月刊バスケットボール6月号

大学

2023.06.30

【第2回WUBS】高麗大學校、KBLスターをコーチングスタッフに加え快進撃継続中

©️Korea University

昨夏初めて開催され、今年の8月に第2回を迎えるWUBSSun Chlorella presents World University Basketball Series=ワールド・ユニバーシティー・バスケットボール・シリーズ)に、韓国から初出場する高麗大學校は、同国を代表する名門大学の一つだ。スポーツチームにはタイガースというニックネームがあり、バスケットボールチームのユニフォームにも虎の絵柄があしらわれている。WUBSへの出場権は、韓国の大学リーグであるUリーグで昨年優勝したことで手にした。また今年のUリーグでも、高麗大は直近の615日に行われたシーズン13試合目まで負けなしの快進撃で首位を走っている。


WUBSでの高麗大の初戦は811日(金=DAY1)の第2試合で、山﨑一渉が所属するラドフォード大(アメリカ)が相手。日本にとって東アジアのライバル国の強豪チームが、アメリカ大学界の新進気鋭のチームにどのような戦い方をするか、非常に興味深い。それに加えてチーム全体とは別に、山﨑との縁という観点からもこの一戦は見どころを提供する。というのも、高麗大にはU19日本代表の一員としてFIBA U19ワールドカップ2021で対戦したU19韓国代表のメンバー——190cmのフォワード、キム テフンと200cmのセンター、シン ジュヨン——が在籍しているからだ。

あの試合で日本は92-95で敗れたが、山﨑自身は3Pショット10本中5本成功を含む32得点、9リバウンドと爆発した。この成績はいずれも山﨑にとってトーナメントハイにあたる数字。大会を通じて平均14.6得点、3P成功率43.9%(大会全体の3位)を記録した山﨑だが、韓国戦のパフォーマンスはそのポテンシャルの高さを決定的に世界に知らしめるものだった。その後の渡米とラドフォード大入りにつながる大きなステップの一つとなったことは間違いない。その一戦でキムとシンは同じコートに立っていた。

同大会で韓国には、今秋から八村 塁の母校ゴンザガ大に加わる203cmのフォワード、ヨン ジュンソクという大黒柱がいた。しかしキムも、チーム3位の8.0得点に同2位タイの3.6リバウンド、同単独2位の2.4アシストを記録して存在感を放っていた。日本との一戦でも3Pショット3本を決めて9得点に8リバウンドという数字を残している。シンもキムに続くチーム4位の平均6.1得点。日本と対戦した試合ではフリースロー5本を決めて5得点、3リバウンド、1アシストで勝利に貢献した。

Sun Chlorella presents World University Basketball Series大会公式サイト

FIBA U19ワールドカップ2021でのキム テフン(写真/©FIBA.U19WC2021) 


こちらは同大会でのシン ジュヨン。現在は高麗大のセンターとして活躍している(写真/©FIBA.U19WC2021)

なお、6月24日からハンガリーで開催されているFIBA U19ワールドカップ2023のU19韓国代表にも、高麗大からムン ヨヒョン、ユ ミンス、ユン キチャンと3人が選出されている。

日韓大学王者同士の激突もありうる第2回WUBS

日本の隣国である韓国と日本のバスケットボールにおける関係は、その他のさまざまなスポーツと同じく激しいライバル関係にあり、どんな大会でもお互いがお互いに勝てるようにプレーし、勝てるように応援する文化が長年にわたって醸成されている。交流の歴史はFIBAが開催する国際試合の舞台だけでなく、「李相佰盃(りそうはく はい)」として知られる学生選抜チーム同士の対抗戦が今年第46回目を迎えたことからもわかるように長く、深い。

高麗大には、単独チームとして日本の大学との定期戦を長年行ってきた歴史もある。日本との関係性は親密だが、WUBS出場で日本のバスケットボールファンにとっていっそう親しみの湧くチームになることだろう。今回は1回戦の結果いかんで大会2試合目で東海大かチャイニーズ・タイペイの国立政治大のいずれかと対戦することになる。もしも東海大との対戦が実現すれば、プライズがかかるビッグイベントで日韓の大学王者同士が激突するという大きな意味合いを持つ一戦となるのだ。

仮に高麗大と国立政治大の対戦となった場合にも、これまで日本では比較的機会が少なかった東アジアのライバル国の学生同士の対戦を、国立競技場代々木第二体育館のコートで見られることになる。白鷗大はブラケット(勝ち上がり表)の中では高麗大と逆の山に入っているが、試合経過しだいで決勝戦での対戦もありうる形だ。大会の動向がどんなものになるかはまったく予想がつかないが、いずれにしても、日本の男子バスケットボール界にとってプラスの刺激になることは間違いない。

【関連記事】第2回WUBSが東海大、白鷗大、山﨑一渉所属のラドフォード大など8チーム出場で8月に開催決定
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文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

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