Wリーグ

2022.09.05

選手に気持ちを寄せ、社会人チームを率いるWリーグのOGたち

 山形銀行はオータムカップ初戦でWリーグ勢の山梨QBを破り、大会2日目にはトヨタ自動車と対戦した。トヨタ自動車のヘッドコーチは大神雄子。木林にとっては桜花学園高、そしてENEOSでの先輩。今大会では「山梨QBに勝って、トヨタ自動車に挑戦しよう」と目標を掲げていた相手だ。敗れはしたものの、最後まで食らい付き79-89と好ゲームを演じた。

「主力選手が欠けてはいますが、トヨタ自動車はトヨタ自動車。Wリーグのチャンピオンを相手に、自分たちがやってきたバスケットがどれだけ通用するのか。そういったチャレンジをしようと臨みました。選手たちはそれを100%、120%出してくれたと思います。大満足です」と木林。

 

選手たちの奮闘を喜ぶ木林稚栄HC(山形銀行)

 

 山形銀行は今大会を見た関係者たちが口々に「いいチーム」と評していたが、木林は「私が身を置いてきたENEOSは、女子バスケットボール界でトップを走ってきていたチーム。ベースにはそのスタイルがあります。Wリーグだから、社会人だからとかではなく、どんなレベルでも通用するバスケットをしっかりと選手たちには身に付けてもらいたい」と指導のコンセプトを明かす。

 もちろんENEOSとは選手のサイズも違うが、「基本はディフェンスで粘って、そこからのファストブレイク。それは変わりません。サイズで負けるわけですから、インサイドでやられるのは仕方ありません。ですが、スピードの部分でのミスマッチを生かして、いかに勝負していくか。トヨタ自動車との一戦で、自分たちがやっているバスケットが通用するということに自信を持ってくれたんではないかと思います。これからの戦いに向けて、大きなステップになりました」と笑顔で話してくれた。

 永田も木林も、社会人チームがWリーグのチームと対戦できる場があることを歓迎している。トップレベルのバスケットボールを伝えていくうえで、それを体感できる貴重な機会だからだ。それは、選手の気持ちを大切にし、自身がトップレベルに身を置いてきたこそ、より強く感じるものかもしれない。

「自分を育ててくれたバスケットボールに少しでも役に立てれば、還元できればと…。日本のバスケットボールが世界に通用するということが証明された今、自分が教わってきた、やってきたバスケットを選手たちに伝えていくことは意味があることかなと感じています。それも選手たちがいてくれるからこそできることなんですよね」と永田。

 木林は「こうした素晴らしい環境で試合ができ、レベルの高いチームと戦え、私たちにとっては失うもののないチャレンジの場」とWリーグが開催するオータムカップやサマーキャンプへの参戦の意義を語り、「うちの選手たちはWリーグでも通用する選手たちが多いと思っています。キャリアの中で、違うラインに乗っていればWリーグでプレーしている可能性があった選手たち。ですからこうした試合で自信を持ってもらえれば」と選手への思いを口にした。

 

 

~オータムカップ試合結果~

<1日目/9月2日>

[Aブロック]
山形銀行 ○79 - 67● 山梨QB
シャンソン ○103 - 51● TOTO
U18日本代表 ●77 - 93○ 三菱電機

[Bブロック]
三井住友銀行 ●59 - 85○ アイシン
日立ハイテク ○89 - 74● 新潟
紀陽銀行 ●59 - 96○ デンソー

[Cブロック]
ミツウロコ ●51 - 61○ アランマーレ
東京羽田 ○82 - 77● 姫路
滋賀銀行 ●55 - 82○ トヨタ紡織

[交流戦]
トヨタ自動車●49 - 75○ 富士通
三菱電機 ●78 - 88○ ENEOS

 

<2日目/9月3日>

[敗者戦]
山梨QB ○95 - 74● TOTO
三井住友銀行 ●55 - 81○ 新潟
紀陽銀行 ○74 - 58● ミツウロコ
姫路 ●56 - 70○ 滋賀銀行

[Aブロック準決勝]
シャンソン ○81 - 57● 三菱電機
トヨタ自動車 ○89 - 79● 山形銀行

[Bブロック準決勝]
東京羽田 ●53 - 74○ トヨタ紡織
ENEOS ○80 - 62● アランマーレ

[Cブロック準決勝]
日立ハイテク ●52 - 81○ デンソー
富士通 ○72 - 68● アイシン

 

<最終日/9月4日>

[Aブロック決勝]
トヨタ自動車 ●75 - 76○ シャンソン

[Bブロック決勝]
ENEOS ●62 - 73○ トヨタ紡織

[Cブロック決勝]
富士通 ○67 - 59● デンソー

 

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(文・飯田康二 写真・石塚康隆/月刊バスケットボール)



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