位置まで来られましたし、僕自身も代表に入って6、7年目でやっとそこまで積み重ねてこられました。東京オリンピックではメダルが目標とは言っていましたが、ベスト8で終わってしまいました。ベスト8からベスト4の壁は分厚いですが、そこを越えられたらメダル獲得まで行けるのではないかと思っているので、まずはベスト8。そして、現実的に考えたときにそこクリアしていかないといけないです。色まではまだ宣言できませんが、オリンピックでメダルは絶対に取りたいと思っています。



富樫 勇樹 Yuki TOGASHI
167cm・65kg/ポイントガード/1993年7月30日生(30歳)/新潟県出身/所属歴:本丸中→モントロス・クリスチャン高→秋田ノーザンハピネッツ→テキサス・レジェンズ→千葉ジェッツ

西田 有志 Yuji NISHIDA
186cm・89kg/オポジット/2000年1月30日生(24歳)/三重県出身/所属歴:大安中→海星高→ジェイテクトSTINGS→ビーボ・ヴァレンティア(イタリア)→ジェイテクトSTINGS→パナソニックパンサーズ

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