齋藤拓実(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ) - FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window1男子日本代表候補名鑑

 

「A代表に呼ばれるのは初めてのことで、率直にうれしい気持ちです。トムさんがBリーグでの試合を見て僕を評価してくれたので、普段の僕のプレーをすればきっとトムさんも評価してくれます。合宿で自分らしいプレーができたらいいなと思います」。男子日本代表合宿中の11月19日に行われたズーム会見で、斎藤は召集の喜びをこんな形で言葉にした。


B1での活躍をそのまま代表でできれば、齊藤は間違いなく力になれる。その魅力はスピードを生かしたプレーメイク。昨シーズン名古屋に移籍した際にも、トランジションのスピードを高めたかった当時の梶山信吾HC(現アシスタントGM)から強い勧誘を受けたエピソードが知られているが、それはトム・ホーバスHCが男子代表でやろうとしているバスケットボールに共通する要素だ。


今シーズンのB1における平均12.1得点は、今回ポイントガードの候補として呼ばれた6人の中で富樫勇樹(千葉ジェッツ、13.0得点)、藤井祐眞(川崎ブレイブサンダース、12.5得点)に次ぐ3番手の数字であり、6.2アシストは藤井の6.4本に次ぐ24人全体の中での2位。3P成功率46.2%はバックコート12人中のトップタイで、候補全体の中で2位タイだ。これらがスピードに乗ったオフェンスで生かされれば、大きな脅威だ。


齋藤は東京2020オリンピックで銀メダルを獲得した女子日本代表のプレーもチェックしているという。「女子バスケットもオリンピックでは何度か見ましたが、トムHCが最初のミーティングで『こういうバスケットをやりたい』と話されたときに、あのときの女子バスケットのイメージがそのまま残っていました。ポイントガードの町田(瑠唯)選手がペイントアタックして、そこからのウイングのカッティングの合わせだったり、良いスペースで3Pシュートを外の選手に打たせたり…」。それは齋藤のスタイルに重なる。切り崩すのはポイントガードの役目だとホーバスHCから言われているというが、「ペイントアタックしてクリエイトするのも得意なので」と求められる役割に対する自信も見せている。


キャリアにおける新たなチャレンジは、国の威信をかけて戦う檜舞台。必要なのは普段の力を出すことだけだ。

 

初招集のA代表での活躍に、齋藤は強い意欲を見せている(©JBA)

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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