月刊バスケットボール6月号

中学(U15)

2022.08.20

【全中2022】八村、町田、富樫…かつて出場したトップ選手多数。未来につながる全中を見逃すな!

昨年大会より

 

男女24校のみ開かれる狭き門

ブロック大会王者に注目

 

 日本一を競う中学生たちの全国大会がいよいよ始まる。第52回全国中学校バスケットボール大会、通称「全中」。今年は8月21〜23日の3日間、北海道札幌市で開催される。

 

 全中は、ミニバスや高校の全国大会以上に狭き門だ。出場権を得るには各都道府県の予選だけでなく、各地方のブロック大会を勝ち抜く必要があり、全国の地を踏めるのは男女各24チームのみ。

 

 近年は、練習環境が整い、ときに高校生たちの胸を借りることができる中高一貫私立校の台頭が目立つ。東海大会は、四日市メリノール学院中が男女ともに決勝を快勝してアベック優勝。女子部は昨年大会に続く全中連覇なるか、注目が集まる。また、近畿大会では男子・京都精華学園中、女子・大阪薫英女学院中が優勝。九州大会男子は中村学園三陽中が圧倒的な優勝を果たすなど、中高で高い実力を持つチームがし烈なブロック大会を制し、全中に向けて弾みを付けている。

 

 一方、公立校も負けてはおらず、関東大会では豊野中が男女アベック優勝。北信越大会男子では大倉颯太(千葉)らの母校・布水中が制し、九州大会女子では同じ福岡県北九州市の菊陵中と折尾中が決勝を争って2点差で菊陵中が優勝した。“全国常連”ともいえる名だたる公立強豪校たちが、今年も大会を面白くするはずだ。

 

昨年大会より

 

多くのトップ選手たちが

かつて通った登竜門・全中

 

 毎年、ハイレベルな試合が繰り広げられる全中。その大舞台で活躍した選手がその後、高校界で脚光を浴びることも珍しくない。

 

 例えば、この夏に開催されたインターハイ。男子優勝の福岡第一高を引っ張った轟琉維と城戸賢心は、中村学園三陽中時代、全中で3位に。湧川颯斗(現福岡大附大濠高)がエースだった古田中に完敗を喫したものの、その屈辱が彼らのその後の成長につながったことは間違いない。

 

 一方、女子優勝・京都精華学園高に目を向ければ、イゾジェ・ウチェや柴田柑菜が京都精華学園中3年、堀内桜花や八木悠香が同中2年の頃、悔しい全中ベスト8。森美麗(現桜花学園高)を擁する八王子一中に予選リーグでは快勝するも、決勝トーナメントでリベンジを許し、その八王子一中が勢いそのままに優勝を飾った。高校で火花を散らす彼女たちのライバル関係は、中学時代からすでに始まっていたのだ。なお、2020年の全中はコロナ禍で開催中止となり、堀内や八木はその無念を高校で日本一になり晴らしたと言える。

 

 さらに年数をさかのぼれば、日本のトップレベルで活躍する選手たちにも、全中への出場経験がある選手は多い。今年久しぶりに出場する大道中は1995年、田臥勇太(宇都宮)を擁して全中3位に。八村塁(ウィザーズ)は奥田中で準優勝、町田瑠唯(富士通/ミスティックス)は緑が丘中でベスト16進出を果たしており、世界に羽ばたいた名選手たちも、かつては全中の舞台で貴重な経験を積んだのだ。

 

田臥勇太(神奈川・大道中卒/現・宇都宮)

 

八村 塁(富山・奥田中卒/現・ウィザーズ)

 

町田瑠唯(北海道・緑が丘中卒/現・ミスティックス)

 

 現在の男子日本代表の顔ぶれを見ても、2008年に地元の新潟全中で優勝を果たした富樫勇樹(千葉)をはじめ、比江島慎(宇都宮)や須田侑太郎(名古屋D)、寺嶋良(広島)、河村勇輝(横浜BC)らがかつて出場。女子日本代表においても、渡嘉敷来夢(ENEOS)、赤穂ひまわり(デンソー)、オコエ桃仁花(富士通)、山本麻衣、馬瓜ステファニー(ともにトヨタ自動車)…と、挙げればキリがないほどだ。それぞれに中学時代からキラリと光るものを持っていた選手たちは、長年の努力でその原石を磨き、今では日の丸を背負って世界と戦うまでに。つまりは間もなく開催される今年の全中出場選手の中に、将来の日本代表選手がいる可能性もある。

 

富樫勇樹(新潟・本丸中卒/現・千葉)

 

渡嘉敷来夢(埼玉・春日部東中卒/現・ENEOS)

 

 全中での戦いが、数年後の高校バスケを熱くするプロローグになり、さらにはその先、日本や世界のトップレベルで活躍する“金の卵”が孵化するきっかけになるかもしれない。全中は、未来につながる始まりの舞台――そう思うと、ますます目が離せない戦いとなる。

 

全中2022全試合配信『バスケットLIVE

https://basketball.mb.softbank.jp/features/10783?utm_source=partner&utm_medium=basketballzine&utm_campaign=024

 

全中2022特設サイト

 

(月刊バスケットボール)



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