月刊バスケットボール5月号

Wリーグ

2021.03.16

トヨタ自動車、ENEOSがWリーグ ファイナルに進出

粘る富士通を最後はトヨタ自動車が押し切る

 Wリーグ セミファイナル第2戦が3月15日に国立代々木競技場第2体育館で行われた。セミファイナルは2勝したチームが勝ち抜ける。第1戦はトヨタ自動車、ENEOSがそれぞれ勝利しこの日に勝てばファイナル進出を決めることになる。

 

#2長岡萌映子(トヨタ自動車)

 

 トヨタ自動車と富士通のゲームは、第1戦での敗因の一つとなったリバウンド面の対応を図るために富士通は#14田中真美子をスターターとして起用した。それでもトヨタ自動車にリバウンドを取られてしまうが、体を張ったディフェンスで、セカンドチャンスからの失点を最小限に抑えていく。先行するトヨタ自動車に食らいついていき、前半を29-29の同点で折り返した。
3Qには#2長岡萌映子が2本の3Pシュートを入れるなど、再びトヨタ自動車がペースを握る。富士通はトヨタ自動車の固いディフェンスの前に、なかなか得点が続かない。それでもこの日25得点を挙げる活躍を見せた#11篠崎澪が難しい体勢からのドライブをねじ込むなど、ギリギリのところで踏みとどまる。さらにはディフェンスで相手のターンオーバーを誘い、そこからのファストブレイクも出て、試合終盤に猛追を見せる。残り33秒で篠崎がバスケットカウントを決めると59-58とその差1点に詰め寄った。しかし、最後はトヨタ自動車の#15安間志織がジャンバーを沈めて、粘る富士通を61-58で振り切った。
「勝てそうな試合を落としてしまった」と富士通のBTテーブスHC。「やはりリバウンドでやられてしまったのと、シュートを決めきることができませんでした。まだ若いチームなので、経験の差が出てしまった」とあと一歩及ばなかった敗因を語る。
対戦したトヨタ自動車のルーカス・モンデーロHCは「3Pシュートとトランジションを抑えるディフェンスが機能しました。しかし、オフェンスでは富士通のディフェンスに対して、ターンオーバーが多く出てしまった」と試合を振り返った。チーム最多の16得点をあげた長岡は「接戦を勝ち切れたのは財産になります。この勢いを大切にして、ファイナルでは自分たちらしいバスケットをしたい」と最終決戦への意気込みを語った。

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3Pシュートを効果的に決めたENEOSがデンソーを振り切る

#11岡本彩也花(ENEOS)

 

 ENEOS対デンソーの対戦は、デンソーのエース#8高田真希の3Pシュートで先制すると、#6本川紗奈生が1Qだけで3本の3Pシュートを決めるなど、デンソーが23-19とリードする。2Qに入り、ENEOSはベンチから出場の#25石原愛子の3Pシュート、さらに#5藤本愛瑚のバスケットカウントで32-31とデンソーに追い付くと、その後は一進一退の展開となっていくが、前半終了間際に、ENEOS#32宮崎早織が3Pシュートを決めて37-35とリードを奪った。
後半に入るとENEOSは#11岡本彩也花が3Qだけで4本の3Pシュートを決める圧巻のパフォーマンス。対するデンソーは#88赤穂ひまわりが応戦するも、点差を広げられてしまう。しかし、4Qに入るとENEOSのシュートがゴールに嫌われ、その間にデンソーが高田、本川らの活躍でENEOSを追いかける。最後は1ゴール差まで詰め寄ったのだか、最後まで凌ぎ切ったENEOS が69-67で連夜の激闘を制した。
ENEOSの梅嵜英毅HCは「高さのアドバンテージがないことを痛感している」と苦戦を振り返る。一方で、敗れたデンソーのマリーナ・マルコヴィッチHCは、「こうしたタフなゲームでの経験の差が出てしまった」と口にする。高田も「チームを勝たせることができなかった」と肩を落とすが、同時に来シーズンに向けて「一歩を踏み出している」と手応えもつかんでいる。
トヨタ自動車対ENEOSのWリーグ ファイナルは3月20日から、やはり代々木第2で開催される。皇后杯決勝と同様のカードとなったが、トヨタ自動車がリベンジを果たすか、それともENEOSが女王の意地を見せるのか、注目は尽きない。

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(文:飯田康二・写真:石塚康隆/月刊バスケットボール)

※次ページに熱戦写真



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