月刊バスケットボール10月号

10連覇かかるENEOS、悲願の初優勝目指すデンソーがファイナルへ<皇后杯2022>

圧巻のプレーだけでなく、メンタル面でもチームを鼓舞し続けた渡嘉敷来夢(撮影/石塚康隆)

渡嘉敷がゲームを支配し、Wリーグ覇者トヨタ自動車を下す

 第89回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会ファイナルラウンド準決勝2試合が1217日に国立代々木競技場第二体育館で行われた。

一試合目はトヨタ自動車アンテロープス対ENEOSサンフラワーズの対戦。昨シーズンのWリーグ覇者と皇后杯チャンピオンという注目の顔合わせだ。両チームは今シーズンのWリーグ開幕シリーズで対戦しており、そのときは11敗と星を分けた。

 先に仕掛けたはENEOS。開始早々、渡嘉敷来夢のフリースローが決まるとオールコートでプレスを仕掛け、そこからのゾーンディフェンスを見せる。攻めては宮崎早織、星杏璃のガード陣が積極的に攻め込み流れを作った。対するトヨタ自動車は山本麻衣、川井麻衣が負けじと点を返すが単発にとどまり、一方でENEOSはインサイドで渡嘉敷が躍動し、1Q残り344秒の時点で20-102桁のリードを奪った。それだけでなくトヨタ自動車のインサイド陣、シラ ソハナ ファトー ジャ、梅沢カディシャ樹奈の二人が2ファウルずつと厳しい立ち上がり。1Q24-13ENEOSが好スタートを切った。

 2Qに入るとトヨタ自動車が山本が2本、梅木が1本の3Pシュートを沈め、点差を詰める。さらに宮下希保の合わせ、川井のドライブとついにENEOSを捕える。その後は得点を入れ合い、39-37でトヨタ自動車が1ゴールリードで前半を終えた。

 後半に入るとENEOSは星が3Pシュート、ドライブと再び流れを呼び戻す。さらに渡嘉敷が攻防でインサイドを支配。トヨタ自動車をこのクォーター8得点に抑えるディフェンスで56-47とリードを広げて最終クォーターに。

 4Qは「ヘッドコーチからも得点面で期待されている」とこの試合21得点をあげた星が3Pシュートでチームを勢いづけ、「練習で打ち込んでいる」と言う渡嘉敷のミドルジャンバーも決まる。トヨタ自動車はオフェンスでは川井がつなぎ、ゾーンディフェンスに活路を探るも、その間隙を突いた林咲希の3PシュートなどでENEOSは流れを渡さない。最後まで激しいディフェンスを続けたENEOSがトヨタ自動車の反撃を許さず77-57と勝利。ファイナル進出を決めた。

 試合が決まるまで39分以上出続けた渡嘉敷は32得点、17リバウンド、3ブロックの圧巻のパフォーマンス。これにはトヨタ自動車の大神雄子HCも「渡嘉敷選手に支配されてしまいました。うちにも二人大きな選手がいるのですが。あそこまでのプレーは久しぶりに見ました。レスペクトしかないですね」と脱帽。渡嘉敷自身も「11で守ってきたので、絶対に負けないと思っていました」と明かし、「試合に出ている選手たちが、それぞれ自分のやらなければならないことを理解し、それをやり続けてくれた」と会心の勝利を振り返る。「一戦、一戦勝ち上がっていくしかありません。何としてでも明日も勝ちたい」とあと一勝、優勝への思いを口にした。




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