月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2023.03.15

カイソットインパクト – 広島ドラゴンフライズはどこまで強くなるか

38日に沖縄アリーナで行われた琉球ゴールデンキングス対広島ドラゴンフライズ戦は、フィリピンからやってきた両チームの若手スター、カール・タマヨ(琉球)とカイソット(広島)がB1デビューを飾ると予想された注目の一戦だった。結果的にタマヨに出番はなく、ソットの方はスターターで登場して10得点、2リバウンド、1スティール、3ブロックを記録した。



B1デビューを果たしたカイソットは来日初ダンクも炸裂させた(写真/©B.LEAGUE)

86-78のスコアで試合に勝ったのは琉球だったが、身長220cmのソットが感じさせたポテンシャルはやはり桁外れだった。数字だけを見ればさほど爆発的には思えないかもしれないが、来日からまだ2週間程度しかたっておらず、この試合が広島の一員としての「お披露目の場」に過ぎないことは認識しておくべきだろう。屈強なアレン・ダーラムのドライビング・レイアップをたたき落としたブロックショットなど、世界中どこのリーグでもあまり見ることができないような迫力だった。

琉球のキャプテン田代直希の率直な感想は「エゲえっす!」。えげつなくすごい。そういう意味で理解した。縦に細長い体格から軽いのではないかという印象もあるかもしれないが、それが「ちゃんと重たい」のだという。

しかも走れる。余裕でぶち込むスラムダンクあり、トランジションからの得点あり。NBA Gリーグイグナイトに呼ばれ、NBAドラフト候補に名が上がるのもよくわかる。極度に長身であるにもかかわらず秀でた運動能力と身体能力や判断力、さらにはメンタル面の落ち着きまで備わっているのだ。

即刻感じられたソット効

チームスタッツを見ると、ブロックショットが琉球の1に対して広島が9本あったことは、ソット加入の効果の一つと思われる(ソット個人は3本ですべてを前半に記録)。なかなか体験することのない高さに対する状況判断自体もちろん難しい。またソットがいない時間帯、ソットがいない局面でゴールへの道をこじ開けられるといつもより積極的になりすぎる可能性もありそうだ。しかしその結果、ペイントに攻め込んだところでほかのディフェンダーにつかまりやすくなる。そんな心理的な影響がありそうだ。

ブロックショットに関しては、実際に成功した場面のほかにそのアテンプトによってショットが外れた後のこぼれ球をつかんで、素早く攻撃に転じて得点というパターンも何度かあった。広島はファストブレークでの得点でも17-13と上回っており、この項目でも今後優位を作りやすいのではないだろうか。

また、リバウンドを課題としていた広島が、リバウンドの強い琉球にこの項目で36-35と互角以上の数字を残したことも注目すべき事柄の一つだ
。ソット自身のリバウンドは2本だけだが、ソット対策でゾーンディフェンスを敷く時間が長くなると、マンツーマンのときのようにボックスアウトを徹底しづらい状況が長くなるということも影響していそうだ。

ソットは20歳の若者でまだまだ成長過程。この日1本だけ放ちミスに終わった3Pショットもこの先入ってくると思うと、対戦相手にとっては底知れない脅威になるだろうことが想像できる。

広島のカイル・ミリングHCも、B1デビューを果たしたソットの出来を、来たばかりの初戦にしては良かったと評価していた。ただ、1856秒の出場時間はスターターとして決して長くない。また、勝負がかかった第4Qには、61-7211点のビハインドを背負っていた残り450秒にソットをベンチに下げ、以降はコートに戻さなかった。

試合後ミリングHCにその意図を聞くと、「彼の最初の試合だったことは一つの理由ですね(It was his first game tonight. It's one of the reasons.)と答え、さらに「±が、これまでのスタイルでプレーしていたときの方がちょっと良かったんです。カイが慣れるまでは少し時間がかかるでしょうから(And the plus-minus tonight was a little better playing our normal style. So, it'll take some time for Kai to get used to it.)」とのことだった。


カイル・ミリングHCはソットの試運転をまずまずとみている様子だった(写真/©B.LEAGUE)

ソットがプレーしている時間帯に、琉球のゾーンディフェンスが有効だったようだ。

「リズムを崩されました。我々は走って速いペースでプレーしたかったのですが、ゾーンにやられましたね。ゾーンをされているときの±は-15から-16ぐらいだったと思いますが、マンツーマンのときには勝っていたので。プラスマイナスが明らかにプラスだったんです。カイが出て相手がゾーンをしてきている時間帯に向けた修正をしなければいけません」
”They broke our rhythm. Our game's running, playing faster…, fast-paced and the zone broke our rhythm. The plus-minus when they played zone, we probably were minus 15-16 and when they played man-to-man, we obviously won the man-to man. When they played man-to-man, we obviously won the man-to man, we were in a plus. So, we've gotta keep working when Kai is in the game and the other team plays the zone.”

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柴田 健/月刊バスケットボールWEB

タグ: 広島ドラゴンフライズ

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