Bリーグ

2022.09.04

新監督は憧れの河村勇輝!? ASICS×河村勇輝で高校生にドッキリ企画!

「今日、引退した3年生も含めて集まってもらったのには理由があります。実は、僕はバスケットボール部の顧問を辞めようと。ここで引退しようと思っています」

 

 9月3日、逗子開成高男子バスケ部・大澤尚樹コーチが真剣な面持ちでそう話すと、選手たちの間に衝撃で息を呑むような沈黙が走った。今日はasicsの新シューズ『UNPRE ARS LOW(アンプレ アルス ロー)』の試着会。そう聞かされて集まっていたのだから当然だ。

 

 そんなことはお構いなしに、大澤コーチは言う。「今日は新しいコーチの方を呼んでいます。今からお呼びしますので、僕から紹介させてください」

 

 

 そして扉を開けて出てきたのは、横浜ビー・コルセアーズの河村勇輝。男子日本代表としても活躍するスター選手の突然の登場に、「えぇーっ!?」とどよめきが上がる。

 

「新監督に就任しました河村勇輝です! 大澤先生から引き継いで、今日1日限定の監督として、精いっぱい皆さんと楽しい時間を過ごせたらと思います」

 

 実は今回のイベント、ASICSと河村によって選手たちに秘密裏で進められてきたサプライズ企画。大澤コーチも仕掛け人となり、1日だけ監督を交代するという意味で冒頭の引退宣言をしたのだ。MCから「また明日からは、大澤先生が監督に戻ります!」という話があり、選手たちもホッとしたような笑顔に。そして河村から選手一人一人に手渡しでシューズ『UNPRE ARS LOW』が配られると、興奮を隠せない様子で真新しいバッシュに履き替えていた。

 

 

 今回のイベントに向けた準備は、何か月もかけて企画の立ち上げからASICSと河村が一緒になって練り上げてきたという。河村も意見を出してミーティングを重ねた末に、1日監督の企画に決定。7月中にASICSのサイトで『河村勇輝がバスケ部監督に初就任!?キャンペーン』を日本全国のチームから募集し、実に202チームの中から逗子開成高が選ばれた。

 

 大澤コーチいわく「軽い気持ちで送ったので、まさか当選するとは…。連絡があったときには『えー!?』という感じでした」とのこと。中高一貫の逗子開成高は県内屈指の進学校で、「勉強も大変なのですが、バスケットが大好きで、真面目に一生懸命に取り組める生徒たちです。中には河村選手の大ファンで、まねして同じバッシュを履いていた選手もいる。受験勉強の休息にと思って、引退した3年生にも来てもらいました」と言う。

 

 

 クリニックは、河村も交えたオールコートの2メンからスタート。ハーフコートの1on1、ステップバックシュートなど、河村が実演しながらレクチャーし、クリニックは進んだ。河村は企画考案中、『監督なんてやれるかな』と不安もあったそうだが、いざ始まってみれば声を出して盛り上げたりハイタッチしたりと、高校生たちと一緒に楽しい雰囲気を作り上げていた。最後は河村がマイクで指示や解説をしながら、白熱の5対5ミニゲーム。あっという間に夢のような約3時間が過ぎ、全員で集合写真を撮影してイベントを締めくくった。

 

 

 クリニックの最中、高校生たちに向けて「コツコツやっていくことが大切。特別なトレーニングや練習をしているわけではない」と強調していた河村。その意味を問うと、こう語ってくれた。

 

「僕も昔は、NBAの選手やBリーグの選手って、すごい特別なトレーニングや派手な練習をして、その上で才能もあって活躍しているのかなというイメージが強かったんです。でも、それって全く違って…。僕も今日本代表に入って、NBA選手などいろいろなトップ選手の話を聞くのですが、結局やっていることって本当に変わらない。目標に対して意識高く、地道にコツコツやっているだけで、それは全く派手なことではありません。目標に対する情熱とコツコツ地道に頑張ることが大事だと、伝えたかったんです」

 

 

 体育館の去り際には、選手たち全員が出口まで花道を作り、河村をお見送り。「すごく楽しかったですし、大学生やプロとはまた違った高校生の熱気を感じられました。高校生がいろいろなことにチャレンジしている姿を見て、僕自身もいろいろな課題に挑戦していかなければいけないなと思いましたし、すごく良い刺激を受けました」と河村。

 

 

 イベントの詳しい様子や河村のインタビューは、9月25日発売の月刊バスケットボール11月号で掲載。また、ASICSからの提供で『MIDTOWN KRAKENS』のTシャツを河村の直筆サイン入りで1名の読者にプレゼント。ぜひ11月号をチェックして応募しよう!

 

 

○取材・写真/中村麻衣子(月刊バスケットボール) 

 



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