月刊バスケットボール5月号

アマチュア切り絵アーティストYSDさんの秀作

 SNS上でユニークな切り絵を公開しているYSDさんが、月バスドットコム編集部に素晴らしい作品を投稿してくれた。
NBAファンでアマチュアアーティスト。しかも、一見ペンや筆で描いたかのような繊細なタッチの作品は非常にユニーク。今回送られてきた作品は、八村 塁(ワシントン・ウィザーズ)、渡邊雄太(トロント・ラプターズ)、ジミー・バトラー(マイアミ・ヒート)、そして昨年1月に不慮の事故の犠牲者となった元ロサンゼルス・レイカーズのコービー・ブライアントとその次女ジアナ・ブライアントの4点だ。

 

 

over the AD(八村 塁)

 ハイライトにもなったこのダンクは見たその日からすぐに準備に取り掛かるほど制作意欲の湧くシーンでした。他の作品とは少しデザインを変えて背景を八村選手のルーツである日本とベナンの国旗をモチーフに、更にシグネチャーロゴも落とし込みました。背景と本体を重ねた時に境界が曖昧になってしまったので本体を少し浮かせて固定しています。

 

 

NOT IN MY HOUSE(渡邊雄太)
元オーランド・マジックのオールスター、ニコラ・ブチェビッチ(現シカゴ・ブルズ)をクリアブロックしたシーンです。この作品はこれ以降の作品の配色やレイヤー数などのベースとなった作品です。シンプルさと抽象的な実写のリアルさをカッコいいと思えるバランスでデザインすることを心掛けています。

 

 

more than words(Kobe & Gigi)
あの悲しい事故の後に最初に制作した作品です。モチーフが語りかけてくるイメージに合わせてグレーやアイボリーなどのシックな色を使いましたが仕上がりはボンヤリしたイメージになってしまいました。
少し残念に思いながら作品を持ち上げて見たところ、偶然後ろから光が当たったときの色の変化を目の当たりにし、ステンドグラス調にすることを思いつきました。その結果、モチーフにピッタリの尊厳な作品に仕上がったと思います。
細部に至るまでをすべて計算して作るよりも感覚に任せてそれに全力を尽くし、結果がどうなるか見てみようという考えの良い成功例だと言えます。「be better」、現在進行形でより良い方へクリエイトするmamba mentalityは、どの分野にも大きなインスピレーションを与えてくれます。

 

 

MIA #22(Jimmy Butler)
こちらはレイヤーを重ねるペーパークラフトではなく、1枚の紙を繋げて切る従来の切り絵スタイル、シングル切り絵です。元々シルエットのデザインが好きで切り絵という表現に辿り着きました。細かく切ることはさほど難しくはありませんが、細い部分もある一枚に繋がった穴だらけの紙を台紙に貼る方が実は大変です。また、台紙に固定しないという選択もできるのが1枚に繋がった作品のメリットでもあります。気分によって台紙の色を変えられます。

 

「切り絵と一口に言っても色々とありますが、私は紙一枚を繋げて切る作品を『シングル切り絵』、色をレイヤーごとに切って貼り合わせる作品を『ペーパークラフト』と呼んでいます」と話すYSDさんの作品は、ご本人のSNSアカウントで閲覧することができる。

 

Twitter: @YSDnoNBAtoka
Instagram: @ysdnokirie

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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