月刊バスケットボール6月号

ポルトガルを終盤に突き放した女子日本代表。オリンピック代表への生き残りをかけた戦いは続く

 6月10日、横浜武道館において三井不動産カップ2021バスケットボール女子日本代表国際強化試合(神奈川大会)の第1試合が開催された。ポルトガルを迎えて行われたこの大会はオリンピックを目前に控えた代表候補の絞り込み、対戦相手の高さへの慣れなどが目的となる。ポルトガルはFIBAランキング的には48位と10位の日本からすると格下ともいえるが、194cmのマリア・クストゥルコバ、190cmのソフィア・シルバを筆頭に、高さでははるかに日本を凌駕する相手である。

 

 コロナの影響もあり、久しぶりの国際試合となった女子代表は、そのせいか、重苦しい立ち上がりのゲームとなった。高さで攻め込むポルトガルに、日本は速さと3Pシュートで対抗したいところだが、この日は3Pシュートが入らず、1Qを9-17とビハインドでスタートする。それでも2Qにポルトガルをとらえると、その後は一進一退。日本の3Pシュートが入り始めるとリードを奪うのだが、当たりが止まるとインサイドで高さに勝るポルトガルに追い付かれてしまう展開が続いた。

 

 後半入ってもその流れが変わらないまま40-40の同点で迎えた最終Q、激しいディフェンスから相手のミスを誘い、三好南穂の3Pシュートが連続して決まり点差53-43と2ケタのリードを奪う。流れをつかんだ日本はそのまま一気にポルトガルを突き放し69-47で勝利を収めた。

 

4Qで4本の3Pシュートを決めた三好南穂

 

 試合後、トム・ホーバスHCは「このチームはシューターがいっぱいいるのですが、今日の前半は全員が入らなくて、我慢の試合となりました。最後になって三好が4本決めてくれたのが良かったです」と語ったように、3Pシュートの確率は1Qが11本中わずか1本の成功、3Qが終わった時点で33本中6本の成功と18.2%にとどまっていた。こうした展開の中でどうしたらいいか、「チームにとっても、選手にとってもいい勉強になった」とホーバスHC。一方で、右ヒザの靭帯損傷でゲームから離れていたポイントガードの本橋菜子が復帰を果たした。「まだ万全ではない」と本人も話すが、2019年FIBAアジアカップで優勝を果たし、MVPを獲得した本橋がラインナップに戻ってきたのは、明るいニュースに違いない。

 

 オリンピック代表へのトライアウトの位置づけでもある今大会。ポイントガード、シューター陣の熾烈なポジション争い、また故障により代表から外れることになったエース渡嘉敷来夢の穴を誰が埋めるのか。6月12日、13日と残る2試合に注目していきたい。

 

写真・石塚康隆

文・飯田康二 (月刊バスケットボール)



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