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2023.05.30

【第2回WUBS】山﨑一渉のラドフォード大2022-23シーズンを振り返る

開幕からの2試合はNCAAディビジョン1の洗礼

ただしNCAAのディビジョン1はそう簡単に活躍し続けられるほど甘くはない。公式戦の最初の2試合で、ラドフォード大はチーム強化の目的から俗にパワー6”と称される強豪カンファレンスに所属する2チームとのアウェイゲームを組んでいたが、そのどちらも敗れている。山﨑にとっても、NCAAディビジョン1の洗礼を受けるような結果だった。


開幕初戦は、ビッグイースト・カンファレンスに所属するマーケット大とのアウェイゲーム。マーケット大と言えば、現在マイアミ・ヒートの中心的存在として活躍中のジミー・バトラーや、同チームのレジェンドとして知られるドウェイン・ウェイドの出身大学だ。ハイランダーズは69-79で敗れた。続く開幕2試合目は、デューク大やノースキャロライナ大と同じアトランティックコースト・カンファレンスの名門ノートルダム大。こちらもフェニックス・サンズのヘッドコーチを2022-23シーズンまで務めていたモンティ・ウィリアムズをはじめ、何十人ものNBAプレーヤーを輩出している。結果は76-79という僅差の勝負での黒星だった。

山﨑は初戦で15分の出場時間をもらっている。パフォーマンスとしては、4本の3Pショットを放ってすべてミスに終わったが、それでもフリースローを2本しっかり決めて2得点を奪ったほか2リバウンド、1アシストを記録した。2試合目は2分しかプレーさせてもらえず、フィールドゴール1本がミスに終わったほかには主だったスタッツ項目に記録はなかった。

個人的に際立つパフォーマンスを見せられず、チームとしても連敗を喫したこの2試合はまさしく洗礼と言える。しかし、この段階で強豪相手に2試合ともコートに立てたこと自体に意義がある。その後シーズン3試合目として行われたブリッジウォーター大とのホーム開幕戦は、エキジビションと開幕からの2試合の価値を感じさせる。この試合での山﨑は、フィールドゴール3本中2本とフリースロー5本中4本を成功させて8得点。チームも97-46でシーズン初勝利を手にした。

飛躍を生む経験を積んだフレッシュマンイヤー

シーズンを通じて山﨑は36試合中33試合に出場して、平均8.8分のプレーで2.2得点、1.2リバウンド、フィールドゴール成功率38.5%、3P成功率22.9%というアベレージを残した。得点でのシーズンハイはブリッジウォーター大戦と12月4日のジョージ・ワシントン大戦での8得点。持ち味をいかんなく出せたシーズンとは言えないかもしれないが、1月30日付のビッグサウス・カンファレンス週間最優秀フレッシュマン賞の候補に名を連ねるなど、爪痕も残した。

今年1月末にはビッグサウス・カンファレンスの週間最優秀フレッシュマン賞候補にノミネートされた山﨑。1年目はアメリカを肌で感じて慣れるということに関して、十分できたのではないだろうか(写真/©️Radford University Athletics)

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ラドフォード大の現状を考えると、この経験にはプラスアルファの意味もありそうだ。ヘッドコーチのニコルズHCはまだ就任2年目。チームは2021-22シーズンの11勝18敗(カンファレンス内では7勝9敗)から2022-23シーズンに21勝15敗(カンファレンス内12勝6敗)まで成績を上げ、シーズンを締めくくるカンファレンス・チャンピオンシップでベスト4に進出し、ポストシーズンのビッグイベントの一つであるカレッジバスケットボール・インビテーショナルでも4強入りを果たしている。山﨑はどちらの舞台でも出場機会を得た。

驚くような実績がなかった1年目を悲観的に捉えるべき理由はない。2年目に向けて必要なステップは踏んでこられており、WUSBから始まる2シーズン目には、それが必ず生きてくるはずだ。

特に、持ち味とする3Pショットが本来の確率で決まり始めれば、ゴンザガ大時代の八村のようなジャンプも期待できる。WUBSでではそれを予感させるような活躍を期待しよう。



柴田 健/月刊バスケットボールWEB(月刊バスケットボール)

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