Bリーグ

2023.02.24

Bリーグのホームコート・アドバンテージの傾向

☆グループごとのチーム数
NBA A=8チーム B=17チーム C=なし D=5チーム
B1 A=9チーム B=1チーム C=4チーム D=10チーム
B2 A=5チーム B=2チーム C=1チーム D=6チーム
B3 A=7チーム B=1チーム C=なし D=8チーム


NBAではホームで勝ち越しているチーム(A+B)が30チーム中25チーム(83.3%)に上り、そのうちホームコート・アドバンテージがかなり成績に影響しているチームが17に上る。対して日本の3つのリーグでは、ホームで勝ち越しているチームが54チーム中25チームと半数に届かない。また、ロードの苦戦をホームで取り返しているチーム(B)は4チームだけだ。

もう一つ、ロードでの勝率を見ると以下のとおりとなる。

☆ロード勝率がホーム勝率よりも10%以上高いチーム数(各スタンディングスの右端列[% H-R]が-10%以下)
NBA なし
B1 7チーム
B2 1チーム
B3 2チーム

NBAではロードの勝率がホームでの勝率よりも10%以上高いチームはなく、どのチームも一定以上のホームコート・アドバンテージがあることが感じられる。ニューヨーク・ニックスとロサンゼルス・クリッパーズはロードの勝率がわずかに上回っているが、どちらもホームでも勝ち越し通算成績でも上位なので、ホームコート・アドバンテージを疑う強い要因とも考えられない。

しかし日本では20%近くのチームがホームでロード以上に苦戦している。一つの典型はB1の秋田ノーザンハピネッツ(通算成績2117敗、勝率.553)で、ホームが512敗(勝率.294)に対してロードで165敗(勝率.762)だ。


秋田ノーザンハピネッツはホームとアウェイの戦績に意外なギャップがある(写真は#17中山拓哉/©B.LEAGUE)

B2では現在西地区4位でワイルドカード争い1番手の愛媛オレンジバイキングス(通算成績19勝22敗、勝率.463)が秋田と似た戦況にあり、ホームで6勝13敗(勝率.316)に対しロードが13勝9敗(勝率.591)となっている。


2月5日に行われた愛媛オレンジバイキングスのホームゲームより(写真はゴールに向かう#13俊野佳彦[背後はバンビシャス奈良#19ジェレマイア・ウィルソンと#3藤高宗一郎]/©B.LEAGUE)

秋田は残された22試合中13試合がホームゲーム。愛媛は19試合中11試合をホームで戦う。両チームがそれぞれ終盤戦に向けてホームでホームらしい結果を出せるかどうかは、ポストシーズンを控えた躍進のカギとも言えそうだ。それができると終盤戦旋風を巻き起こす可能性も高いのではないだろうか。

B3に目を転じると、奇しくもプレーオフ圏内の8チームがいずれもホームで勝ち越しており、9位以下のすべてがホーム負け越しチームとなっている。その意味ではB1B2に比べてホームコート・アドバンテージの影響が若干強く感じられる状況と言えるかもしれない(ただし前述のとおりNBAに比べるとその影響は小さい)。

また、8チーム中7チームはホームでもロードでも勝率が50%以上で、上位5チームが4ゲーム差という混戦だが、その5チームは6-8位の3チームと一線を画していることが今シーズンの特徴だ。そこで上位8チーム間だけの勝敗を出してみると、大激戦の上位5チームはロードで上位チームと互角以上の成績を残しているチームであり、中でもライバル対決でホーム勝率6割以上の3チームがトップ3となっている。


B3の上位8チーム間の対戦成績
※表記順はチーム名、通算成績、ホーム成績、ロード成績
ベルテックス静岡(12-4, 75.0%7-3, 70.0%5-1, 83.3%
岩手ビッグブルズ(11-7, 61.1%5-3, 62.5%6-4, 60.0%
さいたまブロンコス(12-6, 66.6%6-2, 75.0%6-4, 60.0%
鹿児島レブナイズ(8-8, 50.0%5-5, 50.0%3-3, 50.0%
横浜エクセレンス(9-7, 56.3%4-4, 50.0%5-3, 62.5%
東京ユナイテッドBC5-11, 31.3%/1-5, 16.7%4-6, 0.0%
トライフープ岡山(7-11, 38.9%/5-5, 50.0%2-6, 25.0%
岐阜スゥープス(2-12, 14.3%1-5, 16.7%1-7, 12.5%


B3上位同士の激突となった2月3日の横浜エクセレンス対岩手ビッグブルズより。岩手は現時点でホーム勝率がリーグトップだ(写真は#7クリスチャン・ドゥーリトルとのピックプレーから#33俊野達彦と#40ジョーダン・フェイゾンに対しドライブを仕掛ける門馬圭二郎)

ここから見えてくるのは、力量が近い者同士の対戦でホームコートを守ることの重要性と言えそうだ。どのリーグでも上位に勝ち残るのは地力に勝るチームというのは当然だが、国内リーグも今後は観客の声出し応援などファンの観戦環境も変わる可能性がある。それが進んでプレーヤーが感じる“ホーム感”、“アウェイ感”がこれまでと違ってきたときに、どんな影響を及ぼすだろうか。終盤戦に向けた各チームのホームコートでの戦いに注目してみたい。



文/柴田 健(月刊バスケットボールWEB) (月刊バスケットボール)

PICK UP