Bリーグ

2023.12.08

B2第10節までの注目ニュース5選――東はアルティーリ千葉、西はライジングゼファー福岡が首位

3. 躍動し始めたバンビシャス奈良


上り調子のバンビシャス奈良にとっては、12月9日・10日の滋賀レイクス戦は重要な節目となるかもしれない(写真/©B.League)


序盤戦の不振から11月に入って調子を上げてきたチームがB2にはいくつかあるが、バンビシャス奈良はその一つだ。開幕から白星がないまま9連敗で10月を終えた後、114日に山形ワイヴァンズを76-70で破ったところからの直近10試合は、6連勝を含む73敗。7勝の中には前述のとおり、第10節の福岡とのGAME1で手にした68-60の白星が含まれている。また6連勝中は、7日間でアウェイの4試合すべてを勝ち切るという頼もしさも示した。

福岡戦の勝利後、小野秀二HCは「ベースにあるのは、やはりディフェンスです。今日も60点に抑えることができました。チームディフェンスが機能し始めたと思います」とチームの成長に関する手応えを語っている。実際に奈良は、9戦全敗だった10月中の平均失点が83.0だったのに対し、11月に入ってからの直近10試合は72.4まで低下しているのだ。それに伴ってオフェンス面でも69.6得点から73.3に上昇。ここにきて、新任の小野HCとプレーヤーたちの個性がかみ合ってきたことを感じさせている。

ただし、福岡とのGAME2にはふたたび64-84と差をつけられての黒星。アウェイで滋賀レイクスと戦う第11節は、今後を占う一つの試金石になるかもしれない。





4. 明暗分かれるB1からの降格組、B3からの昇格組

今シーズンB1から降格してきた滋賀レイクスと新潟アルビレックスBBB3からの昇格組である岩手ビッグブルズとベルテックス静岡は、それぞれ明暗が分かれる流れとなっている。

滋賀は開幕当初の4試合が13敗だったが、その後の15試合を123敗として現在136敗(勝率.684)で西地区2位に上昇してきている。6敗のうち4敗は、B2東西のトップチームであるA千葉と福岡に対するもの。しかしその4敗も決して簡単に引き下がるような負け方ではなかった。1015日の福岡戦GAME2は第4Q序盤までリードし、最終局面で逆転を許して81-84で敗れるという展開。1029日のA千葉とのGAME2はダブルオーバータイムの大激闘だった(最終スコアは91-96)。このA千葉戦の黒星の後、滋賀は直近10試合は91敗だ。


滋賀のキーファー・ラベナは毎試合10得点、5アシスト、3リバウンドといったバランスの良い活躍を期待できるプレーヤー。懸命にチームをけん引している(写真/©B.League)

対して新潟はここまで118敗(勝率.053)。東地区の最下位に低迷している。ケイシー・オーウェンズHCが外国籍プレーヤーたちの得点力不足を不振の要因の一つに挙げていた中、新潟は1129日にポイントガードのジョシュ・ニューカークとの契約解除を発表。同日新たに身長198cmのフォワード、ステイシー・デイヴィスをロスターに加えた。その後122日・3日の第10節でも東地区6位の岩手(514敗、勝率.263)にホームで敗れたが、この動きが好転のきっかけになることを期待するばかりだ。

岩手にとっては、この新潟に対する連勝は非常に大きかったに違いない。直近10試合では46敗と持ち直してきている事実は、今後の躍進に向け期待を膨らませる。チームスタッツを見ると8.5スティールはリーグ2位、2.3ブロックがリーグ9位タイ、平均失点77.6はリーグ7位。いずれも、B3を制した昨シーズンからのディフェンス面の意識の高さを感じさせるデータだけに、まだ41試合残っているレギュラーシーズンで巻き返しを期待させる状態だ。

もう一つの昇格チーム、ベルテックス静岡に関しては、コート上のパフォーマンスについては十分に明るい話題として語ることができる。しかし冒頭で触れたニュースがどのような影響を及ぼすか。その点を最後にまとめてみたい。

5. 健闘中のベルテックス静岡が今年のB1ライセンス申請を断念

静岡は現時点で109敗(勝率.526)と勝ち越しており、西地区5位、リーグ全体でプレーオフ圏内の8位につけている。昇格直後のシーズンとして健闘と呼べる戦いぶりだろう。ただ、直近の第10節で熊本ヴォルターズに連敗を喫し、そして表題のニュースが明らかになったという流れはやはり気になるところだ。


オレンジに染まるホームアリーナでのベルテックス静岡は7勝4敗。熱いホームコートアドバンテージがはぐくまれているだけに、今回の発表は残念ではあるが、試練を乗り越えた後の喜びはひとしおに違いない。まずは今シーズン、チームが検討を続けてくれることを期待しよう(写真/©B.League)

126日の会見で、2024-25シーズンに向けたB1ライセンス不申請を発表したことにより、静岡は今シーズンたとえB2で優勝してもB1昇格はかなわない。ただし、2025-26シーズンのB1ライセンス取得に向けホームタウンの静岡市と今後も連携し、準備を進める意向も明らかにしている。

こうなった最大の理由は、現時点で静岡市に新B1B.LEAGUE PREMIER)の基準を満たす5,000席以上収容のアリーナが存在しないことだ。また、静岡市では、JR東静岡駅北口の市有地で大規模アリーナを整備する構想が伝えられているが、新設アリーナ計画がある場合の特別な取り扱いを理事会で受けるにあたって必要な「3年以内着工、もしくは5年以内竣工」の蓋然性の表明が現時点ではできないのだという。

静岡県内には静岡市外の地域で5,000席以上の施設が複数あるが、クラブの母体である株式会社VELTEXスポーツエンタープライズの代表取締役社長を務める松永康太は、「現行B1ライセンス取得のためだけに、これまで育てていただいたホームタウンである静岡市を離れる選択肢はない」とコメント。ホームタウン移転の考えを否定し、静岡市を中心にこれまではぐくんできた各地域との関係性を崩さず、“オール静岡”のスタンスで前進したいとの思いをにじませている。今シーズンのチームについては、「”昇格なき優勝”を目指し、最後の1分1秒まで持てる力を全て出し切り、しっかりと経験、自信、チーム力をつける事に注力します」と全力プレーを誓った。

静岡市側は、難波喬司市長が8月に沖縄アリーナを視察するなどアリーナ構想に前向きで、年度内に方針を固めていく意向も報じられている。ここはスピーディーな進展を望みたいところだ。





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