月刊バスケットボール6月号

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2023.10.30

琉球ゴールデンキングスのEASL2023-24開幕戦レビュー——ソウルSKナイツとの再戦前に振り返るべき5つのポイント

ヴィック・ローの決勝フリースロー

東アジアスーパーリーグ(EASL)の2023-24シーズンでの琉球ゴールデンキングスは、10月18日にホームの沖縄アリーナで行われた開幕初戦でソウルSKナイツを80-79で下し、白星発進に成功した。次戦は同じソウル相手で、11月1日(水)にアウェイのコヤン・ソノ・アリーナ(韓国、高陽市)で対戦することになっている。その一戦を前に、激闘となったソウルとの初戦を、5つのポイントを挙げて振り返ってみたい。


1. 第4Q、沖縄アリーナを沸かせたルーズボール

この試合で勝負に大きな影響を及ぼしたプレーの一つに、第4Q開始から約55秒後のハッスルプレーがあった。琉球が63-585点リードした状況で、カール・タマヨが右ウイングから3Pショットを試み、リムにはじかれロングリバウンドとなったところからの一連のプレーだ。



今村佳太はチームハイの18得点だったが、それ以外の部分でも光る活躍を披露していた(写真/©EASL)





リムにはじかれたボールはハイポスト付近で今村の手に当たってベースラインの外にはずんでいった。しかし今村はそれを追いかけて全力でダイブ。すでにベースラインの外に飛び出していたボールを右手ですくい上げ、左ショートコーナー付近にセーブした。そのボールにアレックス・カークとソウルのソン・チャンヨンが、猛然とコートに転がって食らいつく。

コントロールしたのはカークの方。がっちりボールをつかんだカークが左ウイングに待つ小野寺祥太にボールを渡すと、さらにタマヨ、牧 隼利と素早いスイング・アクションでボールは右ウイングへ。右コーナーにはすでに今村が、「さあ、こい!」と言わんばかりにキャッチ&シュートの準備を整えていたが、牧は相手ディフェンスの様子を見てもう一度サイドチェンジを選択。ボールはタマヨ、小野寺と逆サイドに展開され、左ローポストでポジションをとったカークの手に戻る。最後はカークのフローターが決まり、琉球のリードは65-58の7点差に広がった

あと0.1秒でも反応が遅かったらつなぐことができなかっただろうボールを今村がつなぎ、コート上の5人全員のボールタッチを経て奪った得点で、沖縄アリーナは大歓声に包まれた。このプレーがなかったら負けていたとまでは言えないにしても、1点差の勝利ということを思うと、このプレーには特別の重みがあった。琉球のウィニング・バスケットボールをEASLで世界に見せつけた意味でも、その価値は非常に大きかったはずだ。

2. 3Pショット不発の岸本隆一、ソウルでの奮起に期待

岸本隆一はこの試合で、相手の股間を抜くストリートボールのような妙技を披露するなど、大観衆を盛り上げた。ただ、持ち味とする3Pショットが6本すべてミスに終わった点と、ターンオーバーを3つ犯したのは悔しかっただろう。


岸本隆一のロングレンジゲームがソウルで本来の威力を発揮できるようだと琉球にとっては非常に心強い(写真/©EASL)

Bリーグの2023-24シーズンでは、1029日までの9試合で34.0%の3P成功率(50本中17本成功)を残している。琉球はその時点まで7勝2敗だが、岸本の3P成功率は勝った7試合で38.1%(42本中16本成功)に対し、負けた2試合で12.5%(8本中成功は1本のみ)と対照的。EASLでの次戦では、岸本が当たりを取り戻すかどうかも勝敗を左右する要素になる。

ソウルのディフェンスは高い位置からプレッシャーをかけ、岸本に楽にボールを持たせなかった。この試合を欠場したKBLを代表するスターガードのキム・スンヒョンも出てくるだろう次の対戦で、岸本がソウルのディフェンスをいかにして打ち破るか。そうでなくてもソウルは岸本を放っておくわけにはいかない。この勝負は熱い。



文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

タグ: 琉球ゴールデンキングス EASL

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