大学

2023.06.19

【第2回WUBS】FIBA世界ランキング3位のオーストラリアで大学王座獲得、シドニー大のバスケットボールとは

アグレッシブなペリメーターからのアタックに注目


オーストラリアの大学バスケットボールは、2021年にユニスポートが国内リーグUBLを開幕させたことで一つの節目を迎えた。そしてシドニー大は、その初年度と2年目の王者ということになる。3年目の今年のリーグは5月に終了したばかりで、シドニー大は3連覇を逃したもののレギュラーシーズンを13チーム中の3位で終え、プレーオフでも4強入りを果たした。

ヘッドコーチを務めるトム・ガーレップは、2018年までNBLでプレーヤーとして活躍していた、まだ37歳の若手コーチだ。現役引退前の2018年1月には、中国の深圳市で開催されたFIBA 3x3アジアカップにオーストラリア代表として出場し、王座獲得に貢献してMVPに輝いた。現在はコーチとしてだけでなくディレクターとしてシドニー大をけん引するとともに、NBL1の運営や若年層の指導にも積極的にかかわっている。ゆくゆくはオーストラリアのバスケットボール界で、指導者として頭角を現してくるかもしれない。



プレーヤーとしてNCAAディビジョン1のカリフォルニア大サンタバーバラ校、そしてNBLでキャリアを積んだトム・ガーレップHCは、若手だがシドニー大の学生に伝えるべき貴重な経験を持つコーチだ(写真/©WUBS)

今年3月から5月まで行われてきたUBL3シーズン目を、リーグ公式サイトのデータを基に振り返ると、チームとしての傾向がいくつか見えてくる。リーグ公式サイトでレギュラーシーズン9試合(72敗)の記録を辿ると、平均得点が94.6に対して失点は72.7。得点の内訳は3Pショットで平均28.2得点、ペイントで51.6得点、その他が14.8得点だった。

3P成功率はチームとして30.8%とさほど高くはないが、プレーオフを含む全試合の通算でリーグトップの48.0%(50本中24本成功)の成功率を記録したポイントガードのマイケル・ヨーンと、同3位の42.9%(56本中24本成功)のロバート・ムーアという高確率のボリューム・シューターがいる。ほかにもジョシュア・ペイン、チャンドラー・スケルトンの二人がロングレンジから積極的にゴールを狙ってくる。


UBLの直近シーズンで3P成功率がリーグトップの48.0%だったポイントガードのマイケル・ヨーン(写真/©WUBS)


長身ガードのチャンドラー・スケルトンはニューサウスウエールズ州のU20選抜に名を連ねたタレントだ(写真/©WUBS)

得点面ではガードとウイングの比重が高く、マシュー・ウェイチャーの17.4得点を筆頭にペイン(16.8)、ヨーン(15.1)、ムーア(13.0)、スケルトン(11.3)、そして11.1得点のミッチェル・スミスまで、2桁得点を記録しているのは全員ペリメーターのプレーヤーだ。この中でウェイチャーはフリースロー成功数(46本)がリーグトップで、平均4.6アシストもリーグ4位。オフェンスにおける非常にアグレッシブな姿勢が数字に現れている。


シドニー大の直近シーズンでスコアリングリーダーとなったマシュー・ウェイチャー(写真/©WUBS)

このウェイチャーやヨーンら小柄なガードの果敢なアタックを、センターフォワードのキャンベル・グリーン(平均8.1得点、7.4リバウンド)らフロントラインがうまく生かすような展開がシドニー大のバスケットボールと言えそうだ。タレントのレベルがオーストラリア国内でどんなものかについては、例えばグリーンがFIBA U17ワールドカップ2018のオーストラリア代表に名を連ねていたことや、ウェイチャーとスケルトンがニューサウスウェールズ(オーストラリア東南部の州)でU20選抜に選ばれていたことなどが指標となるだろう。また、ウィルチャーがシドニー・コメッツ、グリーンとスミスがヒルズ・ホーネッツ、ヨーンとムーア、そしてペインがノース・ベアーズなど、主力がこぞってNBL1のクラブに所属している。


シドニー大のフロントラインの要となるキャンベル・グリーン(写真/©WUBS)

このシドニー大と、フィリピンのトッププレーヤーの数々を輩出したアテネオ・デ・マニラ大が激突するWUBS1回戦はなかなかの見ものだ。どちらが勝つかはまったく予想がつかないが、どちらにしても白鷗大がペルバナス・インスティテュートとの初戦の結果次第で戦う相手としては、難敵であることに違いはなさそうだ。

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文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

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