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2021/12/16

成長著しい馬場雄大(テキサス・レジェンズ)の2021-22シーズン

 NBA傘下のGリーグで、テキサス・レジェンズの一員として今シーズンを過ごしている馬場雄大は、前回この舞台でプレーした2019-20シーズンに比較して格段に成長していることを数字で示している。


 今シーズンの馬場は、12月16日(日本時間、以下同)までの日程を終えた時点で、レジェンズがプレーした12試合中8試合に出場。そのうち4試合はスターターだった。9日以降の直近4試合は安全衛生プロトコル下となり欠場が続いているが、それまでの8試合では平均12.5得点、5.5リバウンド、1.9アシスト、1.9スティールというアベレージを残している。初めてスターターを務めた11月17日の対メンフィス・ハッスル戦では、12得点、12リバウンドのダブルダブルで期待に応えた。


 スティールに関しては、2試合目(11月7日の対レイクランド・マジック戦)で記録した5本が今シーズンのチーム全体のシーズンハイに並ぶ数字。ボールを奪うのがうまいディフェンスの名手を指す“クッキー・モンスター”というカジュアルな表現で紹介されるようにもなっている。同じ試合では、そのスティールからの速攻で得点も量産し、フィールドゴール13本中8本を成功させて19得点、6リバウンドとオールラウンドな能力の高さと成長の跡を印象づけた。この19得点が現時点まででのシーズンハイとなっている。


 馬場の数字は一昨シーズンに比べて格段に上昇した。アベレージは得点が6.3から12.5へ、リバウンドは2.6から5.4へ、スティールも1.0から1.8へと倍増に近い。

 

 シューティングに関しても堅実さと力強さを増している。3Pショットは成功率が41.5%から41.2%、アテンプト数も2.3から2.1へとほぼ横ばいであり、合格点をつけられる確率を維持している。

 

 それに並行して大きいのは、2Pフィールドゴールとフリースローに関して特筆すべき成長の跡がみられることだ。

 

 

 前述のとおりディフェンスからの速攻でダンクやレイアップを連発していることで、馬場の2P成功率は59.6%と高い数値だ。2シーズン前も59.2%で成長幅は微増だが、アテンプト数が2.4から5.9へと倍増している。アグレッシブなドライブを積極的に仕掛けることで、それ自体による得点が増えるとともにフリースローのアテンプト数も0.3から1.5へと大幅に増えた。さらにその確率も70.0%から92.3%へと大きく上昇させている。


 この数字的な上昇をもたらしているのは、ディフェンスにおけるポジショニング、出足、勘の良さがより研ぎ澄まされ、結果として速攻からのフィニッシュが増えていることが一つだ。もう一つ、ハーフコートゲームでマッチアップとスクエアアップした状態からドライブに向かう際、相手にコンタクトされても進行方向がゴールラインから大きくずれることが少なくなったことも挙げておきたい。


 この2点のどちらとも、フィジカル面の向上が根底にある。オーストラリアでの昨シーズンを含め海外経験3年目となった今、馬場は世界のフィジカルに堂々対抗できているのだ。

 

 馬場自身も自らのフィジカルの向上を実感している。今シーズンはNBAでルール変更があり、マッチアップの局面局面におけるフィジカルさが昨シーズンまでに比べて格段に高まっている。その点についてはGリーグでも同じであることを、馬場は11月29日に行われたメディア対応で明かしていた。「NBAとGリーグは直結しているので、正直なところフィジカル、体作りに対しては2年前よりもすごく上がったと思います。練習のときも、2年前はバスケットボールに集中してウエイトなどフィジカルアップの時間はあまりなかったですけど、その点は今シーズンに入ってすごく驚いたところでした」

 

 練習の前には専門的なトレーナーが複数ついており、プレーヤーのコンディションやフィジカルの向上プログラムを管理する環境が構築されているという。NBAのルール変更に伴うフィジカル重視の対策がレジェンズでもすでに浸透している証しだ。

 

11月29日のズーム会見でメディアからの質問に笑顔で答える馬場。自信を感じさせる落ち着きがあった

 

 馬場の奮闘とレベルアップの背景にはFIBAワールドカップ2023に向けた日本代表としての活躍への意欲もある。馬場は「代表の試合は常にモティベーション」と話しており、11月27・28日の対中国代表戦の結果も追いかけたそうだ。トム・ホーバスHC体制の初陣における2連敗もプロセスだと話し、後ろ向きな捉え方はしていなかった。「僕がこのチームに入ったときにはどういう役割かというのはすごく気になっています」

 

 NBAへのコールアップはそう簡単なことではないだろうが、さまざまな意欲を持って数字を残している現在の馬場は非常に面白い存在に違いない。スターターを務めた4試合でポイントガード、シューティングガード、スモールフォワードの3つの役割を担った点も興味深い。馬場の身長(196cm)がNBAでは特段に強いアドバンテージにならないという現実の中で、特にディフェンス面で力を発揮しながら効率のよいオフェンスを期待できるという特徴はしっかり示せているので、そこに3つのポジションをこなせる柔軟性を加えようという意図がコーチ陣にあるのではないだろうか。


 仮にマーベリックスへのコールアップを考えると、チームとしてはリバウンドが一つの課題であり、3P成功率も30チーム中の相対的に成績は良くはない。馬場はGリーグで、この2項目でガードとして上々の数値を残している。馬場自身は前述のメディア対応で、NBAへのコールアップにはこだわらずにレジェンドで全力を尽くしたいという思いも聞かせてくれていたが、今シーズン中にコールアップが起こることを期待できる位置には立っているだろう。

 

 日本時間12月16日(北米時間15日)に、ダラス・マーベリックス対ロサンゼルス・レイカーズ戦試合前会見でジェイソン・キッドHCに馬場のスタッツを伝えながらコメントを求めると、「良い数字が並んでいますね。頑張っています(Stat-line sounds great. He’s working hard)」と答えてくれた。キッドHCは日本人プレーヤーがNBAレベルで活躍することに大きな意義があることにも言及しながら、こちらからの質問に対する返答を最後にこう締めくくってくれた。「いつか彼がNBAにこられる日を楽しみにしています( I’m excited and hope one day he’s in NBA)」

 

ジェイソン・キッドHCにも馬場の成績はアピールできるものだったようだ


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)

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