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2021.08.09

WNBAジャパンゲームスがあってもいい - コミッショナーとのQ&A

エンゲルバートコミッショナーは日本進出に積極性を持っている様子だった

 

WNBAに日本進出の考えは実際にある


――アジアの市場、特に極東地域に関する見方を教えてください。プレーヤー・プールとして素晴らしいし、我々の国からリーグが経済的な後押しを得られる可能性も高く、影響力を強め前進していけるのではないかと思うのですが。

 

エンゲルバート それは、我々のリーグをいかにして世界に広めていくかという問題そのものです。NBAは素晴らしい形でそれを実現していますが、私もこの点には注力していくつもりなんですよ。パンデミック後にシーズンをまたいで、いかにしてアジアを含む世界に展開していくか、アジアのタレントの育成にどのように着目していくか。

 

 今年のドラフトを振り返ると、全体2位のプレーヤーは国外からのプレーヤー(フィンランド出身のアワク・クイアー)でした。アジアから来るプレーヤーがリーグにもっと増えてほしいと思いますし、どのように私たちのリーグを日本や中国、インドなど国々に届けるかについて思いを廻らせるのは楽しいです。


これらの国はどこも非常にバスケットボールの人気が高いのを知っていますし、3×3が今回のオリンピックに登場し、オーストリアで出場権を獲得したアメリカ代表チームはWNBAプレーヤーたちで構成されている。アジアはもちろん、他の地域でも競技普及を図る方法がたくさんあると私も思います。
このリーグでは、女性がプロのプレーヤーとして生きていけるのだという模範を、若年層の女性に示しています。パンデミックの影響を受け国外に向けた動きが鈍ってしまいましたが、彼女たちがそのようなロールモデルであり続けることができるようにするためにも、アジアを含む世界の諸地域に展開していくことで我々が何をできるのか、もう一度見直すのは重要ですね。

 

――WNBAジャパンゲームスのような構想を実際にお持ちですか?

 

エンゲルバート それができたら素晴らしいですね。どこかの時点で、来年か2023年か…。“グローバルゲームス”ができたらよいと思っています。例えば日本でプレシーズンゲームを開催するなど、考えられることはありますものね。


当座はリーグを生まれ変わらせる活動を継続していきます。ファンベースを拡大するためのデジタル・プラットフォームへの投資などですね。でもあなたがおっしゃるようなグローバルゲームも、NBAでこれまでにできていることでもありますし、戦略化して今後数年のうちに実行できないか検討したいです。

 

左のプラムはWNBAのラスベガス・エイセズで、右の山本はWリーグのトヨタ自動車アンテロープス。3×3も両国トップリーグ対決だった (写真/©fiba.basketball)

 

3×3イベントでも面白い


その後、オリンピック開幕直前の7月14日にラスベガスで行われたWNBAオールスター・ゲームのズーム会見でも、エンゲルバートコミッショナーの会見があった。そのときにもリーグのファンベース拡大にはグローバル化が欠かせないとの認識を示し、日本との交流を活性化させることについても「議論に応じる用意は常にあります」と積極性を感じさせるコメントを返してくれていた。


エンゲルバートコミッショナーは「どこかの時点で、来年か2023年か…」と話していたわけだが、このオリンピックの状況を受け、WNBAの「日本進出構想」がにわかに活気づく可能性もあると思う。東京オリンピックでの日本代表対アメリカ代表戦は、5×5も3×3もすなわちWリーグ選抜とWNBA選抜の戦いだったのであり、その反響が大きかったことも、日本のプレーヤーたちのレベルの高さもエンゲルバート自身が間違いなく認識している。

 

 例えばWNBAのチームが1チーム来日し、日本国内のチームや選抜チームとエキジビションを行うような興行企画ができたら楽しい。それがチーム丸ごとではなく4-5人が来日して行う3×3のイベントであっても、非常に面白いセッティングができる。どちらにしても、日本の女子バスケットボールが飛躍的にレベルアップできるきっかけを提供することになるだろう。


コロナ禍がどのような結果をたどってどのように終息していくかが非常に大きなファクターだが、WNBAの動向は注視していきたい。今年のシーズンは5月に開幕したが、このオリンピック期間中は「オリンピック・ブレイク」としてリーグ行事をストップしていた。今後はアメリカ時間の8月12日(木)にコミッショナーズカップというイベントがあり、15日(日)からシーズン後半戦が再開される。


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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