混戦模様続くB3リーグの11月を振り返る
4. 湘南ユナイテッドBC、板橋真平が爆発中
11月中に最も順位を落としたチームの一つが、第4節時点の7位から13位まで下降した湘南U(4勝12敗、勝率.250)だった。ただし第4節で岡山に連勝したところからは4勝6敗。序盤の6連敗中も「優勝候補とほぼ対等に戦えているのは収穫」と前向きにチーム状況をとらえていた堀田剛司HCの意図が、コートで少しずつ体現され始めている気配はある。12月は豊田合成スコーピオンズ戦に始まり、金沢武士団戦で終わる日程。徳島、横浜EXとの対戦も含め、ここで勝ち越せるかどうか。前半戦の正念場を迎える。
個々には、ウクライナ人パワーフォワードのオレクサンドル・アンティボが16.8得点、7.8リバウンドでインサイドから存在感を見せ、バックコートで身長168cmの板橋真平が平均14.1得点、3.6アシスト、1.6スティールと気を吐いているのが目を引く。特に11月に入ってからの板橋は大きな脅威で、8試合すべてで2桁得点と絶好調だ(実際には10月28日の岡山戦から現在まで9試合連続)。首位の福井に91-101と食い下がった11月11日の一戦では、3Pショット9本中5本を沈めて25得点と爆発。20日に鹿児島を88-77で破った試合では、果敢なオフェンスでフリースローを15本もらい、すべて沈めて22得点を稼いだ。

板橋真平の爆発ぶりは、湘南ユナイテッドBCにとっては頼もしい限りだろう(写真は10月の横浜エクセレンス戦 ©月刊バスケットボールWEB)
5. 厳しい現実に向き合う金沢武士団、豊田合成スコーピオンズ
最後に、11月に報じられた二つの残念なニュースにも簡単に触れておきたい。まず一つ目は、金沢武士団のシューティングガード、金久保 翔が11月5日に自身のnoteで「金沢武士団の現状と、今後について。」と題する文章を公開し、チーム運営の危機的な状況を明かしたことだ。金久保がその文章で、コーチングスタッフなしで開幕を迎えた金沢の窮状を広く伝えた後、金沢は現時点でも新たなコーチングスタッフ就任を発表しておらず、今シーズンまだ1勝のみで最下位に低迷している。
もう一つは、11月8日に豊田合成が今シーズン限りでのB3退会を発表したことだ。B3唯一の企業形態クラブである豊田合成が退会することで、B3以上の全チームがプロクラブとなる。それ自体は時流かもしれないが、ファンにとっては一般論としてとらえられない、やはり残念な知らせだったことだろう。
金沢もフィナーレとなる豊田合成も含め、B3も全クラブ、全関係者が良いシーズンを送ることができるよう願うばかりだ。
文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)