月刊バスケットボール10月号

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2023.11.14

琉球ゴールデンキングスのEASL第3戦プレビュー——アレン・ダーラムの古巣メラルコ・ボルツと11/15(水)に沖縄アリーナで対戦

かつてメラルコ・ボルツでプレーした経歴を持つアレン・ダーラム(写真/©B.LEAGUE)

琉球ゴールデンキングスの東アジアスーパーリーグ(EASL2023-24シーズン第3戦が、1115日(水)に迫った。対戦相手はフィリピンの強豪メラルコ・ボルツだ。


EASLにおける琉球は、1018日に沖縄アリーナでソウルSKナイツ(韓国)を迎えて初戦を戦い、80-79で勝利。その後、111日に行われた同じソウルとのアウェイゲームを69-80で落としている。この黒星は、ソウルが最大の得点源であるジャミル・ワーニーを欠く状況で、ほとんど良いところなく押し切られてしまったような、悔しさの残る敗北だった。


ソウルSKナイツとのアウェイゲームに敗れた後、相手プレーヤーとハグを交わす今村佳太(写真/©EASL)

しかし、その後ソウルがニュー台北キングス(チャイニーズ・タイペイ)に18点差(72-90)で敗れたために、現在11敗の琉球はそのニュー台北キングス(1勝)に続くグループB2位に位置している。4チームの2回戦総当たりと試合数が少ないEASLのグループラウンドで、二つ目の勝利を得らえるかどうかはファイナルラウンド進出を左右する。特に、かつてNBAで活躍したジェレミー・リンが所属するニュー台北との対戦を1月に2度控えていることを考えると、琉球は今回ホームでメラルコに負けるわけにはいかない。

はたしてどんな戦いになるだろうか。琉球とメラルコ、両チームの直近の状況を確認しながら、この一戦を展望してみたい。





徐々に勢いを増しバイウィークに突入した琉球

琉球は前述のとおり11月を韓国での黒星でスタートしたが、その後徐々に勢いを取り戻し、加速してきている。帰国後直後の1145日にアウェイで戦った大阪エヴェッサ戦は、注目のBリーグ西地区首位攻防戦だったが、初戦こそ76-81で落としたものの日曜日のGAME294-76の快勝を手にした。この勝利を皮切りに、琉球は118日の京都ハンナリーズ戦で87-7111日・12日の島根スサノオマジック戦も80-77、91-84のスコアで4連勝中だ。


Bリーグにおける次戦は122日(土)・3日(日)のシーホース三河戦。それまでの間、ファンの前でプレーする唯一の機会がメラルコ戦ということになる。ホームゲームでもあり、コンディショニングの点からも、これまでの2試合に比べて戦いやすいのではないだろうか。

チーム状況としては、チームのリーディングスコアラーであるヴィック・ロー(平均17.2得点、9.2リバウンド、2.6アシスト)が引き続きインジュアリーリスト入りしている。しかし、入れ代わるように戦列復帰を果たしたジャック・クーリーが平均15.7得点にチームハイの12.9リバウンドと早々に本領を発揮しはじめた。得点源としてはアレン・ダーラム(13.9得点、7.6リバウンド、4.1アシスト)、今村佳太(13.6得点、3.5リバウンド、3.7アシスト)、アレックス・カーク(12.1得点、7.6リバウンド、1.1アシスト)までが2桁アベレージ。強みとしてきたリバウンドも平均41.9本がリーグ4位とハイレベルで、結果としての好順位もうなづける。


復帰早々に力を発揮しているジャック・クーリー(写真/©B.LEAGUE)

ディフェンス面ではブロックショット平均2.29本がリーグ19位、スティール4.86本が23位という数字と聞くと、おや? と思う人もいるかもしれない。しかし平均得点82.4(リーグ6位)に対し平均失点76.4(リーグ7位)という総合的な結果をみれば、チームディフェンスがリーグ内でも相当高いレベルで機能していることが感じられる。

国内リーグでは上位ながら心配が山積みのメラルコ

対するメラルコは、フィリピンで開幕したばかりのPBAコミッショナーズカップ*1で開幕2連勝を飾っている。クォーター当たり12分というルールの違いはあるものの、PBA公式サイトでボックススコアを見ると、平均得点99.0でリバウンドも平均55.0(計110本)であり、高い得点力とリバウンド力が印象付けられる。





最初の2試合で中心となっていたのは、2013-14シーズンにbjリーグ時代の新潟アルビレックスBBと信州ブレイブウォリアーズでプレーした経歴を持つセンターフォワードのスレイマン・ブレイモーと、フィリピン代表としてFIBAワールドカップ2023アジア地区予選でもプレーしたガードのクリス・ニューサム、そしてクリフ・ホッジの3人だ。特にブレイモーは2試合で平均37.0得点、15.0リバウンド、2.0アシスト、2.5スティール、2ブロック、1.0ブロックという手の付けられない大暴れ状態。203cmのビッグマンだが、3P成功率も40.0%(15本中6本成功)という万能ぶりを示している。

ただ、このブレイモーの名前がEASL公式サイトのロスター紹介になく、今回沖縄アリーナでプレーするかどうかが現時点では明らかではない。フィリピンの有力紙「フィリピン・デイリーインクワイアラー」のオンラインサイトは12日付の記事で、ブレイモーが現時点でもEASL参戦に向けた手続きと日本への入国手続きのどちらも完了できていないことを伝え、ヘッドコーチを務めるルイジ・トリッリョの「スー(ブレイモーのニックネーム)も複数のビザに関係することに対処しています。どうなることやら」とのコメントも紹介している。ブレイモーがいるといないとでは大違いだが、最終的にどうなるだろうか。

このほかメラルコでは、控えのシューターとして頼るべきアレイン・マリクシーが初戦で鼻を骨折してチームを離脱中。また、テキサス大出身で身長208cmのビッグマン、プリンス・イベを獲得したとの情報もあるが、12日時点でトリッリョHCは、まだイベがチームに合流したばかりであることを明かしており、沖縄に帯同するのかどうかはわからない。現状では、PBA開幕当初の2試合で活躍したニューサムとホッジにはいずれにしても警戒が必要、ということだけは言えそうだ。


FIBAワールドカップ2023アジア地区予選でサーディ・ラベナ(三遠ネオフェニックス)とハンドシェイクを交わすクリス・ニューサム(右: 写真/©FIBAWC2023)

*1=フィリピンの国内プロバスケットボールが1シーズン中に開催する3大大会の一つ。フィリピン・カップ、コミッショナーズカップ、ガバナーズカップがある



文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 琉球ゴールデンキングス EASL

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